ぢつ)” の例文
まだまつたてないけむり便宜よすがに、あからめもしないでぢつときをんな二人ふたりそろつて、みはつて、よつツのをぱつちりとまたゝきした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先刻さつきから見て居るのよ、成程能く似て居ると思つて感心して居るのよ。」と女は言つて笑を含んでぢつと僕の顏を見て居る。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
取りけるが今外より下質の金八十兩請取うけとり亭主ていしゆ財布さいふに入れけるを喜八ぢつと見て居たりしが心の中に偖々さて/\有處あるところには澤山たくさんに有るもの哉我は只二分の金にさしつかへ妻を奉公に出せしに八十兩と云ふ金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さもしく或は軽浮であらうとも俺にはまた却てその無邪気と痴態とがしほらしくも亦いぢらしく思はれたのだつた……そればかりか俺も亦釣られて栗鼠のやうに飛びあるいた……而しておしまひには二人とも監獄に堕ちて了つた……兎に角……と又右の眼がぢつ霊魂たましひに喰ひ入るやうに覗き込む……汝達おまへたちはあまりに夢想家だつた
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
元二げんじは、えず、うたを、はだへてつてて、ひとにつくやうに、つかないやうに、ちら/\としては始終しじうぢつる。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
愈々いよ/\何日いつ決定きまつた?」と女の顏をぢつと見ながら訊ねた。女は十九か二十の年頃、色青ざめても力なげなる樣は病人ではないかと僕の疑つた位。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はて、何時いつに、あんなところ水車すゐしやけたらう、とぢつかすと、うやらいとくるまらしい。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぢつと見て居たが忽ち涙ぐんだ。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ときれたやうな眞黒まつくろ暗夜やみよだつたから、まつもすら/\と透通すきとほるやうにあをえたが、いまは、あたかくもつた一面いちめん銀泥ぎんでいゑがいた墨繪すみゑのやうだと、ぢつながら、敷石しきいしんだが
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
にくさげな、高慢かうまんな、ひと馬鹿ばかにしたかたちうだい、總別そうべつはない畜生ちくしやうだ、とこゝろから、石段いしだんれたかけらひろつて、ぞくにねことふ、川楊かはやぎがくれに、ぢつねらつて、ひしりとげる
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
婦人をんなぢつみまもつて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)