“紅”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
あか39.1%
べに21.7%
くれない20.6%
くれなゐ7.0%
あけ5.4%
1.6%
こう1.6%
もみ0.7%
くれな0.6%
あこ0.3%
(他:14)1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“紅”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語19.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌14.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)9.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
岸本はその節子の眸を見るような心持で、支那風しなふうあか紙箋しせんに鉛筆で書いてある彼女の心の消息を読んだ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その砂利の間の薄暗がりから、頭だけ出している小さな犬蓼いぬたでの、血よりもあかい茎の折れ曲りを一心に見下していた。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
聳立そびえたった、洋館、高い林、森なぞは、さながら、夕日のべにを巻いた白浪の上のいわの島と云ったかたちだ。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
浅傷あさでではありますが、眉間みけんをはすがけに斬られているので、彼の満面はさながら、べにで顔を洗ったようです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目の前なる砂山の根の、その向き合える猛獣は、すすきの葉とともに黒く、海の空は浪の末に黄をぼかしてぞくれないなる。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北の方で、すじをなさぬくれないや紫の電光いなずまが時々ぱっぱっと天の半壁はんぺきてらしてひらめく。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
もみぢ吹上ふきあげたのが周圍しうゐはやしさそつて、滿山まんざんくれなゐ
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもては今にも破れぬべくくれなゐに熱して、舌のかわくにへかねてしきり空唾からつばを吐きつつ、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
昨日の朝、お豊が朝の仕度をして、雨戸を開けに行くと、寅五郎は自分の部屋の中で、あけに染んで死んでゐたといふのです。
それは 精好せいがうあけと白茶の金欄の張交箱に住みし小鼓 といふので、之亦偶〓取り出して見た趣きであらう。
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
な桃畑も黒く見える。負傷者の群れがそこにうめきあっていた。負傷した将兵は半分気がちがっているように、
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝の太陽がいつのまにか叡山えいざん連峰の山間やまあいから、つとくし形のかどをあらわしているのだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「日本語なんか僕知らないや、百がサルでにちがスベで、こうがリだろ。英語では百日ってハンドレッド・デイっていうよ」
人造人間 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
東方とうはう臥龍山ぐわりうざんいたゞきすこしくしらみて、旭日きよくじつ一帶いつたいこうてうせり。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
胸に小さい宮を懸けて、それにもみで縫った括猿くくりざるなどをり下げ、手に鈴を振って歩く乞食こじきである。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さて、気がついて、相手を見ると、黒羽二重くろはぶたへの小袖に裾取すそとりもみうらをやさしく出した、小肥こぶとりな女だつた。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
くれないは眼のふちを薄く染めて、うるおった眼睫まつげの奥から、人の世を夢の底に吸い込むような光りを中野君の方に注いでいる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ゆかの上を見るとそのしたたりのあとが鮮やかなくれないの紋を不規則につらねる。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、しどろになって会釈すると、おもてを上げたさみしい頬に、唇あこ莞爾にっこりして、
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さっきからあからめし顔はひとしおあこうなりて浪子は下向きぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『あの、まことに――』と、お菊はよく、顔をあからめながら、勝手口から隣の勝手口へ、女同志の心やすだて、打明けに行くことがあった。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥さんの小言の飛沫とばしり年長うえのお嬢さんにまで飛んで行った。お嬢さんは初々ういういしい頬をあからめて、客や父親のところへ茶を運んで来た。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「剛さん、マ、何を貴郎あなた」と梅子はサツと、かほかめぬ、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ルミは、あの夢現ゆめうつつのまどろみの中に現われるのだ――あの素破すばらしい弾々だんだんたる肉体、夢の様な瞳、はなびらのような愛らしいくちびる、むちむちとした円い体の線は、くびれたような四肢を持って僕にせまって来るのだ、イヤ
蝕眠譜 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
そのまま黙って、その微塵縞一楽の小袖の膝に、酔はさめたが、唇のくれなるも掻巻にかくれて、ひとえに輪廓の正しき雪かと見まがう、お夏の顔をじっと見ながら、この際大病人の予後でもいいきけらるるを、待つごとく、愛吉呼吸いきを殺して、つい居ると、
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で――軒から軒の浅黄暖簾のれんや、がら色の出格子でごうしのうちから、
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あがった所は住吉すみよし村、森囲いでべんがらぬりの豪家、三次すなわちあるじらしいが、何の稼業か分らない。湯殿から出て、空腹すきばらを満たして、話していると夜が明けた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
リョウノ太キ格子コウシヘダテテ訪ネ来ル手ハ、黄八丈キハチジョウノ着物ニ鹿シボリノ広帯ヲ締メ、オ河童カッパニ三ツノアカキ『リボン』ヲ附ク、今ヨリ約十八年ノ昔ナリ。名乗リ出デヨ吾ガ双生児ノ同胞ハラカラ
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
時に八重咲のものがあって八重ヒガン、一名コウヒガン(var. Fukubana Makino.)と称するが、けだしこれがいわゆる熊谷桜クマガエザクラのそれではないかと思う。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
だから数の如きもコーチンより大分多い。
そしてその色の濃い品を特にベニスジと称して珍重する。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
幹太郎は、小山の下顎骨の落ちこんだ口元が、苦るしげに歪むのを見た。ホンは、なお気がかりらしく、今度は恐る恐る、上目遣いに職長の方を見た。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
焼いた手を痛そうに、他の手で押えながら顔をあげて、ぐるりをはゞかるように見わたしたホンは、小山の視線に出会すと、すぐ、まだ煙が出ている木箱の方へ眼を伏せた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
美和子は、云いわけをしながら、小さい唇に、タンジーのルウジュをつけている。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)