“とき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トキ
語句割合
時30.7%
刻18.3%
鬨12.3%
秋6.3%
斎2.9%
時刻2.5%
喊2.1%
鯨波2.1%
土岐1.5%
時間1.5%
季1.2%
晌1.1%
瞬1.1%
朱鷺1.1%
期1.0%
淡紅1.0%
閧1.0%
季節0.7%
解0.7%
時代0.7%
機0.6%
瞬間0.5%
時機0.5%
妬忌0.4%
時期0.4%
時節0.4%
齋0.4%
説0.3%
吶喊0.3%
晷0.3%
際0.3%
鴇0.3%
鴾0.3%
水紅0.3%
辰0.3%
動悸0.2%
哄0.2%
常0.2%
当時0.2%
時日0.2%
時音0.2%
桃花鳥0.2%
機会0.2%
則0.1%
時報0.1%
食事0.1%
桃花猫0.1%
ヶ時0.1%
凱0.1%
利0.1%
刻限0.1%
十寸0.1%
喊声0.1%
場合0.1%
婚期0.1%
富木0.1%
将0.1%
微紅0.1%
拍子0.1%
斎糧0.1%
斎食0.1%
斎飯0.1%
旦0.1%
時分0.1%
時勢0.1%
時季0.1%
時際0.1%
時鳴0.1%
晴紅0.1%
杜祺0.1%
機時0.1%
歳月0.1%
秒刻0.1%
節0.1%
紅0.1%
聲0.1%
薄赤0.1%
運0.1%
長鳴0.1%
須臾0.1%
鶏鳴0.1%
齋飯0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
柱時計(はしらどけい)は、カッタ、コット、カッタ、コットと、たゆまず時(とき)をきざんでいましたが、聞(き)きなれているので、かくべつ耳(みみ)につきません。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどそれが、いつも半日かわずか二タ刻(とき)遅れだった。かくてついつい幾日かを釣られて歩き、徐寧はいやが上にも、焦(いら)ついていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜が明けると、相も変らず寄せ手の激しい攻撃が始まって、鉄炮の音、煙硝(えんしょう)の匂、法螺貝(ほらがい)、陣太鼓、鬨(とき)の声などが一日つゞいていた。
近年、我が日本において、都鄙(とひ)上下の別なく、学問の流行すること、古来、未だその比を見ず。実に文運降盛の秋(とき)と称すべし。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「おそらくは、由緒あるお山のご高徳でいらせられましょう。ぜひ、一夕(せき)のお斎(とき)なと差上げて、ご法話でも伺いたいと申されますが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時刻(とき)が経(た)ちまするので、ただ居てはと思召(おぼしめ)して、婆々に御馳走(ごちそう)にあなた様、いろいろなものをお取り下さりますように存じます、ほほほほほ。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
河の殆ど中央に蟠(わだかま)る巨岩に思うさま衝き当って、喊(とき)の声と共に水烟を揚げてうねり狂って行くが、すぐ右に曲って絶壁の間に身を潜めている。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
勢い戦場には丸腰で、只鯨波(とき)の声の数だけに加わるような始末である。それも昂じて他人の財産を賭けて、争うに至ったと云う。
応仁の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と由兵衞が頻(しき)りに喋って居ると、向うの四畳半の離れに二人連の客、一人は土岐(とき)様の藩中でございまして岡山五長太(おかやまごちょうだ)と云う士族さん、酒の上の悪い人
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早く申せば旨くもねえものをこんなに数々とりはせぬぞ、長居をして時間(とき)を費(ついや)し、食いたくもない物を取り、むだな飲食(のみくい)をしたゆえ代は払わんぞ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
碧く晴れた空に季(とき)ならぬときに色づいた此処の柿だけが、風鈴の赤い硝子玉のやうにくつきりと浮んでゐた。
蔭ひなた (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いひ出してはいづれ小半晌(とき)と、澄も今はお園の手前『おお忘れてゐた、夕刻までに、行かねばならぬ処があつた』
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
