“それ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソレ
語句割合
38.3%
25.1%
5.3%
其品1.5%
其事0.9%
其人0.9%
其処0.9%
其金0.7%
其男0.7%
其衣0.7%
其刀0.7%
其家0.7%
其車0.7%
其言0.4%
其包0.4%
其声0.4%
其夜0.4%
其帳0.4%
其方0.4%
其船0.4%
其雛形0.4%
0.4%
0.4%
0.2%
其寺0.2%
其書0.2%
其茶0.2%
其菓0.2%
0.2%
其原0.2%
其塊0.2%
其塩0.2%
其子0.2%
其橋0.2%
其殿0.2%
其毛0.2%
其滓0.2%
其粥0.2%
其貨0.2%
其道0.2%
其馬0.2%
0.2%
全盛0.2%
其仏0.2%
其位0.2%
其便0.2%
其像0.2%
其剣0.2%
其友0.2%
其国0.2%
其堂0.2%
其女0.2%
其室0.2%
其尼0.2%
其屍0.2%
其岩0.2%
其島0.2%
其布0.2%
其帽0.2%
其庭0.2%
其式0.2%
其或0.2%
其教0.2%
其日0.2%
其暦0.2%
其本0.2%
其板0.2%
其果0.2%
其椀0.2%
其櫛0.2%
其涕0.2%
其物0.2%
其獣0.2%
其画0.2%
其病0.2%
其的0.2%
其皮0.2%
其盃0.2%
其石0.2%
其穴0.2%
其箱0.2%
其紙0.2%
其繩0.2%
其罪0.2%
其肉0.2%
其舞0.2%
其色0.2%
其芽0.2%
其荷0.2%
其薬0.2%
其袋0.2%
其話0.2%
其語0.2%
其諸0.2%
其長0.2%
其門0.2%
其霰0.2%
其香0.2%
其駅0.2%
其魚0.2%
其鳥0.2%
刀箱0.2%
吉村0.2%
彼女0.2%
0.2%
0.2%
芸者0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『なぜ、あなた、それでは、此頃そんなに悲しそうにして居らしやるの? 私はあなたを捨てゝ広島へ行くのが何だか心許ないの……』
いづれもそれ等印象派の画家がまだ名を成さない時代に買ひ集めたものが多いらしく、リユイル氏が愛蔵して売品としない物許ばかりである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
当時の石川成章が何等かの故があつて、それの年某の月日に関氏を称し、又五郎と称し、次で某の年某の月日に元の石川氏に復したと云ふことが知りたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さて其品それを無残や余所の蔵に籠らせ、幾干かの金懐中に浅黄の頭巾小提灯、闇夜も恐れず鋭次が家に。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十兵衞いよ/\五重塔の工事しごとするに定まつてより寐ても起きても其事それ三昧ざんまい、朝の飯喫ふにも心の中では塔をみ、夜の夢結ぶにも魂魄たましひは九輪の頂を繞るほどなれば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
お別れ申すが惜しいと言つても是れが夢ならば仕方のない事、さ、お出なされ、私も歸ります、更けては路が淋しう御座りますぞとて空車引いてうしろ向く、其人それは東へ、此人これは南へ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その夜はその村に泊らずに、其処それから三里ばかり東へ進んでニャーモ・ホッターという小さな村に着いて宿り、その翌日テーショクという村で昼飯ちゅうはんを済まし、その夜はタクツカという村に泊りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
もとより家尻を切って取った八百両の内の金子かねだと云うから、いず其金それを呉れた奴が有るんだろうが、其奴そいつが出さえすればいんだが、お調べが容易に届けばいが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其男それの頭へ載せてやってそうして三帰五戒さんきごかいを授けて悪業あくごうの消滅するように願を掛けてやりました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
丹誠一つで着させても着させ栄えなきばかりでなく見とも無いほど針目勝ち、それを先刻は頑是ない幼心といひながら、母様其衣それは誰がのぢや、小いからはおれ衣服べゞ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『きょうは、どちらへお越しでござりますか』——と、其刀それが気に懸かるように、訊ねた。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから麦焦しの長三角形もやはりその草屋に打ち付けると同時に其家それに火をける。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
あれらぬうち仕方しかたもなし、つて其車それれますものか、れでも此樣こんさびしいところ一人ひとりゆくは心細こゝろぼそいほどに、廣小路ひろこうぢるまでたゞみちづれにつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と云うと、お浪はまた新に涙ぐんで其言それには答えず
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どれだけ入って居ったか知りませんが私は其包それを押返して
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めとののしりながら為右衛門ずかずかと立ち出で、僮僕おとこどもこの狂漢きちがいを門外に引きいだせ、騒々しきを嫌いたまう上人様に知れなば、我らがこやつのために叱らるべしとの下知げじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其夜それからというものは真実ほんと、真実でござりまする上人様、晴れて居る空を見ても燈光あかりとどかぬへやすみの暗いところを見ても、白木造りの五重の塔がぬっと突っ立って私を見下しておりまするわ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
