“寧”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
むし78.5%
むしろ7.0%
いっ5.7%
いつ3.3%
いつそ1.0%
いっそ0.8%
ねい0.8%
0.8%
やす0.5%
0.2%
(他:8)1.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三千代のあにと云ふのはむしろ豁達な気性で、懸隔かけへだてのない交際振つきあひぶりから、友達ともだちにはひどく愛されてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
事件に引き付けられて息がげないと云つても嘘ではないが、実を云ふと、むしろ苦しくつて息をぐ余裕を著書から与へられないのである。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それも度重なつては、犬の喧嘩と振向いて見るものなく、女房の顔には殆ど生傷なまきずが絶えぬといふやうなむしろ浅ましい境遇に陥つて行つた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
が、痩せてはゐるものの骨組みのしつかりした、むしろいかついと云ふ体格で、皮のたるんだ手や足にも、どこかまだ老年に抵抗する底力が残つてゐる。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
従つて、岐阜提灯をヴエランダにぶら下げたのも、先生の好みと云ふよりは、むしろ、奥さんの日本趣味が、一端を現したものと見て、然る可きであらう。
手巾 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
自分は王侯わうこう寵愛ちようあいに依ツて馬車に乗ツてゐるちんよりも、むしろ自由に野をのさばツて歩くむくいぬになりたい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
無残々々むざむざと人に話すには、惜いような昨夕ゆうべであったが、いっそ長田に話して了って、岡嫉きの気持をやわらがした方が可い。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
し逃げ出せばくびを取って押えようと待っておりますから、此の時は富五郎が真青まっさおになって、いっそ白状しようかと胸に思いましたが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私の文学上の経歴——なんていっても、別に光彩のあることもないから、話すんなら、いっそ私の昔からの思想の変遷とでもいうことにしよう。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
良因 あ、もし、もし、それほどお急ぎならば、こゝに色紙も短册もあります。いつそこゝで二三枚かいて行つたら早手廻しでせうが……。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「おい、じつとして居ないか、まとが狂ふぢやないか。僕はいつそ一思ひにつ付けたいから、君の頭に狙ひを付けてるんだ。」
そのあひだに二人は云ひあはさねどいつそ死なんと覺悟し、綾衣は手桶にさしたる蓮の一枝を持來り、縁に打ちつけて花を碎き、この通りに……と外記の顏をみる。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
ぼくまたまへのやうなではいつそ氣樂きらくだとかいふかんがへでいてわたことかとおもつたに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつそおもつてくまいか、今日けふまでのつみ今日けふまでのつみいまからわたしさへあらためれば
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こんな商売をいやだと思ふなら遠慮なく打明けばなしをるが宜い、僕は又お前のやうな気ではいつそ気楽だとかいふ考へで浮いて渡る事かと思つたに、それでは何か理屈があつてむを得ずといふ次第か、苦しからずは承りたい物だといふに
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そんなに制帽が気に入らないのなら、いっその事制服までやめてしまって、背広か何かにしたらよさそうであるが、それは又そう行かない理由がある。
養父ようふも義弟も菊五郎や栄三郎いっそ寺島父子になってしもうた堀川の芝居の此猿廻わしのきりにも、菊之助のみは立派りっぱな伝兵衛であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「そうですねえ。いっそのこと病気にでもなって、死んででもくれればホットするのですが、あれ一人は一度も病気もしませんし……」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「亡くなった親父のかたみでございますよ。臨終のせつ、父の遺言で、これはおいねいにやってくれといわれ、長いこと預っておりましたが、つい折もなくッて」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第十五子しょくを封じてりょう王とし、広寧府こうねいふに居き、第十六子せんけい王として寧夏ねいかに居き、第十七子けんねい王に封じ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
師の名は疎石そせき夢窓むそうと号して、ねいさん会下えかに参じ、仏国禅師ぶっこくぜんじの法脈をつぎ、今や、五山第一のとなえもあるとか。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は夫人とさ程親しい訳ではなかったから、この惨死体を見て悲しむよりは怖れ、怖れるよりはしろ夢の様な美しさに打たれたことを告白しなければならない。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しゅさびしさ……新婚しんこんよろこぶというよりか、しろつらい運命うんめいに、仕方しかたなしに服従ふくじゅうしているとったような
然しこの間違つた、滑稽な、ぬえのやうな、故意こいになした奇妙の形式は、しろ言現いひあらはされた叙事よりも、内容の思想をなほ能く窺ひ知らしめるのである。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すなはおそれ、載ち惶れて以てみづかやすみするとき無し。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
昔、祖禰そでいより、づから甲冑を擐し、山川を跋渉してやすんじ居るにいとまあらず、東、毛人を征する五十五国、西、衆夷を服する六十六国、渡りて海北を平ぐる九十五国、王道融泰、土をひらさかひとほくす云々。
自分の書齋の柱に題して、『一物を知らざれば、以て深き恥となす。人に遭うて問ふ、やすき日有る少し。』と署したといふ位の、學問に就ては勇猛精進の人であつたことに照らし考へても、其の少年の時の精苦の有樣は思ひ遣られて涙の出るほどである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
……これはっその事、思い切って、アルマ、マチラの二人を呼び出して、同時にレミヤに引き合わせた方が早道になりはしまいか。そうして三人でトックリと相談をして、二人の中の一人を選む方法を決定させたらどんなものだろうか。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
故にその詩にいう、「継成ただまさ市戮しりくに甘んずべし、倉公いずくんぞた生還を望まんや」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いずくんぞ知らんや、この文教なるものは封建制度を寸断する危険なる分子をその中に含まんとは。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
偉大なる思想は一投手、一挙足の間に発生すべきにあらず、いづくんぞ知らん、一国民の耐久的修養の力なるものをつにあらざれば、蓊欝をううつたる大樹の如き思想は到底期すべからざるを。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「この場に成てそうとぼけなくッても宜いじゃ有りませんか。いッそ別れるものなら……綺麗きれいに……別れようじゃ……有りませんか……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
コリャいッそ叔母の意見に……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其でも滅多と欝いだり悄氣しよげたりしてゐるやうなことはなかツたが、何うかするとツク/″\と、「阿父さんが那如あゝしてゐたんぢや、幾ら稼いだツて到底とても遣切れやしないわ。いツそもう家を飛出して了はうかも思ふこともあるけれども……」と謂ツて歎息してゐた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかりといえども予の生に許すところの者、なんぞ独り文のみならんやと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
泯滅びんめつ なんうらやむに足らんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
天地渾沌てんちこんとんとして日月じつげついまだ成らざりし先高天原たかまがはらに出現ましませしにりて、天上天下万物のつかさと仰ぎ、もろもろの足らざるを補ひ、すべて欠けたるをまつたうせしめんの大御誓おほみちかひをもて国土百姓をやすらけく恵ませ給ふとなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
韋応物作郡の時亦た詩あり云ふ、ナンラン故園月、今夕在西楼と。
——ムシロ京師ニ上リ訴フル所アラント、二月上旬、東山道ヲ発ス。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)