“罎:びん” の例文
“罎:びん”を含む作品の著者(上位)作品数
芥川竜之介8
泉鏡花6
島崎藤村5
夏目漱石5
田中貢太郎4
“罎:びん”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 戯曲1.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.4%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
机、本箱、びん紅皿べにざら、依然として元のままで、恋しい人はいつもの様に学校に行っているのではないかと思われる。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それから本物を別のびんにうつして、浅草の山本実験所へ持っていって還元してもらい、四時に警視庁から取りにいったんです。
暗夜の格闘 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「こら酒だ。」松木が答えないさきに、武石が脚もとから正宗の四合びんを出して来た。「沢山いいものを持って来とるよ。」
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
そして、特別に、びん入りの牛乳を暖めさせて持って行ったと聞いて、捜索隊はさてこそと安堵あんどの胸を撫でおろした。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
かれは童の手よりびんを受け取りて立ちながら飲み、半ば残して童に渡せば、童これをたなごころにうつしては犬に与う。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
真澄が起きあがってみると女の傍にはぜんがあって、その上に一本の四ごうびんと三皿のさかなが置いてあった。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その中でも、殊にもう七八年も前に、まだ栓を拔かない麥酒のびんを縁側から庭石に叩きつけた時の事が、はつきりと思ひ出された。
病室より (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ヘリオトロープと書いてあるびんを持って、いいかげんに、これはどうですと言うと、美禰子が、「それにしましょう」とすぐ決めた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
無理やりに葡萄酒のびんつかませて、男の手の上に御自分の手を持添えながら、茶呑茶椀へ注ごうとなさいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼女は座布団ざぶとんを置き、傍にビールびんを置くと次の茶の間に引下りそこで中断された母子の夕飯を食べ続けた。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「そうれろ」勘次かんじはそつけなくいつた。おつぎがびんふたゝはしらそばくと、
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れも、はあ、りやしねえ」醤油しやうゆびんすかしてそれからつてていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
女はこう云ってテーブルの上に乗っている黒いびんって、それを傍のコップにいで省三の前に出して、
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
びんづめの酒で月を見るより、心太ところてんか安いアイスクリイムで、蚊帳かやで寝た方がいゝ、あとの女たちや
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
近いて見ると、それは省吾で、何か斯う酒のびんのやうなものを提げて、寒さうにふるながらやつて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すると小穴君は机の上にあつたアルコオルのびんを渡しながら、「これを睾丸きんたまつて置くといや」とすすめた。
僕の友だち二三人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
近藤女史は女弟子に告げて、それを取りにやりました。やがて女弟子は一個の小さな緑色ガラスのびんをもってきて、俊夫君に渡しました。
深夜の電話 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
彼はお幸ちゃんの置いた一合びんるなり、じぶんいで飲み、また注いで飲んで、三ばい目のさかずきを下に置いた。
雪の夜の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「うん、飲んでもいい。——その恵比寿はやっぱりびん這入はいってるんだろうね、姉さん」と圭さんはこの時ようやく下女に話しかけた。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その手は妙な形をしたひょろ長いガラスびんを窓の張り出しに置いて、再びカーテンのうしろへ消えてしまった。
「おい、与助じゃないか。どこへ行く。」と、倉部巡査は声をかけると、少年は急に立ち停まって、手に持っている硝子のびんを振ってみせた。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女はまた一つの青い色のびんを取出しましたから、これから怨念があらわれるのだとおそれいだくと、かねて聞いたとは様子が違い
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北太平洋のもあるいはこの仲間でないとも限らぬからびんの写真でも撮って知らしてやったらよかろうと思う。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
茶めしの赤い行燈あんどんもふわりと目の前にちらつくのに——ああ、こうと知ったら軽井沢で買った二合びんを、次郎どののいぬではないが
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その後いつの間にか、亜砒酸をのむことをやめたが、その残りがまだびんの中に入れられて、机の抽斗ひきだしの奥に貯えられてあったのである。