筆なんか其帳それへ記入する時のほか手にしたこともないという仁だから、いくらびた庭面に春の日がまだらに滑ろうが、あるかなしかの風に浮かれて桜の花びらが破れ畳に吹きこんでこようが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
有る時や無い時が有って結極つまりが左程の事もないようだし、それに家にばかりいるとツイ妹や弟の世話が余計焼きたくなって思わず其方それに時間を取られるし……ですから矢張半日ずつ
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
グロウヴスは其船それを有名なタイタニックとは知らず、只興をもって眺めているうちに、交替時間の少し前
運命のSOS (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
頼まれもせぬ仕事はできてしたい仕事はできない口惜しさ、ええ不運ほど情ないものはないとわしが歎けばお上人様、なまじできずば不運も知るまいと女房めが其雛形それをば揺り動かしての述懐
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ととかく談話が横路よこみちそれる。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
さながらそれ背撓馬せたらうま
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
或時あるとき土方どかたとなり、或時あるときは坑夫となって、それからそれへと際限はてしもなく迷い歩くうちに、二十年の月日は夢と過ぎた。彼の頭には白髪しらがえた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この騒ぎを聞付ききつけて、町の家々でも雨戸を明けた。「賊だ、賊だ。」と叫ぶ声がそれからそれへと伝えられた。重太郎は哀れや逃場にげばを失った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其寺それへ指してその荷持に案内されて午後四時頃着き、ピーツク・カムツァンという僧舎へ尋ねて参りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
エンゴン寺 其寺それがかねてタシ・ルフンプー寺の老僧に教えられて居った文法学者の居るエンゴンという寺である。そこで公道を取らずにそのエンゴンという寺へわざわざ上って参りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そのシナ兵にピンビタンから貰って来たシナ文字の通行券を渡して行くので、其書それにはこの二人の通行を許せという文句が書いてあるのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其書それに訳の分らぬ言葉が一つ書いてあるという様子を聞いてみるに、あるいはロシア語ではないかしらんと思いました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その茶飲み茶碗はいつも銀のふたで伏せてありまして、其茶それがよい頃にさめると飲み、飲んではまた注いで二十分位蓋をしてさまして居るのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
上等バタ茶の製法 まず其茶それを半日もてそのかすをよく取って、そうして真っ黒な少し赤味がかった汁になって居る中にヤクのごく新鮮なバタを入れ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それはこのチベットのチャンタンにおいては無上の菓子として人に贈りあるいは珍来の客にすすめるものであるが其菓それを私に一箇くれたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それから早速其菓それをうまいとも何とも分らずに喰ってしまいそれからその若い男にどこかこの辺に私の泊る所があるまいか、食物も欲しいからと言いましたところが
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
或時あるとき土方どかたとなり、或時あるときは坑夫となって、それからそれへと際限はてしもなく迷い歩くうちに、二十年の月日は夢と過ぎた。彼の頭には白髪しらがえた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この騒ぎを聞付ききつけて、町の家々でも雨戸を明けた。「賊だ、賊だ。」と叫ぶ声がそれからそれへと伝えられた。重太郎は哀れや逃場にげばを失った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
し遊牧民が来て居らいでも其原それから一日か一日半行くとゲロン・リンボチェの居る所に出られるというような話を聞きました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其原それは大なる雪峰せっぽうチーセ(〔の台地であってそこから一里半程湖水に向って南に行きますと、タルチェン・ターサムにつきます。チーセ雪峰から台地が斜な平地になって〕)
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それを入れてうまく捏ねてそうして其塊それを右の手でよく握り固めて喰います。もちろん朝から肉は喰いますので、その肉はやはり乾肉と生肉とそれから煮たのと三種類です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それは日本でいえばメンコのような一種の土塊を拵えて、其塊それを遠く投げるのをこちらに居て打つというやり方、それからまたすじを描いて置いてその中に銀貨を入れて置く。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その塩はなかなか尊い ものでちょっと普通の人民は其塩それをお貰い申すことが出来ない。なかなか金を出しても容易には廻って来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