と、その矢先、壇上の一角に闇が破られて、一本の燐寸(マッチ)の火が、階段を客席の方に降りてきた。それから、ほんの一瞬(とき)であったが、血が凍り息窒(いきづ)まるようなものが流れはじめた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
生は桜色と朱鷺(とき)色との中間ぐらいの淡紅色で、この種のものの中で一番感じがよい。乾燥したものはいくぶん代赭(たいしゃ)色に近い。
くちこ (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
ほろぼすところに関(かか)っておるのじゃ! さればこのたびの汝の所業は、神の界(くに)への裏切りじゃぞ! ……許さるる期(とき)あるまいぞよ! ……日夜念々神の怒り
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白の洋装で髪をお垂下(さげ)にし、丈の長い淡紅(とき)色のリボンを翻(ひら)めかしながら力漕をつづけているのは、紛(まご)うかたなく彼の少女であッた。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
良兼は護の縁につながつて居る者の中の長者であつた。良兼の妻も内から牝鶏(めんどり)のすゝめを試みた。雄鶏は終(つひ)に閧(とき)の声をつくつた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
暑い/\八月も中旬(なかば)になつた。螢の季節(とき)も過ぎた。明日(あす)は陰暦の盂蘭盆(うらぼん)といふ日、夕方近くなつて、門口から噪(はしや)いだ声を立てながら神山富江が訪ねて来た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、自分の髪を入髪(いれげ)なしに解(とき)ほぐして、その緋の袴と擦れ擦れに丈に余るってのは、あの婦(おんな)ばかりだと云ったもんです。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いや広言ではない。時代(とき)こそ降(くだ)るが、わが柴家(さいけ)は天子の裔(えい)だ。しかも証拠の丹書鉄券(おすみつき)も伝わっている」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我もミノタウロのしかするを見き、彼機(とき)をみてよばゝりていふ、走りて路を得よ、彼狂ふ間(ま)にくだるぞ善き 二五—二七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ところで一方葉末さんとしては、満二十歳になった瞬間(とき)、ぜひ誰かと結婚しなければならない。もしその時結婚すれば、財産は葉末さんと琢磨氏とで、折半をして取ることが出来る。
怪しの館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ええ業腹(ごうはら)な、十兵衛も大方我をそう視て居るべし、とく時機(とき)の来よこの源太が返報(しかえし)仕様を見せてくれん、清吉ごとき卑劣(けち)な野郎のしたことに何似るべきか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
理財にも長(た)け、落合にある病院などもうまくやり、理知と世才に事欠くように見えなかったが、内実は、悪念のさかんな、妬忌(とき)と復讐の念の強い、妙に削(そ)げた陰鬱な性情らしく
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
然しね、そんな場合になつたからと云つても、自分の心さへ確固(しつかり)してゐたら、また如何とかならうから、そしたら常々お前の言つてたやうに豪くなる時期(とき)が來んとも限らん。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
冗費を節して、恒(つね)の産を積んで、まさかの時節(とき)に内顧の患(うれい)のないようにするのは、そらあ当然さ。ねエ浪さん。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
華嚴宗らしくもない近代的な齋(とき)の饗應にあづかつた後で、私は經庫の拜觀を申し出た。經庫はアゼクラ式で、小さいながらも陳列はよく整理されてあつた。
奈良二題 (旧字旧仮名) / 野上豊一郎(著)
長いあいだ家へ寄つきもしない壮太郎の代りに、家に居坐らせるため、植源を出て来て、父の手助に働かせられていたお島は、兄に説(とき)つけられて、その時ふいと旅に出る気になったのであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
