“熟視”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みつ24.3%
じゅくし16.2%
みまも13.5%
じゆくし10.8%
みつめ8.1%
よくみ8.1%
みい5.4%
よくみれ5.4%
よく/\みる5.4%
まも2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「先生」と源は放心した人のように灰の動く様を熟視みつめて、「先刻の御話でごわすが、足の骨を折られて死んだものがごわしょうか」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
余はことに彼ヤイコクが五束いつつかもある鬚髯しゅぜん蓬々ぼうぼうとしてむねれ、素盞雄尊すさのおのみことを見る様な六尺ゆたかな堂々どうどう雄偉ゆうい骨格こっかく悲壮ひそう沈欝ちんうつな其眼光まなざし熟視じゅくしした時
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
銀之助は直にもう高鼾たかいびき。どんなに丑松は傍に枕を並べて居る友達の寝顔を熟視みまもつて、その平穏おだやかな、安静しづか睡眠ねむりを羨んだらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
成程美術家には若い女を裸體にして熟視じゆくしするといふ特權とくけんがあるから、何も其の裸體がめづらしいといふので無い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
旦那様は少許すこし震えて、穴の開く程奥様の御顔を熟視みつめますと、奥様は口唇くちびるかすか嘲笑さげすみわらいみせて、他の事を考えておいでなさるようでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして、首をひねりながら熟視よくみると、今度はどうも粟田口物とは見えない、そうかといって何国どこの誰ともべつに当てがつかないのだ。
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
時々とき/″\同室どうしつ者等ものらけて、ひとりまどところつて、なにかをむねけて、かしらかゞめて熟視みいつてゐる樣子やうすたれ近着ちかづきでもすれば、きまりわるさうにいそいでむねからなにかをつてかくしてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
六月に氷をみる事江戸の目には最珍いとめづらしければ立よりて熟視よくみれば、深さ五寸ばかりの箱に水をいれその中にちひさ踏石ふみいしほどの雪の氷をおきけり。
椎谷の好事家通りかゝり、是を見てたゞならぬ木とおもひ熟視よく/\みるに、蛾眉山下※がびさんかのはしといふ五大字刻しありしをもつてかの国の物とおもひ、漁人ぎよじんにはたきゞあたへてひうけけるとぞ。
『省吾さん。』と丑松は少年の横顔を熟視まもり乍ら、『君はねえ、家眷うちの人の中で誰が一番好きなんですか——父さんですか、母さんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)