“蓋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふた65.0%
けだ22.7%
かさ2.5%
おお2.1%
ぶた2.0%
おほ1.0%
けだし0.9%
がい0.9%
おおい0.6%
きぬがさ0.5%
そは0.4%
おい0.2%
0.1%
おほひ0.1%
かい0.1%
かぶ0.1%
0.1%
たし0.1%
0.1%
なん0.1%
カサ0.1%
カブ0.1%
ガイ0.1%
ケダ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母は縫目ぬいめをくけながら子を見てそういった。子は黙って眼を大きく開けると再び鉄壜のふた取手とってを指で廻し始めた。母はまたいった。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
古来いふ佳人は薄命なり、と、けだし社会が渠をして薄命ならしむるのみ。婚姻てふものだになかりせば、何人なんらの佳人か薄命なるべき。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
下宿へ帰って来た俊助しゅんすけは、制服を和服に着換きかえると、まず青いかさをかけた卓上電燈の光の下で、留守中るすちゅうに届いていた郵便へ眼を通した。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この内子は、あるていど以上成熟すると、粒の存在がわかる程度に成長して、甲羅の裏についているおおいぶたの中にたくわえられる。
母性愛の蟹 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
と、徳利をつかんだまま、よろよろと、立ちあがると、ガタピシとぶすまをあけ立てして、庫裡くりの戸棚の中の、ぶたね上げる。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
雲のするわざも多きが中に、いとおもしろきは、冬の日の朝早く、平らかにわたれる雲の、谷を籠め麓をおほひて、世の何物をも山の上の人には見せぬことなり。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
けだしたからの在る所心もまた在る」道理で、お馨さんを愛する程の人は、お馨さんの死んだ米国をおもわずには居られないのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
春夏は緑、秋は黄とあかがいをさしかざす。家の主はこの山もみじの蔭に椅子テーブルを置いて時々読んだり書いたり、そうして地蔵様を眺めたりする。
地蔵尊 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
黒塗くろぬりのランドーのおおいを、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には絹帽シルクハットが一つ、美しいくれないの日傘ひがさが一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
またこの寺には一切経がないということを聞いて法然は自分所持の一切経一蔵を施入した処、住僧達喜びの余り老若七十余人華を散し、香をたき、はたを捧げ、きぬがさを揷してお迎えをした。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そはもし衣にだにもさはらばいえんとおもへばなりイエスふりかへりをんなを見て曰けるはむすめよ心安かれ爾の信仰なんぢを愈せり即ち婦この時よりいゆ
忘れがたみ (新字新仮名) / 原民喜(著)
そして、おいも、御簾みすも、ながえも、一つ一つになって、めらめらと地上に美しい炎の流れを描いた。介は、発狂したように
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世をうとても大ならず
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
白髮は死の花にして、その咲くや心の火は消え、血は氷とならんとす。來れ、彼輕舸けいかの中に。二人はそのおほひの下に隱れて、窓を塞ぎ戸を閉ぢ、人の來りうかゞふことを許さゞらん。
祭に田楽舞があつた。混外は王子権現の別当であつたので、祭果てて後に、舞の花笠一かいを榛軒に贈つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それから上陸して境駅の入際いりぎわからすぐ横へ切れると、森の中の小径へかかッた,両側にはすぎひのきならなどのたぐいが行列を作ッて生えているが、上から枝がかぶさッていて下に木下闇こしたやみが出来ている
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
しかして彼の平易なる独逸語を以て著述せしその註解書を読まん、「今よりのちたれも我をわずらわすなかれ、はわれ身にイエスの印記しるしびたればなり」(六章十七節)、ああ何たる快ぞ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
たしか御承知でゐらつしやいましたらう。ぜんに宅に居りました向坂さぎさかと申すの、あれが静岡へ参つて、今ではちよつさかんに遣つてをるので御座います。それで、あの方は静岡の参事官でおいでなのでした。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何れか戀のほむら其躯そのみを燒きくし、殘る冷灰の哀れにあらざらんや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ただそれ識見は如何いかに深く人事の細微に通じ広く世間の状勢を知り人心の転化を究め性情の奥秘を悟るに非ればなんぞ以て時世遠く隔り状況遥に異れる史上の真相を観破し得んや。
史論の流行 (新字旧仮名) / 津田左右吉(著)
目をあげると、東の方春日のモリは、谷陰になつて、こゝからは見えぬが、御カサ山・高圓タカマド山一帶、頂が晴れて、すばらしい春日和になつて居た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
だが何だかモヤモヤと温い摺鉢のやうなものが脳膸の天井にカブさつてるやうで、過去一年間の其処にある何にも彼の頭に蘇りはしなかつた。
校長 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
軍井グンゼイイマダ達セズ、将カツハズ。軍幕未ダベンゼズ、将ムヲ曰ハズ、軍サウ未ダカシガズ、将飢ヱヲ曰ハズ、冬、キウヲ暖ニセズ、夏、センラズ、雨ニガイヲ張ラズ。是ヲ、将ノ礼トイフ。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ク八石ヲセテ、一人ニテスヲ得ベシ。前ハ牛頭ノ如シ。マタ、大車アリ、四人ヲ用イテ、十石ヲ推載ス。ケダシ木牛流馬ニナラエルモノカ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)