猛(たけ)りつ狂いつ地を一呑みにし、喇叭(らっぱ)の声鳴り渡るも立ち止まる事なし、喇叭の鳴るごとにハーハーと言い、遠くより戦闘を嗅(か)ぎつけ、将帥の大声および吶喊(とき)の声を聞き知る
第七 窖蔵(こうぞう)ノ氷雪夏月鳥魚諸肉ノ敗餒(はいだい)ヲ防ギ水漿(すいしょう)ヲ冷ヤシテ収儲(しゅうちょ)晷(とき)ヲ延(ひ)クコトヲ得イハユル氷雪冬時コレヲ蔵シ夏時コレヲ開キ食肉ノ禄(ろく)喪祭賓客用ヒザルコト無シコレ亦(また)輔相調爕(ちょうしょう)ノ一事トコレナリ
雪 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
召連れ領主役場の腰掛(こしかけ)へ參りし際(とき)九助は爪印(つめいん)濟(すみ)に成とて腰掛の圍(かこひ)の中に居し故實は下役人へ少の贈物(おくりもの)を致し其人の心入にて腰掛(こしかけ)の小蔭(かげ)で此世の暇乞(いとまごひ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
封筒の寸法は縦(たて)四寸、横二寸三分、鴇(とき)色地に桜ン坊とハート型の模様がある。桜ン坊はすべてで五顆(か)、黒い茎に真紅(まっか)な実が附いているもの。ハート型は十箇で、二箇ずつ重なっている。
卍 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
鴾(とき)の火だ。鴾の火だ。もう空だって碧(あお)くはないんだ。
若い木霊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
薙刀の鋭(と)き刃のように、たとえば片鎌の月のように、銀光を帯び、水紅(とき)の羅(うすもの)して、あま翔(かけ)る鳥の翼を見よ。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
良辰佳会古難並 〔良(よ)き辰(とき)と佳(よ)き会(かい)は古(いにしえ)より並び難し
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
と新九郎は動悸(とき)めく胸を隠すような声で、やっと訊き返した。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うわッ」と、哄(とき)を上げて攻めかかりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
わが越ゆる古街道の和田峠常(とき)あたらしき白樺しげる
二人の女歌人 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
あの当時(とき)の唄にそのままです。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ウルピノ山(さん)の聖人(ひじり)の仰(おつしや)つた樣(やう)に、昔(むかし)から色々(いろ/\)の口碑(くちつたへ)のある中(なか)で、船旅(ふなたび)程(ほど)時日(とき)を選(えら)ばねばならぬものはありません、凶日(わるいひ)に旅立(たびだ)つた人(ひと)は屹度(きつと)災難(わざはひ)に出逢(であ)ひますよ。
外を通る護謨車(ゴムぐるま)のベルの音が二三度鳴った後(あと)から、遠くで鶏の時音(とき)をつくる声が聞えた。
門 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
桃花鳥(とき)は蛇を常食とするため、時々卵に異状を起し、蛇状の子を生む。
「与兵衛を討つのはこの機会(とき)だ」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其の時院の御(み)けしきかはらせ給ひ、汝聞け、帝位は人の極(きはみ)なり。若(も)し人道(にんだう)上(かみ)より乱す則(とき)は、天の命(めい)に応じ、民(たみ)の望(のぞみ)に順(したが)うて是を伐(う)つ。
汝ここを去らずして一三二徐(しづか)に此の句の意(こころ)をもとむべし。意解けぬる則(とき)は、おのづから一三三本来の仏心に会ふなるはと、一三四念頃(ねんごろ)に教へて山を下り給ふ。
……“時報(とき)ノ鶏(とり)”を盗んで食っちまうような小盗(こぬす)ッ人(と)……公徳心のない乞食野郎……そういう人物は梁山泊へ入れたくない
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うんにゃ。この鶏は、ただの鶏とはわけが違う。時報(とき)ノ鶏(とり)といって、狂いなく五更(よあけ)を告げるんで、この界隈(かいわい)での共同の物になっているのだ。さあ生かして返せ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どの面さげてお食事(とき)に出たり、お寺のソースをたいらげたりできますかい? とても恥ずかしくって、そんなことはできませんよ、失礼します!
