“情緒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
じょうしょ31.1%
じょうちょ24.4%
じやうしよ11.1%
センチメント6.7%
こゝろ4.4%
おもい4.4%
じやうちよ4.4%
こゝろもち2.2%
サンテイマン2.2%
ペイソス2.2%
こころ2.2%
こころもち2.2%
こヽろ2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もちろん淡い夢のような作品その物にも、彼女独得の情熱と情緒じょうしょがいかにあふれていたにしても、一般に受ける性質のものではなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
殿様とのさまのおしのびめいたり、しんみり父親の油滲あぶらじんだ手を思い出したりして、後に随いて廻っているうちに、だんだんに情緒じょうちょが出た。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
親切は直ぐに情緒じやうしよを刺㦸して、あなたの顏は優しい表情を浮べるやうになり、言葉の調子は穩やかになつて來た。
愛には全く論理ロジックがなく、その情操は純一に感傷的で、女性的に、柔和であって涙ぐましい。普通に言う「情緒センチメント」という美感は、この道徳情操に於て最高潮に表象される。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
丑松は仙太を背後うしろから抱〆だきしめて、誰が見ようと笑はうと其様そんなことに頓着なく、自然おのづ外部そとに表れる深い哀憐あはれみ情緒こゝろを寄せたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なんぞその心根の哀しさや。会いくば幾度いくたびにてもあえる、又た逢える筈の情縁あらば如斯こんな哀しい情緒おもいは起らぬものである。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この陽氣でおきやんな女の一皮下には、妙な悲劇的な情緒じやうちよのあるのを、平次はまざ/\と見せ付けられたやうな氣がしたのです。
すゞしい、とはいへ涙にれたひとみをあげて、丑松の顔を熟視まもつたは、お志保。仮令たとひ口唇くちびるにいかなる言葉があつても、其時の互の情緒こゝろもちを表すことは出来なかつたであらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おれは咄嗟に都合よく女の情緒サンテイマンの調子を合せるやうな発想を得なかつたので、間に合せにこんな平凡なことを故意わざとらしいアクサンで云つて
素描 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
後者の文章に熱と力と劇しい情感の渦が感じられる時、前者のそれに味はれるものは美しさと典雅さと懷しい情緒ペイソスの魅力である。
気質と文章 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
年は二十七、八でもあろうか、手入れの届いた、白い、なめし革のような皮膚は、男の情緒こころを悩ますに足り、受け口めいた唇は、女形おやまのように濃情のうじょうであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
智恵子は、信吾が帰つてからの静子の、常になく生々いきいきはしやいでゐることを感じた。そして、それが何かしら物足らぬ様な情緒こころもちを起させた。自分にも兄がある。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
よし山賤やまがつにせよ庭男にはをとこにせよ、れをひとくかるべきか、令孃ひめ情緒こヽろいかにもつれけん、じんすけ母君はヽぎみのもとにばれ、此返事このへんじなく、のこしげに出行いでゆきたるあとにて、たまかひな此文これいだ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)