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黒塗
染出したる
萌黄緞子の
油箪を掛て二棹宰領四人づつ次に
黒塗に
金紋付
紫きの
化粧紐掛たる先箱二ツ徒士十人次に黒天鵞絨に白く
御紋を
大連で夜間飛行の練習をやっていると、計器盤のある処に
点いているライトの光で、その
黒塗の計器盤に、
己の乗っている飛行機の
後から
革を
卷いた
弓、
黒塗りの
箙、
鷹の
羽の
征矢が十七
本、——これは
皆、あの
男が
持つてゐたものでございませう。はい、
馬も
仰有る
通り、
法師髮の
月毛でございます。
雨の
降る
日も、この
黒塗りの
馬車は
駆けていきました。
風の
吹く
日も、
黒のシルクハットをかぶって
燕尾服を
着た
皇子を
乗せた、この
馬車の
幻は
走っていきました。