“紅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あか39.2%
べに21.1%
くれない20.1%
くれなゐ6.8%
あけ6.3%
1.7%
こう1.6%
くれな0.8%
もみ0.7%
あこ0.3%
あから0.2%
べん0.2%
あアか0.1%
ホン0.1%
0.1%
くちびる0.1%
くれなる0.1%
とき0.1%
0.1%
アカ0.1%
コウ0.1%
コー0.1%
ベニ0.1%
ルウジュ0.1%
レッド0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「まるで作り物のようでござりまする。七夕のあかい色紙を引裂いて、そこらへ一度に吹き付けたら、こうもなろうかと思われまする」
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「町内の風呂屋へ行って訊くまでもあるめえ、顔へべになんか塗りやがって——御徒士町からここまで、駆けて来て主人を殺したろう」
汽車に連るる、野も、畑も、はたすすきも、薄にまじわくれないの木の葉も、紫めた野末の霧も、霧をいた山々も、皆く人の背景であった。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お吉の指す方、ドブ板の上には、向う側の家の戸口から射すあかりを浴びて、あけに染んだ、もう一人の娘が倒れてゐるではありませんか。
葉子は狂女のように高々たかだかと笑った。岡は葉子の物狂おしく笑うのを見ると、それを恥じるようにまっになって下を向いてしまった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ふすましずかに開いて現われたのが梅子である。紳士の顔も梅子の顔も一時いちじにさっとこうをさした。梅子はわずかに会釈して内に入った。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
黒塗くろぬりのランドーのおおいを、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には絹帽シルクハットが一つ、美しいくれないの日傘ひがさが一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「歩く拍子ひょうしもみのはつちと浅黄縮緬あさぎちりめん下帯したおびがひらりひらりと見え」とか「肌の雪と白き浴衣ゆかたの間にちらつく緋縮緬の湯もじを蹴出けだすうつくしさ」
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
まるいなだらかな小山のような所をおりると、幾万とも数知れぬ蓮華草れんげそうあこう燃えて咲揃さきそろう、これにまた目覚めながらなわてを拾うと、そこはやや広い街道にっていた。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
奥さんの小言の飛沫とばしり年長うえのお嬢さんにまで飛んで行った。お嬢さんは初々ういういしい頬をあからめて、客や父親のところへ茶を運んで来た。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あがった所は住吉すみよし村、森囲いでべんがらぬりの豪家、三次すなわちあるじらしいが、何の稼業か分らない。湯殿から出て、空腹すきばらを満たして、話していると夜が明けた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あアか金魚きんぎよあそびませう。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
焼いた手を痛そうに、他の手で押えながら顔をあげて、ぐるりをはゞかるように見わたしたホンは、小山の視線に出会すと、すぐ、まだ煙が出ている木箱の方へ眼を伏せた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「剛さん、マ、何を貴郎あなた」と梅子はサツと、かほかめぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あの夢現ゆめうつつのまどろみの中に現われるのだ——あの素破すばらしい弾々だんだんたる肉体、夢の様な瞳、はなびらのような愛らしいくちびる、むちむちとした円い体の線は、くびれたような四肢を持って僕にせまって来るのだ
蝕眠譜 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
唇のくれなるも掻巻にかくれて、ひとえに輪廓の正しき雪かと見まがう、お夏の顔をじっと見ながら、この際大病人の予後でもいいきけらるるを、待つごとく、愛吉呼吸いきを殺して、つい居ると
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で——軒から軒の浅黄暖簾のれんや、がら色の出格子でごうしのうちから
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
リョウノ太キ格子コウシヘダテテ訪ネ来ル手ハ、黄八丈キハチジョウノ着物ニ鹿シボリノ広帯ヲ締メ、オ河童カッパニ三ツノアカキ『リボン』ヲ附ク、今ヨリ約十八年ノ昔ナリ。名乗リ出デヨ吾ガ双生児ノ同胞ハラカラ
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
時に八重咲のものがあって八重ヒガン、一名コウヒガン(var. Fukubana Makino.)と称するが、けだしこれがいわゆる熊谷桜クマガエザクラのそれではないかと思う。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
即ち紅幇は青幇へ進む一階段ともなっている。だから数の如きもコーチンより大分多い。
そしてその色の濃い品を特にベニスジと称して珍重する。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
美和子は、云いわけをしながら、小さい唇に、タンジーのルウジュをつけている。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その前に、ちょっとサモンの話をしておこう。ユーコン河をのぼってくる鮭はキングドックレッドシルバーの四種になっている。
南部の鼻曲り (新字新仮名) / 久生十蘭(著)