“情”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
なさけ46.8%
じょう15.6%
なさ11.0%
じやう6.8%
こころ6.0%
つれ4.6%
すげ3.7%
こゝろ1.9%
なつか0.7%
ぜう0.5%
(他:14)2.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“情”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸48.4%
文学 > 日本文学 > 戯曲13.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
こんな男のために、品格にもせよ人格にもせよ、幾分の堕落を忍ばなければならないのかと考えるとなさけなかったからである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なさけで、ゑず、こゞえず、しか安心あんしんして寢床ねどこはひることが出來できた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、かれも大事をひかえて分別ふんべつある士、そうやすやすと憤激ふんげきじょうをおもてにあらわしはしなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、どこかでは、彼にも、そんな惻隠そくいんじょうめいたものが、吹きぬけるように、ささやかれていたことかもしれない。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
サン・ミツセルのとほりに並んだ露店が皆ぶん廻し風の賭物かけもの遊びの店であるのに自分は少しなさけない気がした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ホントに考えてみれば今の女子教育はなさけないほど迂闊うかつですね。といってそういう私もお米の事を少しも存じません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
じやうの火花のぱつと燃えては消え失せる一刹那いつせつなの夢こそすなはち熱き此の国の人生のすべてゞあらう。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さて、よしきりだが、あのおしやべりのなかに、もいはれない、さびしいじやうこもつたのがうれしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かつ拙者は貴所の希望の成就を欲する如く細川の熱望の達することを願う、これに就き少も偏頗へんぱこころを持ていない。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なお、「石走いはばしる垂水の水のしきやし君に恋ふらく吾がこころから」(巻十二・三〇二五)という参考歌がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
我れからめるおのが影も、しをるゝ如くおもほえて、つれなき人にくらべては、月こそ中々に哀れ深けれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「じつはねえお嬢さま、あたくしもちょうどあなた様と同じように、いくら思ってもつれなくされる殿御とのごがありますのさ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「おれのところへそんな事を云って来るのは間違っている。神田の近江屋か石坂屋へ行け」と、かれはすげなく跳ねつけた。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
寺では少しく迷惑らしいようであったが、相手が相手であるからすげなく断わるわけにも行かないので、結局承知して吉五郎を帰した。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こゝろを結びことばを束ねて、歌とも成らば成して見ん、おゝそれよ、さま/″\に花咲きたりと見し野辺のおなじ色にも霜がれにけり。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
詳に言ふこと能はざるかはりには作者の働にて一顰いつぴん一笑の間に事のこゝろを悟らしむることを得べし。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
過ぎ去つた事などを想ふのは元気のなきことゝ云はれもしやうが、一年の間に遠くに離れ合つて仕舞つた友達のことを思ひ出さずには居られない、何と云つても友達程なつかしいものはない、我儘な、殊に我儘な自分の喜びや悲しみをほんとうに聞いて呉れるのは友達より他にない
〔編輯余話〕 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
……披々披々ひらひらひらひら、……「オヤ、いつの間にか春が訪れたのか。」と、私は思つて、明るい灯火に照し出された銀座通りの柳の葉を、あふるゝばかりのなつかしみの心で窺ひながら、……それもつい一日前の灯ともし頃であつた、——私は、活溌に歩いて居りました。
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
化物ばけもの想像さうざうすることにあらずしてぜうである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
記憶きおく辿たどれば、久保田さんのはわたしも二三一緒に行つた事のある、あさ草の十二かいしよの球突塲つきば背景はいけいにしたもので、そこに久保田さん獨特どくとく義理ぎりぜう世界せかいを扱つてあつたやうにおもふ。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
二人の顔にはうれいのいろがハッキリと現われているのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
美「あら何うもいろが出る、いやな油だ事よ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「つい自分ばかりしゃべっていましたが、いまこそです。さあ久濶きゅうかつおもいをお遂げなされませ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
別れたる、離れたる親子、兄弟、夫婦、朋友、恋人の仲間あいだの、逢いたきおもいとは全然まるちがっている、「縁あらばこの世で今一度会いたい」との願いの深い哀しみは常に大友の心に潜んでいたのである。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
おもひは長く髪は短し、わが想ひに比ぶれば、この黒髪のなんぞ短き、である。
従軍五十日 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
何を憚りてか自らこゝろを抑へおもひを屈めん、妄執と笑はば笑へ、妄執を生命としてわれは活き、煩悩と云はば云へ、煩悩を筋骨として朕は立つ、おろかや汝、四弘誓願しぐせいぐわんは菩薩の妄執、五時説教は仏陀の煩悩、法蔵が妄執四十八願
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
少焉しばし泣きたりし女の声はやうやく鎮りて、又湿しめがちにも語りめしが、一たびじようの為に激せし声音は、おのづから始よりは高く響けり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その犯後はんごいかなる思想しそういだくやらんとこゝろもちひて推測おしはか精微せいびじよううつして己が才力を著はさんとするのみと。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
愍然想リンギヨギヤつてくれせや」と磯藻の様になづさひ寄る濃いナサケに、欠伸を忘れる暇もあつた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其の鮎の獲れる場処と言ふのは、国頭クニガミ海道の難処、源河の里の水辺である。里の処女の姿や、ナサケを謡ふ事が命の琉球の民謡には、村の若者のとりとめぬやるせなさの沁み出たものが多い。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
なみだとどめあへぬはおろかじゃう自然しぜんなれども、理性りせいまなこからは笑草わらひぐさでござるぞよ。
乳母うばめに、じゃうえてゐたら、わかあたゝかいがあったら、テニスのたまのやうに、わし吩咐いひつくるやいな戀人こひゞととこんでき、また戀人こひゞと返辭へんじともわし手元てもと飛返とびかへってつらうもの。
ねたやうな、けんどんなやうな、おもしろくないことばをおかけであるのを、いつでもなさけないとおもひ/\してたのをかんがして
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
といわれたということが、新聞にも出ていたが、その水晶の数珠は、かつて、武子さんが、御生母へあげたものだということから、その数珠には、母子だけしか知らない温かいものこもっているかもしれないと、思うことだった。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
詩人若し談理の弊に陥れば、其詩は即ち索然として活気を失はざるを得ず、何となれば是れ既にハートの声に非ずしてマインドの声なれば也。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)