“便”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たよ47.5%
たより25.8%
びん7.5%
べん6.1%
すなわ3.7%
すなは1.7%
たつき1.4%
だよ1.0%
よすが1.0%
ただ0.7%
すべ0.7%
ちょうず0.3%
すなはち0.3%
0.3%
たす0.3%
たちま0.3%
たづ0.3%
たよる0.3%
だより0.3%
カナ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それに、性質が、今の家内のやうにかん気では無かつたが、そのかはり昔風に亭主に便たよるといふ風で、何処迄どこまでも我輩を信じて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
優しい親切な人で、「恭やん、淋しいことおへんか、田舎へ帰りとうおすやろ、お父つあんから便たよりおすか? ろても辛抱おし。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
これよりはその時のさまを樂しき夢に見んとぞおもふ。便びんなきアントニオよと語りもあへず、ジエンナロはおのが臥房ふしどに跳り入りぬ。
ここに於て守る者便べんを得、連夜水をみて城壁にそそげば、天寒くしてたちまち氷結し、明日に至ればまた登ることを得ざるが如きことありき。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
内典ほとけのみのり興隆おこさむとおもふ。方将まさ寺刹てらを建てむときに、はじめて舎利を求めき、時に、汝が祖父司馬達等しばたちと便すなわち舎利をたてまつりき。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
〔譯〕心は現在げんざいせんことをえうす。事未だ來らずば、むかふ可らず。事已にかば、ふ可らず。わづかに追ひ纔かに邀へば、便すなはち是れ放心はうしんなり。
これに反して瑞仙の家には後妻こうさいがあり、又十四歳になる先妻のむすめ千代がゐて、当歳の祐二の世話をする便たつきがあつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
四月の中旬まで待つうちに、半蔵は江戸表からの飛脚便だよりを受け取って、いよいよ江戸城の明け渡しが事実となったことを知った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かゝる事はほとけうとき人らにもかたりきかせて教化けうぐゑ便よすがともなすべくおもへども、たしかに見とゞけたりといふ証人しやうにんなければ人々空言そらこととおもふらん
いで師の教えを受け、各この薬を磨くに、竜樹かおりぎてすなわち便ただちにこれを識る。数の多少を分かつに、錙銖ししゅも失うなし。
平時つねに変れる状態ありさまを大方それと推察すゐして扨慰むる便すべもなく、問ふてよきやら問はぬが可きやら心にかゝる今日の首尾をも、口には出して尋ね得ぬ女房は胸を痛めつゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
チベットでは立ってお便ちょうずをすることは在家ざいけの男でなくてはほとんどやらないです。僧侶及び婦人、在家の男子でも少し心掛けのある者はみなつくもって小便をする。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
此れ便すなはち先考来青らいせい山人往年滬上こじやうより携へ帰られし江南の一奇花きくわ、わが初夏の清風に乗じて盛に甘味かんみを帯びたる香気を放てるなり。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
氏の『巫来マレー群島篇』に図せるごとく、その四足に非常に大きなみずかきあり、蹼はもと水をおよぐための器だが、この蛙はそれを拡げて、樹から飛降を便たすくという(第二図)。
富貴ふうき名誉めいよ、道徳より来たるものは、山林中の花の如く、おのずから是れ舒徐じょじょ繁衍はんえん、功業より来たるものは盆榼中ぼんこうちゅうの花の如く、便たちま遷徙せんし廃興はいこうあり。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
在るがまま、便たづきなき、在るを忍びて
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
『昔風に亭主に便たよるといふ風で、どこまでも我輩を信じて居た』といふ女の若い時は——いづれこのお志保と同じやうに、情の深い、涙脆なみだもろい、見る度に別の人のやうな心地こゝろもちのする
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
内々はがき便だより見たようなものへ、投書をする道楽があって、今日当り出そうな処と、床の中から手ぐすねを引いたが、寝坊だから、奥へ先繰せんぐりになったのを、あとで飛附いて見ると、あたかもその裏へ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
答へて云ふ、我氏死絶し、妾一人在るのみ。即指して其事を負はしむ。女申して云はく、女は、ツハモノを負ひて供奉するに便カナはずと。りて、其事を以て、其夫円目王に移す。