“便”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
たよ47.7%
たより24.4%
びん7.8%
べん6.2%
すなわ3.9%
すなは1.9%
たつき1.6%
だよ1.2%
すべ0.8%
ただ0.8%
(他:10)3.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“便”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸24.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語4.8%
歴史 > 伝記 > 個人伝記3.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「岸本さん、お国からお便たよりがございますか。お子さん方も御変りもございませんか。さぞ父さんをお待ちでございましょう」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「おお、おじいさんか、息子むすこさんのところから便たよりがありましたか。」と、みせ主人しゅじんがききました。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日果して熱海より便たよりはありけれど、わづかに一枚の端書はがきをもて途中の無事と宿とを通知せるに過ぎざりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
出抜だしぬいて家を出るばかりか、何の便たよりも為んところを見れば、始から富山と出会ふ手筈てはずになつてゐたのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
東国の常陸久慈くじ郡へは、一族のひとり楠木正家が彼の代官として年暮くれから下向していた。そこからの一便びんらしい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
フランチエスカは我頬を撫でゝ、我が餘りに心弱きをいさめ、かくては世に立たんをり、いと便びんなかるべしと氣づかひ給ひぬ。
端舟はしけ便べんがないために、五日いつか七日なぬかたゞよひつゝ、はて佐渡さどしま吹放ふきはなたれたり
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こういう場合ばあいは、南蛮渡来なんばんとらい新鋭しんえい武器ぶきもかえって便べんがわるい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼がこの二者の選択を自ら決断する能はずして神の御籤みくじに依りたるに、御籤は俳諧を為すべしとありしとかや、便すなわち俳諧の独吟千句は成れり。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
わずかに身をば支ふれば足れりといふにぞ、便すなわち稗の麨を布施しけるに
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
然らずして徒爾とじ訓詁くんこ講明かうめいするのみならば、便すなはち是れ終身かつて讀まざるなり。
欧詩に云ふ、「雪裏花開いて人未だ知らず、摘み来り相顧みて共に驚起す。便すなはすべからく酒を索めて花前に酔ふべし、初めて見る今年の第一枝」と。
これに反して瑞仙の家には後妻こうさいがあり、又十四歳になる先妻のむすめ千代がゐて、当歳の祐二の世話をする便たつきがあつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あわれ、この少女のこころはつねに狭き胸のうちに閉じられて、ことばとなりてあらわるる便たつきなければ、その繊々せんせんたる指さきよりほとばしり出ずるにやあらん。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
四月の中旬まで待つうちに、半蔵は江戸表からの飛脚便だよりを受け取って、いよいよ江戸城の明け渡しが事実となったことを知った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは彼が父に読みきかせたいと思って持って来たもので、京都方面の飛脚便だよりの中でも、わりかた信用の置ける聞書ききがきだった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
平時つねに変れる状態ありさまを大方それと推察すゐして扨慰むる便すべもなく、問ふてよきやら問はぬが可きやら心にかゝる今日の首尾をも、口には出して尋ね得ぬ女房は胸を痛めつゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
平時つねに変れる状態ありさまを大方それと推察すいしてさて慰むる便すべもなく、問うてよきやら問わぬがよきやら心にかかる今日の首尾をも、口には出して尋ね得ぬ女房は胸を痛めつつ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いで師の教えを受け、各この薬を磨くに、竜樹かおりぎてすなわち便ただちにこれを識る。
すなわち便ただちにおのおのに青薬一丸を授け、而してこれに告げて曰く、汝この薬を持ち、水を以てこれをき、って眼臉に塗らば、形まさに自ずから隠るべしと。
たゞ此の文と直江志津の一刀のみは鐘楼の鐘の下に伏せ置き、後日の証拠あかしとし、世の疑ひを解かむ便よすがとせむ心算つもりなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
世にはたいすこやかなるが為に心健かならざるもの多ければ、常に健やかなるものゝ十日二十日病床に臥すは、左まで恨むべき事にあらず、してこの秋の物色けしきに対して、命運を学ぶにこよなき便よすがあるをや。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此れ便すなはち先考来青らいせい山人往年滬上こじやうより携へ帰られし江南の一奇花きくわ、わが初夏の清風に乗じて盛に甘味かんみを帯びたる香気を放てるなり。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
往年ワラスが、ボルネオで発見せるところで、氏の『巫来マレー群島篇』に図せるごとく、その四足に非常に大きなみずかきあり、蹼はもと水をおよぐための器だが、この蛙はそれを拡げて、樹から飛降を便たすくという(第二図)。
富貴ふうき名誉めいよ、道徳より来たるものは、山林中の花の如く、おのずから是れ舒徐じょじょ繁衍はんえん、功業より来たるものは盆榼中ぼんこうちゅうの花の如く、便たちま遷徙せんし廃興はいこうあり。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
在るがまま、便たづきなき、在るを忍びて、
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
彼娘あのこ容貌かほつきを見るとすぐせんの家内が我輩の眼に映る』と言つた敬之進の言葉を思出して見ると、『昔風に亭主に便たよるといふ風で、どこまでも我輩を信じて居た』といふ女の若い時は——いづれこのお志保と同じやうに、情の深い
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と書生はまた、内々はがき便だより見たようなものへ、投書をする道楽があって、今日当り出そうな処と、床の中から手ぐすねを引いたが、寝坊だから、奥へ先繰せんぐりになったのを、あとで飛附いて見ると、あたかもその裏へ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で普通の時には決してお便ちょうずをしたからというて拭くということがないですけれども、病気になるといろいろ汚い物が付く。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
どうもその西北原でテントのはたでお便ちょうずをして居りますと恐ろしい犬が四、五疋取巻いて横で見物して居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)