伝手つてがあればまず貰えるといったようなもので、其塩それは貴族と僧官の主なるものに分たれる。もっとも大なる檀越だんおつとかあるいは殊更に関係ある大商業家などは幾分か貰えるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其子それが教師にふざけて居る。いかにもその様子の馴れ馴れしいこと実に教師の子ではあるまいかと思いましたが、しかしその方は純粋の僧侶であるから妻君がないに極って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
五色ごしきのシナ縮緬ちりめんで飾りを付け、其子それに例の香炉を持たして香をかせて居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
鉄繩てつなわの架橋 が此岸こっちの山の岩から向う岸の山の岩へ括り付けてあって其橋それへブランコになって人が向うへ渡って行くというに過ぎなかったのでしょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その翌二十日また川の辺に沿うて東北に向って二里ばかり、田畑の中を進んで参りますと大きな橋がございました。其橋それを渡って東北に一里半ばかり参りますとシン・ゾンカーという駅がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
何もかも行き届いた誠に清潔な御殿で、その御殿の横にもう一つ大きな御殿がある。其殿それは新大蔵大臣の居らるるところで三階造りです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
この門は宝蔵の入口にして金の柱に銀の扉あるいは門の内には七宝自然の宝堂、玉殿あり、其殿それに在する方々は神か菩薩のごとき真善美を
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其毛それを下にらして吊鬚つりひげのような具合に見せて居るのです。しかしそれをきびしい僧官に見付けられますとその顳顬こめかみに生えて居るところの毛を引抜ひきぬかれてしまう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其毛それでもってこしらえて肩までおおわるところの帽子を一つくれたです。此帽これは新しければ二十五円位、古いのでも棄売すてうりにして十円以上の物であると後で他の人から聞いたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ですから下等な修学僧侶は上等僧侶の飲みかすの茶を貰って来て其滓それせんじて飲むんですが、さてその煎じるところのまき即ちヤクのふんはこれまたただは来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その茶を買うことの出来ん者は富貴ふうきな人の飲みかすもらって、其滓それせんじて飲むです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其粥それは施主があって施すので、その中には肉が大分に入って居る。その粥なり茶を受ける椀は小さいので三合、大きなので五合位入るのを持って来て居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
晩は大抵麦粉のおかゆ、その中へ乾酪ほしちち、大根、脂肪肉等を少し入れうまく拵えて其粥それをすするのです。バタ茶は大抵隙間もなく机の上の茶碗に注がれてある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其貨それはその地方で通用して居るだけで法王領のチベットでは通用しない。それは平円へいえんの形である。こういう貨幣ですからなかなか売買をするにも余程暇がかかって不便でございます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そうして一応其貨それをよくあらためてからさも惜しそうに渡します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其道それを一周しますとラサ府内に在るところのすべての仏およびのりの宝すなわち経蔵を廻った事になりますから、非常な功徳くどくを積んだという訳になるのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
少し道中は困難でもありまた野獣が出て来て害を加えぬにも限りませんけれどもまあ大抵たいていそんな事はない。私は二度その道を通った事がある。其道それが危ないと思うならブータンの方に行くがよい。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その駅々からして駅馬えきばを徴発して其馬それで運送を続けて行くのですから、日に三里かよく行って四里位しか行かないのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その時分には大分大きなもので商隊を組立てて、あるいは百疋ないし二百疋の馬に二十人ないし三十人の人が付いて、其馬それに載せ得らるるだけの荷物を積んで交易に出かけるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
舀他一勺亦何妨 それ一勺いっしゃくむになんさまたげん〕
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「いいえ、全盛それどころではござんせん。姉が達者でいてくれますと、養母おふくろも力になるんですけど、私がこんなですからね。——何ですよ、いつも身体が弱くって困りますの。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからカルカッタの在留日本人からして銀の仏を調ととのえてくれろといって百ルピー寄附してくれたから、私は百十五ルピーけて銀の仏像三台と其仏それを蔵める厨子ずし一個をこしらえた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其位それを受ける法王は、むろん露国にもやはり仏教が行われて居って、一番最高等の僧侶はこういう物を受けるのである位の事で受けたので
