“路傍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みちばた76.5%
ろぼう15.6%
ろばう5.0%
みちのべ1.1%
みちわき1.1%
みちのほとり0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今年昭和十一年の秋、わたくしは寺島町へ行く道すがら、浅草橋辺で花電車を見ようとする人達が路傍みちばたかきをなしているのに出逢った。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
街を疾駆しっくする洪水のような円タクの流れもハタと止り、運転手も客も、自動車を路傍ろぼうに捨てたまま、先を争うて高声器の前に突進した。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
恋人の住む町と思へば、の名をいたづら路傍ろばうの他人にもらすのが、心の秘密を探られるやうで、たゞわけもなくおそろしくてならない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
お庄は着物を着替えて、蝙蝠傘こうもりがさを持って学校まで出かけて行った。そして路傍みちわきの柳蔭にたたずんで、磯野の出て来るのを待っていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
此処はただ草のみ生ひて、樹はまれなれば月光つきあかりに、路の便たよりもいとやすかり。かかる処に路傍みちのほとりくさむらより、つと走り出でて、鷲郎が前を横切るものあり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)