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くろぬり
黒塗のランドーの
蓋を、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には
絹帽が一つ、美しい
紅いの
日傘が一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
又お
履物は
黒塗りの
靴見いなものですが、それは
木の
皮か
何ぞで
編んだものらしく、そう
重そうには
見えませんでした……。
面部から咽喉にかけての所は、
咽輪と
黒漆の猛悪な相をした
面当で隠されてあった。そして、背には、軍配
日月の中央に
南無日輪摩利支天と
認めた
母衣を負い、その脇に竜虎の
旗差物が挾んであった。