死の接吻 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
阿片丁幾アヘンチンキ」というレッテルをったからのガラスびんがそのかたわらにあった。
その敷物が夜分の寝床にもなりますので、隅にはその室付のかまが一つ、その上に土鍋どなべが一つ、それから水を入れる土のびんが一つある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
と、お春が盆の上に、消毒した注射器、ベタキシンの箱、アルコールのびん、脱脂綿入れ、絆創膏ばんそうこう、等々を載せて這入はいって来た。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ビール、サイダアのびんを並べ、こもかぶり一樽ひとたる焼酎しょうちゅうかめ見ゆ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
樽はみんななくなっていたし、びんの方は実に驚くほど多数が飲み干したり投げ棄てたりしてあった。
唯附添の男ばかりは、よく薬のびんなぞを提げて、出たり入つたりするところを見かけたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
馬丁べつたうは葡萄酒のびんを引つ抱へて、鞍の上で大威張にりかへつてゐた。
こう言う僕の枕もとにはいつも読書用の電燈だのアダリンじょうびんだのが並んでいる。
死後 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿べにざらやらびんやらを順序よく並べた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それに、彼は獲物嚢えものぶくろのカクシの中に、焼酎しょうちゅうびんをもっている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「今このゲルセミウムのびんが発見されたので、あるいは殺されたのでないかもしれません」
深夜の電話 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
墓標の左右に硝子ガラスびんを二つけて、はぎの花をたくさんした。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
庭に向いた部屋へ子供の寝床を敷いて、その枕頭まくらもとへお雪は薬のびんを運んだ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
相川というなめくじ男はこの時、ふと外套のポケットからウイスキーのびんを取り出して、
途上の犯人 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
……すぐその縁には、山林局の見廻りでもあろうかと思う官吏風の洋装したのが、高い沓脱石くつぬぎいしを踏んで腰を掛けて、盆にビイルびんを乗せていました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うすくもれる硝子がらすのなかにとりあつめたる薬剤やくざいびん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
書き終った私は、もって居た一びんの薬をそのまま全部一度に呑みほしました。いとわしい此の世に最後のあいさつをしながら、木曽川の流れを葬いの歌ともききながら。
悪魔の弟子 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
そそくさと、そそくさと、内隠かくしから山葵色わさびいろびんを取り出し、
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
若い料理教師は、再び鉢の上へ銀の匙を横へ、今度はオレフ油をびんから注いだ。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
牧瀬は月にきら/\光らせながら魔法びんからコツプへ液汁をなみ/\と注いだ。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
なんとなく、あの毛布の下に、ウォッカのびんでも隠してありそうな気がした。
水の三日 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この部屋の隅のテエブルの上には酒のびん酒杯さかずきやトランプなど。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まだ朝のうちのことで、日頃顔を見知った朝通いらしい人達、牛乳のびんを提げた娘、新聞を買いに出る町の下女なぞが高いプラタアヌの並木の間をったり来たりしていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こういう茶を一びんこしらえますには三十八銭ぐらいかかるのでございます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
びんならぶ窻のそば、露台バルコンにダアリヤの花ただひとつ赤けれども、
浅草哀歌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
先日私の留守中に敏子と喧嘩けんかをした時に、夫があらかたびんからにしてしまって、底の方にほんのちょっぴり残っていたのを二人で一杯ずつしたのであった。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうして、穴蔵に二、三本の葡萄酒のびんがころがっているのを見つけた。
背が緑青色をした腹の白い小さな蛇をけた酒のびんを持って来た。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翌朝、看護婦はおげんのために水薬のびんを部屋へ持って来てくれた。
ある女の生涯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とHが、モビロイルのブリキびんを僕の目の先に誇らかに突きつけた。