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
けれどもそれも自然と慣れるです。そうしてこっちが其便それを済まして来ますと犬は先を争うてその人糞じんぷんを喰いに来る。だから西北原の内には便所はないけれど人糞の転がって居るような事もない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その中でも殊に目立った物は古派の開祖かいそペッマ・チュンネの像でありました。其像それは台も像も一体に宝石で出来上って居る。ぐるりの壁もまた庭にも宝石が敷いてある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ところで擲った人はなぜそんなに門内に逃げ込んでじきにまたその門を締めるかというと、この人はもし其剣それを投げてぐずぐずして居ると花嫁の送りの人につかまる恐れがある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「雪峰チーセからこっちに来る時分に何か商人体の者に逢わなかったか。実は俺の友達がこの辺をうろついて居るので其友それを捜して居るのだ。」「いやそういう者に逢わなかった。」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
いや日本という国があるそうだが其国それがなかなか強くって、とうとうペキンを取ってしまったとか、またシナは饑饉ききんでもって何にも喰物くいものが無くなったから人が人を殺して喰って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其れに今は屏風坂を登つて右の方に大師堂があるが、彼の大師様は三十六坊をグル/\廻つたもので、月の晦日と三日が縁日、今は御堂が出来て其堂それへ落着いたが
下谷練塀小路 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
其女それはミス・テーラーという英国の女宣教師で、シナの地方から北部の方を経てラサをえダージリンへ出る目的で来たので、大臣はミス・テーラーの名を知らなかったけれども
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
長さ三間に奥行二間ばかり、其室それが二間に仕切られて居る。けれども元来貴族の御殿風に出来て居るものですから中の壁の模様などは実に立派です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それでその麦の別荘に招待されて行くと六十余りの尼僧が居られる。其尼それ付添つきそいの尼僧、女中というような者も七、八名も居るです。家はなかなか立派に出来て居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それから首、両手、両足と順々に切り落して、皆別々になると其屍それを取り扱う多くの人達(その中には僧侶もあり)が料理を始めるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其岩それを称して二十一の解脱〔仏〕母の姿であると説明をして居るです。そこが一番外道の中で高い所でほとんど雪峰チーセの高さと高低がない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その辺からラクガル湖の西の方を見ますと三つの島があって其島それがちょうど五徳ごとくの足のような形になって居る。よってその三島を名づけて五徳島といっておいたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其布それをもらったのがすなわち仮入学を許されたしるしなんです。しかしチベットでは尊いラマに遇いに行くと、こんな赤い切布きれを首にかけるのが例になって居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其帽それと少しばかりのバタと金を十タンガーくれまして馬と下僕しもべをつけて送らしてくれた。四里ばかり参りましてアジョプーというその辺の一つの部落の長の家に着いてその夜は泊りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其堂そこを通り抜けると中央に東西五間に南北六間位の庭がある。其庭それもやはり一体に板石が敷き詰めてありますが其庭そこは下等の僧侶そうりょが集まってお経を読みまた茶を飲み麦焦しを食う所です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そこでこの二つの品を花聟の母は花嫁を始め送り迎えの人々に少しずつ遣りますと、彼らはいちいちこれを手の平に受けてねぶるです。其式それが終ってからその母の案内に従って堂内に入って行く。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其或それ周に継がんものは、百世といえども知るべきなり。(為政、二三)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
新ポン教の教理は仏教に似て、そうしてまた神道しんとう気味合きみあいを持って居る教えである。ちょうど日本の両部神道りょうぶしんとうというたようなものであるが、しかし其教それよりもなお一層いっそう進んで居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
なぜならば葬式を出すにも日のわるいがあって、其日それをよく見定めてから、どういう方法の葬式にしようか、この屍体はどう始末をつければよいかということをラマに尋ねなければならん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其暦それがチベット国中確かに一般に行われて居るけれど、その日の繰り方なり正月元日の出て来る日なりが地方によって一致しない事があるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかし其本それは教課が済みますとじきに売ってまた今度いる新しいのを買いますので、決して永久の持物として持たれて居るものじゃあない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
