熟視まも)” の例文
『省吾さん。』と丑松は少年の横顔を熟視まもり乍ら、『君はねえ、家眷うちの人の中で誰が一番好きなんですか——父さんですか、母さんですか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すゞしい、とはいへ涙にれたひとみをあげて、丑松の顔を熟視まもつたは、お志保。仮令たとひ口唇くちびるにいかなる言葉があつても、其時の互の情緒こゝろもちを表すことは出来なかつたであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『君の兄弟は幾人いくたりあるのかね。』と丑松は省吾の顔を熟視まもり乍ら尋ねた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)