“熟”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
28.9%
じっ22.4%
じつ7.6%
じゅく7.4%
7.4%
じゆく3.9%
みの2.9%
よく2.1%
ぢつ1.8%
1.8%
1.6%
1.3%
つらつ1.3%
とく1.1%
つら/\1.1%
じツ0.8%
つく/″\0.5%
0.5%
うれ0.5%
つく0.5%
0.5%
よつ0.5%
ツラツラ0.5%
つくづ0.3%
つらつら0.3%
うま0.3%
うウ0.3%
こな0.3%
じく0.3%
つくづく0.3%
0.3%
とっく0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
木の上にゐた子供も下りて來て、取つたのを二人で分けながら、賄賂わいろのつもりか、よくれてゐるのを擇つて、二つ三つ私に呉れた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
で、またとぼとぼと杖にすがって、向うさがりに、この姿が、階子段に隠れましたを、じっると、老人思わず知らず、べたりと坐った。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かんがへてもたがい。風流人ふうりうじんだと、うぐひすのぞくにも行儀ぎやうぎがあらう。それいた、障子しやうじけたのでは、めじろがじつとしてようはずがない。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かぜかなくても、ちているよ。」と、きよちゃんは、このごろ、がよくじゅくして、ひとりでにちるのをっていました。
いちょうの葉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕舞には話がこゝに書いてある通に、確かにきまつて、近処に住む老若男女共、皆なくその始終を知つて居るやうになりました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
事定りてのち寺に於て稽古けいこをはじむ、わざじゆくしてのち初日をさだめ、衣裳いしやうかつらのるゐは是をかすを一ツのなりはひとするものありてもの不足たらざるなし。
また寸時も早く逃出のがれいでんと胸のみ轟かすほどに、やがて女はわが身を送出でて再び葡萄棚の蔭を過ぐる時みのれる一総ひとふさの取分けて低く垂れたるを見
葡萄棚 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
はて、不思議だと思いながら、抜足ぬきあしをしてそっけて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。よくると、其奴そいつが赤児を抱えていたのだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
まだまつたてないけむり便宜よすがに、あからめもしないでぢつときをんな二人ふたりそろつて、みはつて、よつツのをぱつちりとまたゝきした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私が梅の実のえて落ちる音を好むのもつまりそれで、その音を聞くと、忽然として閑寂のふところに佗びの心持を味うことが出来るからである。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
みんなで楽しみにしていたその実がいくらたんとっても、残らず自分一人で食べてしまうから。誰にだって分けてやりあしない。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
自分は腕組みしてっとしていたが、我母ながらこれ実に悪婆あくばであるとつくづく情なく、ああまで済ましているところを見ると、言ったところで
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
猟師かりうどの家につかへ、をさをさ猟のわざにもけて、朝夕あけくれ山野を走り巡り、数多の禽獣とりけものを捕ふれども。つらつら思へば、これまことおおいなる不義なり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
いや、あらためて、とくと、見せてもらおうじゃが、まずこっちへ寄らしゃれ。ええ、今のうたいの、気組みと、そのかた。教えも教えた、さて、習いも習うたの。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
只今致方無御座、目黒の不動へ參詣致、命に替て祈願きぐわんをこらし、晝夜いのり入事に御座候。つら/\思慮しりよ仕候處、いづれなり奸女をたをし候外無望時と伺居申候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
あれや是と思出が幻のやうに胸に閃く。彼は其を心につかまへて置いて、じツと見詰めて見るだけのゆとりとてもなかツた……、閃めき行くまヽだ。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかしつく/″\これを思へば、自己の態度を極めることが不可能ではないかと疑ふ。わたくしは少くもこれだけの事を自認する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
実のつた丹波王母珠たんばほゝづきほど紅うして、罪も無き高笑ひやら相手もなしの空示威からりきみ、朋輩の誰の噂彼の噂、自己おのれ仮声こわいろの何所其所で喝采やんやを獲たる自慢
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
婆さんに聞いて見ると、頗る水気みづけの多い、旨ひ蜜柑ださうだ。今にうれたら、たんと召し上がれと云つたから、毎日少し宛食つてやらう。もう三週間もしたら、充分食へるだらう。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つくづくと鏡の面をみつめたが、半揷の水面に写ったのと少しの違いもない、「慥かにこれはおれだ、——が、これは決しておれの顔じゃない」
評釈勘忍記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
配達夫は、御用聞の小僧のやうなせた口調で、勢よく云つた後、逃げ出すやうに垣つゞきの路をけて行つた。
姉弟と新聞配達 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
だがねお八重さん、お定さんもだ、まあよつく考へてみるこつたね。俺は奈何でも構はねえが、彼方へ行つてから後悔あとくやみでもする樣ぢや、貴女方あんたがた自分のこつたからね。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
りしにオモヘば是は燕子花とある漢字よりおもひよせられしものなりツラツラ考るに万葉七に墨吉之スミノエノ浅沢アササハ小野乃ヲヌノ加吉都播多カキツバタ衣爾キヌニ須里着将スリツケキ衣日ムヒ不知毛シラズモ又同巻にかきつばたキヌに摺つけますらを
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
もうはし上下あげおろしには言れますし、狭山と切れろ切れろのやかましく成りましたのも、それからなので、私はつらさは辛し、つくづくこんな家業は為る者ぢやないと
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一一八呆自あきれて足の踏所ふみどさへわすれたるやうなりしが、つらつらおもふに、妻は既にまかりて、今は狐狸の住みかはりて、かく野らなる宿となりたれば
一〇八まどかみ松風まつかぜすすりて夜もすがら涼しきに、一〇九みち長手ながてつかうまねたり。
葡萄ぶだうふウさうウれたぞ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼女の努力は、新らしい夫を叔父のような人間にこなしつけるか、またはすでに出来上った自分の方を、新らしい夫に合うように改造するか、どっちかにしなければならない場合によく出合った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
片端かたはしからじくして、枯れて
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「そんなになくつたつていくらもきやしない老人としよりのことをな」内儀かみさんはつくづくまたいつた。勘次かんじ餘計よけいしをれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
だ鍵盤にうつぶける梅子の横顔を、老女はくとながめ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
時次郎はとっくけんし、「うむ、心臓むね小刀ナイフが。……」言懸けて照子をれば、まなじり釣って顔色あおく、唇はわななけり。召したる薄色の羽織の片袖血潵ちしぶきを浴びてくれないしずく滴る。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昼のうちにれていた田から、気持の悪いぬるい風が、ボー、ボー、と両頬に当って、後へ吹いて行った。歩いて行くのに従って、蛙が鳴きやみ、逆に後の方から順々に鳴き出した。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
れて垂れて稲は刈られるばかり
行乞記:01 (一) (新字旧仮名) / 種田山頭火(著)