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
客は註文のフライが来ると、正宗まさむねびんを取り上げた。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ブラックの『俚薬方篇フォーク・メジシン』五九頁に、英国サセックスの俗頸れた時、蛇を頸の上にきずり、びんに封じ固く栓して埋めると、蛇腐るに随って腫れ減ずと見ゆ。
「えゝさうです。何んでも気合一つで鳥獣を眠らせたり、はこの中にあるものをあてたり、又は刀で腕の上に載せた大根を切つたり、ビールびんを額に打ちつけて割つたりするんです。」
手品師 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
俊夫君はそれに返事もせずに、薬品棚から一つのびんを取り、それを傾けて、中の液をビーカーの中へ注ぎました。それから、細い白金線を小さく切って、木村さんの眼の前に持ってきました。
暗夜の格闘 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
お兼さんは「いえ私が」と云って急にびんを取り上げた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
姉がまだ一緒にいた夏の頃、節子は黄色く咲いた薔薇ばらの花を流許ながしもとの棚の上にびんして置いて、勝手を手伝いながらでもひとりでながめ楽むという風の娘であった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吸い尽くされしからびん、——からなる命、
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わたしは提げてきた正宗のびんを口につけて喇叭らっぱ飲みしながら潯陽江頭じんようこうとう夜送よるきゃくをおくる楓葉荻花秋瑟々ふうようてきかあきしつしつと酔いの発するままにこえを挙げて吟じた。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
志村の大将、その時分は大真面目おおまじめで、青木堂へ行っちゃペパミントの小さなびんを買って来て、「甘いから飲んでごらん。」などと、やったものさ。酒も甘かったろうが、志村も甘かったよ。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ヘリオトロープ」と女が静かに言った。三四郎は思わず顔をあとへ引いた。ヘリオトロープのびん。四丁目の夕暮。迷羊ストレイ・シープ迷羊ストレイ・シープ。空には高い日が明らかにかかる。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は医者の目を避ける為に硝子窓の外を眺めてゐた。そこにはびんの破片を植ゑた煉瓦塀れんぐわべいの外に何もなかつた。しかしそれは薄いこけをまだらにぼんやりとらませてゐた。
或阿呆の一生 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
赤き硝子がらすのいんきびんかたむけそそぐ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おつや 黒がそんなに悪いかしら。天下を望む大伴おおとも黒主くろぬしと来りゃあ、黒だって役がいいわ。まあ、そんなことより、これ、これ……。(びんをみせる。)又こんなものを頂いたのよ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「これ」と袖に隠した酒のびんを出して見せる。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
画家 (無言にて、びんを授け、且つ酌する。)
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
酒のびんさかずきとがひっくりかえる。
Mensura Zoili (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
Whiskyウイスキイびんれつ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
兼太郎は嬉涙うれしなみだに目をぱちぱちさせていたがお照は始終頓着とんちゃくなくあたりを見廻すとこに二合びんが置いてあるのを見ると自分の言った事が当っているので急に笑いながら、
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ミグレニンの小さいびんを二日であけてしまうので、その作用なのか、夜になるとトンボが沢山飛んで行っているようだと云ったり、雁が家の中へ這入って来るようだと、夜更けまで淋しがって私を離さなかった。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
このように心の中でいろいろと考えている間も、私は体を遊ばせてはいなかった。そっと船室へ戻って、また靴を穿き、手当り次第に葡萄酒のびんを一本掴むと、それを申訳の理由に持って、再び甲板に出て行った。
「拍子抜けがしたろう」と、にんじんは、台所で、アガアトと二人きりになってから言った——「がっかりしちゃだめだよ。こんなことはしょっちゅうあるんだから……。だけど、そんなびんをもってどこへ行くの」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「かしわを百目買うて来たわ」と、彼女は鶏肉や野菜や豆腐を両手に持って木村さんと私を連れ出したが、「これはここのを寄附して貰うわ」と、まだ半分以上残っていたクルボアジエのびんげて出て来た。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ひややかにびんのならべるたなの前
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
真澄はそれから女を対手あいてにして飲んでいたが、何時いつの間にかねむってしまって、朝早く眼を覚ましてみると、いっしょに寝たはずの女もいなければ、正宗まさむねびんぜんもなにもなかった。
岐阜提灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ビールのびんがやがて手に来る。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