板は二つに割れるようになって、其板それに二つのさんがあってその桟をもって二つの板を合せて、そうしてそこへ錠をおろしたもので、その板の上の紙にチベット語で罪状が記してある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
で、其果それをまず第一に主人からしてちょいと右の手でつまんで何かとなごとを言いながら空中へ三度ばかりばらばらとき、そうして其果それの幾分を自分の掌裡てのひらに取って喰うのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其椀それで粥を一ぱいに茶を三ばい引っかけると充分なもので、それから自分のしゃへ指して帰り道で、ゲ(ゲは徳を施すの意味)を貰うです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
娘の父母はその物品を娘のもとへ持って来て「お前のその櫛は大分古くなって居るから其櫛それを棄ててこの新しい良いので梳くがよい。ここに良い油もあるからこれで立派におつくりするがよい」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それから人の前でもどこでも自分の着物の裾裏すそうらをまくってはなをかみ、そうして其涕それをうまくすり付けてしまう。余りが多いとつつの方にもそれをすり付けて置くんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
卒然いきなり本包を其処へほうり出し、あわてて弁当箱を開けて、今日のお菜の残り——と称して、実はべたかったのを我慢して、半分残して来た其物それをポチにる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其獣それは雪の中に居る猫のような形で——猫よりは少し胴が長いけれども——その毛は非常に柔かで温かなものである。それはチベットでも一番高価に売られる毛皮である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其画それは石壁の上に土を塗りなおその上にチベットの天然の石灰のようなものを塗った所へ種々の方法を尽して立派にき上げたものですが
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ことにチベットで最大難病としてわずらえば必ず死病とされて居る病気がある。其病それ水腫すいしゅ病で脚気のようではあるけれども、ちょっと様子が違って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それからまた向うの方へ的を拵えて置いて其的それへ大きな石をぶん投げて落してしまうというような遊びもするです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
余程妙なもので、ヤク三疋の皮を集めて其皮それを縫い合せ、その縫い目に水の浸み込まないように漆を塗り付けて水に浮べますので、冬でも沢山に渡人わたりてがなければその皮の船で渡るんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そうするとそばに居た娘が口を添えて、大層お気に入ったご様子ですが、お気に召しましたのは其盃それの仕合せというものでございます、よろしゅうございますからお持帰下さいまし
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あるいは其石それをどこへ当てるかというまとを付けて、そうしてその石をぶん投げるということを奨励します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其穴それ巌窟いわやの少し東の山間やまあいにあるので、即ち尸棄仏陀シキぶっだの塔の横に在る家の中に在るのですが、この穴は十二年に一遍ずつしか開けられない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「餓鬼のくせに、とんでもねえことを言やアがる。てめえが其箱それを引っさらって逃げたこたア、天道さまも御照覧じゃあねえか」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
心のごとくなるところの真言しんごんを書いた紙を沢山に集め、其紙それを円く長い筒のようにしてその外部そとを銅板で綺麗におおいなお金銀で飾りを付け、そうしてその中心には鉄の心棒があって
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
これも日本の子供と同じでその飛び越える間にもし一人が繩に引っ掛かってつまずくと、今度は自分が繩持なわもちになって其繩それを廻すことにして居るです。此遊これは男の子ばかりではない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
なぜならばおよそ懺悔というものは自分のこれまでした罪業ざいごうの悪い事を知って其罪それを悔いどうかこれをゆるしてくれろ、これから後は悪い事しないというのが一体の主義である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その禄は肉だそうです。鳥に禄があるというのは奇態ですけれどこの鳥は葬式の時に人の死体を持って参りますと其肉それを喰うのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
で舞踏をやる時分には其舞それに和して謡いますので、チベット婦人および男子はその舞踏程面白いものがないように思って居るらしい。大抵この舞踏を嫌う人はチベットにはほとんどない位です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
夕日がだんだん山のに入るに従って珊瑚の色は薄らいで黄金色となり、其色それもまたつかに薄らいで白銀しろがねの色となったかと思いますと、蒼空あおぞらぬぐうがごとく晴れ渡って一点の雲翳うんえいをも止めず
