いつそ)” の例文
突合つきあはせて種々いろ/\相談なせども何分思案に及ばぬゆゑいつそのこと天にも地にも掛代かけがへなき手の中の玉となしたる娘のお幸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
古風に出るが袖ふり合ふもさ、こんな商賣を嫌だと思ふなら遠慮なく打明けばなしを爲るが宜い、僕は又お前のやうな氣ではいつそ氣樂だとかいふ考へで浮いて渡る事かと思つたに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我も汝が慾かなんぞで対岸むかうにまはる奴ならば、ひとの仕事に邪魔を入れる猪口才な死節野郎と一釿ひとてうなに脳天打欠ぶつかかずには置かぬが、つく/″\汝の身を察すればいつそ仕事も呉れたいやうな気のするほど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
申上たりとも必ず御取上はなき事と心得いつそ一思ひにきられし方が増ならんと覺悟を極め無實の罪を引受て兩人の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
古風こふうるがそでふりふもさ、こんな商賣しやうばいいやだとおもふなら遠慮ゑんりよなく打明うちあけばなしをるがい、ぼくまたまへのやうなではいつそ氣樂きらくだとかいふかんがへでいてわたことかとおもつたに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いだ海老責えびぜめになる事十三度何程申わけ致し候ともすこしも御聞入なく候まゝいつそ此世の苦痛くつう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひとらじとみづかくらませども、やさしき良人をつとこゝろざし生憎あやにくまつはる心地こゝちしておりつ路傍ろばうたちすくみしまゝ、くまいかくまいか、いつそおもつてくまいか、今日けふまでのつみ今日けふまでのつみ
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こんな商売をいやだと思ふなら遠慮なく打明けばなしをるが宜い、僕は又お前のやうな気ではいつそ気楽だとかいふ考へで浮いて渡る事かと思つたに、それでは何か理屈があつてむを得ずといふ次第か
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これでも折ふしは世間さま並の事を思ふて恥かしい事つらい事情ない事とも思はれるもいつそ九尺二間でも極まつた良人といふに添うて身を固めようと考へる事もござんすけれど、夫れが私は出來ませぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これでも折ふしは世間さま並の事を思ふて恥かしい事つらい事情ない事とも思はれるもいつそ九尺二間でもまつた良人おつとといふに添うて身を固めようと考へる事もござんすけれど、それが私は出来ませぬ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これでもおりふしは世間せけんさまなみことおもふてはづかしいことつらいことなさけないことともおもはれるもいつそしやくけんでもまつた良人おつとといふにうてかためようとかんがへることもござんすけれど、れがわたし出來できませぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつそにかゝりしうへにてかくもせんとこゝろこたへて妻戀下つまこひしたとばかり當所あてどなしにこゝの裏屋うらやかしこの裏屋うらやさりとてはくもつかむやうなたづねものもおもこゝろがしるべにや松澤まつざはといふかなにらねど老人としより病人びやうにん二人ふたりありて年若としわか車夫しやふいへならば此裏このうら突當つきあたりから三軒目さんげんめ溝板どぶいたはづれしところがそれなりとまでをしへられぬとき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)