便よすが)” の例文
かゝる事はほとけうとき人らにもかたりきかせて教化けうぐゑ便よすがともなすべくおもへども、たしかに見とゞけたりといふ証人しやうにんなければ人々空言そらこととおもふらん
たゞ此の文と直江志津の一刀のみは鐘楼の鐘の下に伏せ置き、後日の証拠あかしとし、世の疑ひを解かむ便よすがとせむ心算つもりなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
世にはたいすこやかなるが為に心健かならざるもの多ければ、常に健やかなるものゝ十日二十日病床に臥すは、左まで恨むべき事にあらず、してこの秋の物色けしきに対して、命運を学ぶにこよなき便よすがあるをや。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
これを見るよりむねせまり、たいまつこゝにやけおちてつなをやきゝり、たなおちてをつと深淵ふかきふちしづみたるにうたがひなし、いかにおよぎをしり給ふとも闇夜くらきよ早瀬はやせにおちて手足てあしこゞたすかり玉ふべき便よすがはあらじ。