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其芽それがだんだん大きくなって枝に枝を生じ、その枝が成長して九月頃になると全く成長の極に達するのです。最も大なる宝鹿ほうろくの角はその長さが一じょうしゃく程ある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
畑の中へ指して行きましてそこへ驢馬の荷物をすっかり卸して其荷それを三方に積み立ててかこいを造り
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
まずよい伝手つてがありお金を沢山上げてようやく貰いますので、貰ったところでチベット人は非常な病気になったとかあるいは臨終の場合に其薬それを一つ飲むのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
壁の隅につづくった袋が一つかかってありまして、其袋それには先生らの命をつなぐ麦焦しの粉が入って居る。それとても満ちてあるものは稀です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其話それを今日は㧞きにして貰ひたし、氣色きしよくのすぐれず頭のいたきに、ぶらりと家を出でたれど、さして面白き處もなければ、常に憂きことを知らず顏の
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから私はシナ人であると言いましたらシナ人ならシナ語が出来るかと言う。其語それは知っておると答えました大胆に……するとまたシナ語の少し分って居る人間を引っ張って来たです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
夫子の求むるは其諸それ人の求むるに異なるか。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そのカムツァンというのには一人のちょうがありまして、其長それは年番である。私の行った時分の長はラートェパという人で、ごく親切な無邪気なおじいさんでございました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その法王の御殿へ入る入口の門は東西の隅に南向きに建てられて居る。其門それに対し十五、六間隔てて大きな家があります。その家の後の方に馬を導いて行ってしまった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ですから其霰それを防ぐ方法を立てなくてはならぬ。その方法が実に奇々怪々で抱腹絶倒せざるを得ないのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
強盗の沢山居る中を行かなくちゃあならんから首尾しゅびよく其香それを買出して来たところが、果たしてラサ府まで持帰れるかどうか、その間に強盗のために商人あきんどられる者が多いそうです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その川岸の少し北に当ってニューク・ターサムという駅場がある。しかしそのターサムへは着かずに其駅それを左にして東に行くこと一里ばかりにしてある山の腹に泊りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其魚それを捕る漁師がありまして夏の間はこの湖水へ来て漁をして売りもしあるいは乾して冬の食料に当てますが、冬はこれらの漁師はチベットの中央地方へ乞食こじきに出掛けるのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其鳥それをチベット語でキャーカと言って居る。この鳥はなかなか利口な鳥で人を見分けることをよく知り、それから進退共にちゃんと法則がきまって居るようです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それが、こんな堰に浮いているとは不思議だと、栞は、しばらく刀箱を見ていたが、やがてしゃがむと、刀箱それを引き上げた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吉村それも道楽者なの。」と、言いにくそうに言った。「あなたさぞ私に愛想が尽きたでしょう。」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼女それ打萎うちしおれた侘しそうな風をしていたが、その姿をちらと見ると前の女が子供の方へ声をかけた。
二人の母親 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
御頼み申すと云にぞお勇は彌々いよ/\にのり然樣さうならば先方むかうはなしてウンと云時は御變替へんがへなりません其所そこを御承知で御座りますかとねんおせば重四郎何が扨武士に二ごんは御座りませんと云ふにぞお勇はそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忘る蓬莱ほうらい仙境せんきやうも斯るにぎはひはよも非じと云ふべき景況ありさまなれば萬八樓よりそれたる一同は大門内おほもんうち山口巴やまぐちともゑと云引手茶屋へをどこめば是は皆々樣御そろひで能うこそおいであられしぞ先々二階へいらつしやいと家内の者共喋々てふ/\しき世事の中にも親切しんせつらしく其所そこ其所こゝよと妓樓まがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつであったか、久しぶりに柳沢の家をのぞいて見ると玄関に背の高い色の白い大柄な一目に芸者それと見える女がいて、お召の着物に水除みずよけの前掛けをしてランプに石油をいでいた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
それいでは新著百種しんちよひやくしゆ末頃すゑごろ離鴛鴦はなれをしふのを書いたが、それが名を端緒たんちよであつたかと思ふ
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)