びんがつめたき秋となりにけり
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あの首のくゝれたやうな独特の形をしたびんの口を塞いでゐる円い硝子玉ビーだま、それを拇指おやゆびでぐつと押すと、ポン・シユッと胸のすくやうな快音を立てて抜ける、あの原始的な素朴なやり方を知らなかつたのだ。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
横倒しにかえされた牛乳のびんの下に、鶏卵たまごからが一つ、その重みで押しつぶされているそばに、歯痕はがたのついた焼麺麭トースト食欠くいかけのまま投げ出されてあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
びんの牛乳の腐らぬ季節、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
酒のびんとりて透かしぬ、
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その日は割にえらい人出でしたから、あのなだらかな、若草の生えた山の中ほどには、弁当のたべ残しや、蜜柑の皮や、正宗まさむねびんが一杯散らかって、空はまだうすあかいのに、足の下には奈良の町のイちらちらして
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
水の中に濃硫酸をいれるのに、極めて徐々に少しずつ滴下していれば酸は徐々に自然に水中に混合して大して間違いは起らないが、いきなり多量に流し込むと非常な熱を発生してびんれたり、火傷やけどしたりする危険が発生する。
猫の穴掘り (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そう致しますとお神さんは、棚の上からまた一つの赤い色のびんを出して、口を取ってまた呪文を唱えますとね、黒い煙が立登って、むらむらとそれが、あの土間の隅へひろがります、とその中へ、おどろのような髪を乱して、目の血走った
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小屋のすぐ前に屋台店のようなものが出来ていて、それによごれたかますを並べ、馬の餌にするような芋の切れ端しや、砂埃すなぼこりに色の変った駄菓子が少しばかり、ビールびんの口のとれたのに夏菊などさしたのが一方に立ててある。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
はまなべ、あをやぎの時節じせつでなし、鰌汁どぢやうじる可恐おそろしい、せい/″\門前もんぜんあたりの蕎麥屋そばやか、境内けいだい團子屋だんごやで、雜煮ざふにのぬきでびんごと正宗まさむねかんであらう。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
駒井は、早くも馬からヒラリと飛び下りて、波打際に小走りに走って行ったものですから、田山が眼を円くしていると、駒井の拾い取ったのは女軽業の親方でもなければ、ジャガタラ芋の根塊こんかいでもありません——それは通常のビールびん一本です。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
——私は何んとも思っていないのに、今のお継母かあさんは、私がまだ三つか四つのころ、まだ意識がやっと牛乳のびんから離れたころから、もう、自分を見る眼つきの中に、限りない憎悪にくしみの光が宿っているって、そう言っては父を困らしたんですって。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
そうして片手をびんの栓へかけて、出会いがしらに毒薬をふりかけてくれようと、血眼ちまなこで駈けまわりましたが、不思議や悪魔はどこへ行ったか影も形も無く、只霜風しもかぜが身を切るように冷たくて、大空には星の光りが降るように輝いているばかりでした。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
取り出した物は大きなびん、彼はたもとからハンケチを出して罎の砂を払い、更に小な洋盃コップ様のものを出して、罎のせんぬくや、一盃いっぱい一盃、三四杯続けさまに飲んだが、罎を静かに下に置き、手に杯を持たまゝ、昂然こうぜんこうべをあげて大空をながめて居た。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あの薬物室のドアが、私がまいりましたときには、すでに開かれておりました。それに、抱水クロラールにも、その以前に手を付けたらしい形跡が残っていたのですわ。もう申し上げる必要はございませんでしょうが、あの酸化鉛のびんの中には、容器におさめた二グラムのラジウムが隠されてあったのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして、着いたら直ぐに風呂へ這入はいれるようにしておけとか、夕飯は汽車の食堂で済まして来るだろうかとか、きっと寝しなにもう一度何か食べるだろうとか、細かいことに気を遣って、彼女の好物の白葡萄酒しろぶどうしゅを二三本も出して来させて、手ずからびんほこりを払い、年数を調べなどした。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大ぜいよってたかって、その人を縛ってしまったんです。いいえ、その時はもうさっきの往来じゃありません。西洋の居酒屋か何かなんでしょう。お酒のびんがずうっとならんでいて、すみの方には大きな鸚鵡おうむの籠が一つ吊下げてあるんです。それが夜の所だと見えて、どこもかしこも一面に青くなっていました。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もとより気のいた料理屋などのある町でないのは分っていたから一時のしのぎに体をぬくめさえすればいいのでとある饂飩屋うどんやの灯を見つけて酒を二合ばかり飲みきつねうどんを二杯たべて出がけにもう一本正宗まさむねびん熱燗あつかんにつけさせたのを手にげながら饂飩屋の亭主がおしえてくれた渡し場へ出る道というのを川原かわらの方へ下って行った。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)