“泣腫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なきは70.0%
なきはら30.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女達はいずれも誘拐されてきた者と見え、衣服も髪かたちも区々まちまちであったが、みんな眼を泣腫なきはらして、ぶるぶるふるえている様子だった。
其角と山賊と殿様 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
敬之進のことは一時いつときもお志保の小な胸を離れないらしい。柔嫩やはらか黒眸くろひとみの底には深い憂愁うれひのひかりを帯びて、頬もあか泣腫なきはれたやうに見える。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
窓の外を通る兵士の群を見送った眼で主婦の姪を見ると、岸本はリモオジュの田舎いなかから出て来たこの娘が紅く顔を泣腫なきはらしているのに気がついた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
びんやら、行李こうりやら、支那鞄しなかばんやらが足のも無い程に散らばっていて、塵埃ほこりの香がおびただしく鼻をく中に、芳子は眼を泣腫なきはらして荷物の整理を為ていた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)