“びん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ビン
語句割合
46.6%
17.6%
17.6%
9.8%
便2.4%
1.4%
1.2%
0.6%
0.6%
0.3%
0.2%
0.2%
両鬢0.1%
0.1%
水瓶0.1%
瓶子0.1%
0.1%
0.1%
襟止0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あんずるにこれは、深海の魚が、盲目になったのと同じ事である。日本人の耳は昔から、油を塗ったびんの後に、ずっと姿を隠して来た。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
机の上にはアルコホル漬けにした蜘蛛くもびんがいくつも並んでおり、その前の硝子器の中にも一匹大きなやつがじっと伏せられている。
青草 (新字新仮名) / 十一谷義三郎(著)
ハイカラなレッテルなどられ、ちゃんとしたびんでしたが、内容が濁っているのです。ウイスキイのドブロクとでも言いましょうか。
美男子と煙草 (新字新仮名) / 太宰治(著)
一枚戸を開きたる土間に、卓子テエブル椅子いすを置く。ビール、サイダアのびんを並べ、こもかぶり一樽ひとたる焼酎しょうちゅうかめ見ゆ。この店のわきすぐに田圃たんぼ
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ惜しいことに十二月七日とあるばかりで、年号が書き入れてないのだが、多分このふみは娘を大阪へ出してからの最初の便びんであろうと思われる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その上自分の心中のわたくしを去ることをかたんずる人程かへつて他人の意中のわたくしあばくにびんなるものである。九郎右衛門は一しよにられたいと云ふ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
無暗に豪傑振つて女を軽蔑したがるくせに高が売女ばいぢよの一びん一笑に喜憂して鼻の下を伸ばす先生方は、何方どつちかといふと却て女の翫弄物ぐわんろうぶつだ子。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
此処の内儀が目の前にうかびたる形は、横巾ひろくたけつまりし顔に、目鼻だちはまづくもあるまじけれど、びんうすくして首筋くつきりとせず、胴よりは足の長い女とおぼゆると言ふ
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
遅速相去る、はなはだしきものは四、五倍を差う。ただ三のみならざるなり。一覧して遺すなきは、すなわちかつてこれあり。びんの林誌、雨を避けて染坊ぜんぼうに寓す。
わたくしの夫は小商こあきないをしている者で、ぜに五十びんを元手にして鴨や鵞鳥を買い込み、それを舟に積んで売りあるいて、帰って来るとその元手だけをわたくしに渡して
そういう生活に対して或レンびんが感じられる場合こちらの心持は楽でないところがある。家じゅうで今は私が一番年上なのですもの。いろいろこれまでと違う経験をして居ります。
その顔を上げた時、はらりと顔にこぼれかかる、びんの毛を、指に反らして払い
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夫人の頭髪は白金はくきんの様に白い。両鬢びんたぼを大きく縮らせたまま別別べつべつに放して置いて、真中まんなかの毛を高く巻いてある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大寧たいねいに居らしめ、第十八子べんを封じてびん王となし、第十九子けいを封じてこく王となす、谷王というはるところ宣府せんふ上谷じょうこくの地たるを以てなり、第二十子しょうを封じてかん王となし、開源かいげんに居らしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
船にのぼりしころは日ようやく暮れて東の空には月いで、わが影淡く甲板に落ちたり。卓あり、粗末なる椅子いす二個を備え、主と客とをまてり、玻璃はり製の水瓶びんとコップとは雪白なる被布カバーの上に置かる。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
三樹八郎は白酒の瓶子びんを取った。
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
脚絆に草鞋穿きといふ古風ないでたちで、筆や墨の入ったつづらを天びん棒で担いでやって来た。商売が上品な商売丈あってどこそこ品位の有る老人だった。
(新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
贋金にせきんの果実をつけて得々たる南部地方ミディイの蜜柑の樹、お前は降誕祭の飾り樹に似ている。ただお前はそれよりも貧弱だ。あの枝の中には小さなリキュウルのびんがある。
何度見てもこの襟止びんはきれいだわ。本当ににいさんはよくなさるのねエ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
八「風吹かざふがらすびんつくで女の子に可愛がらりょうとアおしつええや、この沢庵たくあん野郎」
何? ずっと向こうの銀のびんのようなの? そうそう、あれはやっぱり利根の流れだ。ああもう先はかすんで見えない。両眼鏡を持って来るところだったねエ、浪さん。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
びん先生は物やわらかな態度で、子路はごつごつした態度で、冉有と子貢とはしゃんとした態度で、先師のおそばにいた。先師はうれしそうにしていられたが、ふと顔をくもらせていわれた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しばらくして、浦子はぎょくぼやの洋燈ランプの心をげて、あかるくなったともしに、宝石輝く指のさきを、ちょっとびんに触ったが、あらためてまた掻上かきあげる。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
内儀かみさまがじやらくらのびんたぼ胸わるやと、張仆して馳出けるもあり、旦那どのと口論のはては腕だての始末むづかしく、警察けいさつのお世話にも幾度とかや、又ぞろ此地こゝも敵の中と自ら定めぬ
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
向うの角からまがってきたかみしも姿のりっぱな武士……ぞうのような柔和な眼、しもぶくれの豊かな頬には、世の中と人間に対する深い理解と、経験のしわが刻まれ、びんにすこし白いものがまじって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)