『まるで何事もなかったように、しゃあしゃあとしてお食事(とき)へ出ようとしていやがる!』こう肚(はら)の中で考えた。『鉄面皮即カラマゾフ的良心だ!』
次に鶏肋(けいろく)として存じて置きたい一話は、蘭軒が猫を愛したと云ふ事で、その蓄(か)つた所の桃花猫(とき)と呼ばれた猫の伝さへ口碑に遺つてゐる。これより伊沢氏桃花猫(たうくわべう)の伝に入る。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
毛色が白に紅(くれなゐ)を帯びてゐた。所謂桃花鳥(とき)色である。それゆゑ名を桃花猫(とき)と命じた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
逢魔(おうま)ヶ時(とき)という海の夕暮でした。ぼくは電燈もつけず、仄暗(ほのくら)い部屋のなかで、ばかばかしくもほろほろと泣いてみたい、そんな気持で、なんども、その甘(あま)い歌声をきいていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「初めは私等の室の十二、三人のものが逃走しようという相談をきめて、運動に出た時に、ワアァと凱(とき)の声をあげたんです。」
続獄中記 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
比隣(となり)のワラキア人はやはり翼と利(とき)爪(つめ)あり、焔と疫気を吐く動物としおる由を言い、件(くだん)の竜(ドラコン)てふ巨人に係る昔話を載す。
そうして刻限(とき)をきざむ音にちいさい耳を欹(そばだ)てた。白い肌をもつ時計には卵黄色に曇った電燈のあかりが、光をやや弱めながら近づいていた。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
山三郎は此の馬を見ますると好(い)い白馬だ、白馬と申しても濁酒(にごりざけ)とは違います、実に十寸(とき)もある大馬で、これに金梨地(きんなしじ)の蒔絵の鞍を置き、白と浅黄(あさぎ)の段々の手綱(たづな)で
真っ黒な人馬の横列が、喊声(とき)をあげて、関ヶ原の中央(まんなか)を掃きながら、此方(こなた)へ殺到して来るのだった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは重大のことですが」レザールはにわかに重々しく、「エチガライさんが来られた場合(とき)の閣下の態度はどんなようでしょう?」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まだその頃は女子(によし)生るとも父の恐れとならざりき、その婚期(とき)その聘禮(おくりもの)いづれも度(のり)を超(こ)えざりければなり 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
日蓮は一時難を避けて、下総中山の帰衣者富木(とき)氏の邸にあって、法華経を説いていた。
而(しか)して将(とき)にこの稿を了らむとするに当り、僅か三週の間なりしとは云へ、我が半生に於ける最大の安慰(ゐせき)と幸福とを与へたりしかの陋苦(むさくる)しき四畳半が
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
葉の茂みの軟かさにもあるのだろうが一つは微紅(とき)色をした房花に、少女として自分の膝元に育て上げていた時分の福慈の女神の可憐な瞳の面かげを見出していたのではあるまいか。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いうにもお前が全盛な花魁だから、中々ゆる/\話してることが出来ないじゃないか、少し話しかけると廻しに出ていくしさ、おばさんが迎いに来るかとおもえば、また拍子(とき)で出られるしよ
これはわたくしの家の掟でございまして、その折には四季に食べるお斎糧(とき)を小者にかつがせ、腐らぬ漬物などを用意してまいります。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「斎食(とき)のしたくはいいか」
四又の百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
斎飯(とき)は向うで出るんだろう——と寅五郎に当てこすられて、空き腹を抱えて出かけたせいか、途中で気分が悪くなって、半里ばかり行って引返したというから
此理(り)を以てする時はお内義(ないぎ)さまいつもお内義さまでは陰中(いんちゆう)に陽を抱(いだか)ずして天理(てんり)に叶(かなは)ず、をり/\は夫(をつと)に代(かは)りて理屈(りくつ)をいはざれば家内(かない)治(おさまら)ず、さればとて理屈(りくつ)に過(すぎ)牝鳥(めんどり)旦(とき)をつくれば
