“瞬”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
またた46.8%
まばた11.7%
またゝ10.9%
またたき7.0%
まばたき4.3%
しゆん3.5%
とき2.7%
しばたた2.5%
しゅん1.6%
またゝき1.4%
また1.4%
しばた1.2%
しばだた0.8%
めばた0.6%
しばたゝ0.6%
まじろ0.6%
またたく0.6%
めばたき0.4%
しばだ0.2%
まじろぎ0.2%
またたさ0.2%
まば0.2%
まんじ0.2%
みは0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
不思議ふしぎあねは、まちなかとおって、いつしか、さびしいみちを、きたほうかってあるいていました。よるになって、そらにはほしまたたいています。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少しも恐れた気色がなく、まばたきもしないで彼の眼中を見すえているのだ。敷布の上にひろげた手は泰然として震えだも帯びていない。
空家 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
行燈あんどん丁子ちやうじが溜つて、ジ、ジとまたゝきますが、三人の大の男は瞬きも忘れて、互ひの顏を、二本の徳利を、うつろな眼で見廻すのです。
大慈大悲の仏たちである。大して御立腹もあるまいけれども、さくがいいだけに、またたきもしたまいそうで、さぞお鬱陶うっとうしかろうと思う。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女は薄紅うすあかくなった頬を上げて、ほそい手を額の前にかざしながら、不思議そうにまばたきをした。この女とこの文鳥とはおそらく同じ心持だろう。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
壇に吸ひ付けられた六百の眼は、暫らくは氷の如く凝つと靜まりましたが、次の一しゆん忽然としてそれが恐ろしい動搖に變つたのです。
甘いすすり泣きに一ときしいんとなったかと思うと、あまりにも早いうちに、ろうのどこかで衆僧の呼ぶ声がここの男女ふたりを驚かせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正覚坊しょうかくぼうも、平助の言葉がわかったかのようにうなだれてしまいました。涙をこぼすまいとつとめているように眼をしばたたきました。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
湖水の波も心あるか、つめたい風を吹きおこして、松のこずえにかなしむかと思われ、も雲のうちにかくされて、天地は一しゅん、ひそとした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本尊ほんぞんは、まだまたゝきもしなかつた。——うちに、みぎおとが、かべでもぢるか、這上はひあがつたらしくおもふと、寢臺ねだいあし片隅かたすみ羽目はめやぶれたところがある。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は闇の中でまたたきをした。睡魔—敢えて此の場合「睡魔」と云う—が彼を見捨てようとして、足で彼の肩を蹴ったのだ。
そうして上げて、貴方あなた、そうして上げて頂戴ちょうだい! と、私の方を向いている妻の眼が、しばたいている。牡丹ぼたんはもう散ったが、薔薇ばらは花壇一杯、咲き乱れている。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
つかつかと行懸ゆきかけた与吉は、これを聞くと、あまり自分の素気そっけなかったのに気がついたか、小戻こもどりして真顔まがおで、眼を一ツしばだたいて
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何かに心動かされたとみえて、涙ぐんだらしいめばたきさえしていた。それでも溜息をつくことを忘れなかった。そして云った。
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
病人は歪んだ顔をして悲しさうに目をしばたゝいたが、それでもすなほに枝に手をかけて柿の木に登つて行つた。
逆立った眼で葉之助を見据みすえ、紋兵衛はまじろぎもしなかったが、ようやくホッと溜息をくと
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
酒や女に徒費するにはそれだけの金額などまたたくく間だ。裕福な友だちに逢ふと、おごりたくなる。逢ふまでもなく、電話で呼出して奢ることもある。どうしてだか、自分ながら分らない。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
それまでは数知れぬおそれと気づかわしさとが血管ちくだの中を針の流れるように刺しまわって、小さなめばたきをするにも乳までひびくようでございましたが
道成寺(一幕劇) (新字新仮名) / 郡虎彦(著)
「あの様子では最早もう先が永くは有りますめえ、不吉なことを言うようじゃが……」と倉蔵は眼をしばだたいた。この時老先生の声で
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
駄夫は変にモソモソして、何んだか妙にまじろぎばかり為たいやうな気になりながら、階段に浮かぶ朦朧とした薄暗うすくらがりを吸ひ又吐いて静かな階下したへ降りて来たら……
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
扇子おうぎかざし、胸を反らしてじっと仰いだ、美津の瞳は氷れるごとく、またたさもせずみはるとひとしく、笑靨えくぼさっと影がさして、爪立つまだつ足が震えたと思うと、唇をゆがめた皓歯しらはに、つぼみのような血をんだが
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それも船員の服らしく、袖口と襟とに見るもまばゆい、金モールの飾りがついていた。手には変った特色もない。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もしやそういう奴ではあるまいかと案じられてその夜はまんじりとも出来なかった程想像に駆られたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼は、私が部屋を間違えたような風を装って這入って行ったのにもかかわらず、私の顔を見ると、驚きとよろこびとの眼をみはりながら腰を上げた。