“其処”のいろいろな読み方と例文
旧字:其處
読み方割合
そこ96.3%
そけ1.0%
そのところ0.6%
それ0.6%
そこら0.3%
ソコ0.2%
あこ0.2%
あるところ0.2%
こゝ0.2%
そっ0.2%
それどころ0.2%
どこぞ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたくしは因縁こそ実にとうとくそれを飽迄あくまでも大切にすべきものだと信じてります。其処そこに優しい深切しんせつな愛情が当然おこるのであります。
これから半町ばかり跡へけえると寮が有りやすが、其の寮へ往っておとまんなんしよ、ばアさまが一人居て、困る人はみな其処そけえ往って泊りやんすよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男尊女卑の陋習ろうしゅうに安んじて遂に悟ることを知らざるも固より其処そのところなり、文明の新説を聞て釈然たらざるも怪しむに足らずといえども、今の新日本国には自から新人の在るあり
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
さア/\此薬これをおつけ……此薬これはなよろひそでというて、なか/\売買ばいかひにないくすりだ……ちよいと其処それへ足をおし、けてるから…。乞「はい/\有難ありがたぞんじます。 ...
其処そこら火灯あかりで、夜眼にも、今宵は、紅をさした脣をだらしなく開けて、此方をあおのくようにして笑っているのが分る、私は外套とんびの胸を、女の胸に押付けるようにして
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
その後、自身の家の中でも、又廬堂イホリダウに近い木立ちの陰でも、或は其処ソコを見おろす山の上からでも、郎女に向つてする、ひとり語りは続けられて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其処あこから生きて帰れたなんて、神助け事だよ。有難かったな! んでも、この船で殺されてしまったら、同じだべよ。——何アーんでえ!」そして突調子とっぴょうしなく大きく笑った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「老媼茶話」には奇怪な話が数多たくさん載っている。この話もその一つであるが、奥州の其処あるところに甚六と云う百姓があった。著者はその人となりを放逸邪見類なき者也と云っている。
一緒に歩く亡霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
すると其処こゝ野口權平のぐちごんぺいと云う百姓がございます、崖の方へ引付ひッついてあるうちで、六十九番地で、市四郎はかね知合しりあいの者ゆえ其家そこを起して湯を貰い
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ヨーギ、其処そっから、どらんこ(煙草を入れる佩嚢どうらん)持って来う。——ほして、にしも少し休め。うむ、ヨーギ。」と一本の小さな栗の木をしながら言った。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
其処それどころじゃないけれど、仕方がないから相手になっていると、チョッ、また松の畜生ちくしょうが邪魔に来やがった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼女あれが出てまいった時よなし」とお母さんは思出したように言った。「捨吉を其処どこぞへ一緒に連れてまいりましたそうな。その時捨吉が彼女にそう申したげな。 ...
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)