どうぞ御身(おみ)を大事に遊ばして、必ず気をながくお持ち遊ばして、ね、決して短気をお出しなさらぬように——御気分のいい時分(とき)はこの書(ほん)をごらん遊ばして——私は東京(あちら)に帰りましても
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
時勢(とき)が時勢(とき)で、良人(おっと)は滅多に宅(うち)にいませず、舅姑(しゅうと)に良人の姉妹(きょうだい)が二人(ふたり)=これはあとで縁づきましたが=ありまして、まあ主人を五人もったわけでして、それは人の知らぬ心配もいたしたのですよ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
壁に寄せて古甕(ふるがめ)のいくつか並べてあるは、地酒が溢れて居るのであらう。今は農家は忙しい時季(とき)で、長く御輿(みこし)を座(す)ゑるものも無い。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今は充分に此の身を自重せねば成らぬ時際(とき)だ、是から何の様な闘いに臨まねば成らぬかも知れぬ、毒蜘蛛の巣窟と云う蜘蛛屋へも行かねば成らぬかも知れぬ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
快活な同じ鐘の音は、麓(ふもと)の町からも聞こえて来た、牡鶏(おんどり)が村から村に時鳴(とき)を啼(な)き交すように。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
内側の方には白い縁のついた晴紅(とき)色の斑がある。そして此の花は五枚の小さな葉が輪になつたものへ真中から出てゐる。此の小さな葉もやはり花の一部分だ。
「狐狸の沙汰じゃ! 悪霊の惑わしじゃ! 一旦殺された市之丞殿が蘇生(よみが)えって来る訳はない! ああこんな機時(とき)幻灯機械があったら、土牢の内を照らして見るものを!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
重(かさ)なる歳月(とき)は移(うつ)れども
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
秒刻(とき)は銀波を砂漠に流し
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
勝四郎は雀部(ささべ)に従ひて京にゆき、絹ども残りなく交易せしほどに、当時(このごろ)都は四三花美(くわび)を好む節(とき)なれば、四四よき徳とりて東(あづま)に帰る用意(はかりごと)をなすに、今度(このたび)上杉の兵(つはもの)鎌倉の御所を陥(おと)し
鬼怒川西の川尻では中山忠藏方におし入り拔身を下げてこは談判中、壬生の勢が來ると聞いて、曳いて來た馬にも乘らずにころび/\長塚の渡しまで來ると船が無い。うしろには聲(とき)、前は川。
天狗塚 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
朝枝は水っぽい花模様の単衣(ひとえ)を着、薄赤(とき)色の兵児(へこ)帯を垂らしているが、細面の頸の長い十六の娘で、その四肢(てあし)は、佝僂(せむし)のそれのように萎え細っていた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
然れども運(とき)移り世異にして、いまだその事を行ひたまはざりき。
遠くでは鶏が長鳴(とき)をつくり、またすっかり寝しずまった市のどこかを、粗羅紗の外套にくるまった、どんな階級の、どんな身分の者か、それは知る由もないが
己酉(つちのととり)(二十八日)……さらに日本(やまと)の乱伍(らんご)、中軍(ちゅうぐん)の卒を率いて進みて大唐の軍を伐(う)つ。大唐、便(すなわ)ち左右より船を夾(はさ)みて繞(めぐ)り戦う。須臾(とき)の際(ま)に官軍(みいくさ)敗績(やぶ)れぬ。水に赴(おもむ)きて溺死(しぬ)る者衆(おお)し。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
厩(うまや)と鳥屋(とや)といっしょにあった。牝鶏(めんどり)の馬を評する語に、——あれは鶏鳴(とき)をつくる事も、鶏卵(たまご)を生む事も知らぬとあったそうだ。もっともである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
出かけたのは薄暗くなつてから、尤(もつと)も——法事に行くなら、齋飯(とき)は向うで出るんだらう——と寅五郎に當てこすられて、空き腹を