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泣腫
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なきは
ふりがな文庫
“
泣腫
(
なきは
)” の例文
女達はいずれも誘拐されてきた者と見え、衣服も髪かたちも
区々
(
まちまち
)
であったが、みんな眼を
泣腫
(
なきは
)
らして、ぶるぶる
顫
(
ふる
)
えている様子だった。
其角と山賊と殿様
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
敬之進のことは
一時
(
いつとき
)
もお志保の小な胸を離れないらしい。
柔嫩
(
やはらか
)
な
黒眸
(
くろひとみ
)
の底には深い
憂愁
(
うれひ
)
のひかりを帯びて、頬も
紅
(
あか
)
く
泣腫
(
なきは
)
れたやうに見える。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
はて変だわえ、今時分と、そこへ行って
覗
(
のぞ
)
いた時、お若さんが寝乱れ姿で薬鑵を提げて出て来たあ。とまず安心をして
凄
(
すご
)
いように美しい顔を見ると、目を
泣腫
(
なきは
)
らしています、ね。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸口
(
とぐち
)
から
第
(
だい
)
一の
者
(
もの
)
は、
瘠
(
や
)
せて
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
栗色
(
くりいろ
)
に
光
(
ひか
)
る
鬚
(
ひげ
)
の、
眼
(
め
)
を
始終
(
しゞゆう
)
泣腫
(
なきは
)
らしてゐる
發狂
(
はつきやう
)
の
中風患者
(
ちゆうぶくわんじや
)
、
頭
(
あたま
)
を
支
(
さゝ
)
へて
凝
(
ぢつ
)
と
坐
(
すわ
)
つて、一つ
所
(
ところ
)
を
瞶
(
みつ
)
めながら、
晝夜
(
ちうや
)
も
別
(
わ
)
かず
泣
(
な
)
き
悲
(
かなし
)
んで、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
り
太息
(
といき
)
を
洩
(
もら
)
し
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
馬車の音を聞きつけたのであろう、玄関には妹の千代子が、眼を
泣腫
(
なきは
)
らした哀れな姿で出迎えていて、敦夫が入って行くなり
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
とお節は叔父さんの顔を
覗
(
のぞ
)
き込むやうにした。叔父さんは笑ひながら物を言つて居たが、その頬はめづらしく
泣腫
(
なきは
)
れて居た。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
戸口
(
とぐち
)
から
第
(
だい
)
一の
者
(
もの
)
は、
瘠
(
や
)
せて
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
栗色
(
くりいろ
)
に
光
(
ひか
)
る
鬚
(
ひげ
)
の、
眼
(
め
)
を
始終
(
しじゅう
)
泣腫
(
なきは
)
らしている
発狂
(
はっきょう
)
の
中風患者
(
ちゅうぶかんじゃ
)
、
頭
(
あたま
)
を
支
(
ささ
)
えてじっと
坐
(
すわ
)
って、一つ
所
(
ところ
)
を
瞶
(
みつ
)
めながら、
昼夜
(
ちゅうや
)
も
別
(
わ
)
かず
泣
(
な
)
き
悲
(
かなし
)
んで、
頭
(
あたま
)
を
振
(
ふ
)
り
太息
(
といき
)
を
洩
(
もら
)
し
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
克く見れば、奥様は両方の
眶
(
まぶち
)
を
泣腫
(
なきは
)
らして居る。唯さへ気の短い人が余計に感じ易く激し易く成つて居る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
紅く
泣腫
(
なきは
)
れたお志保の頬には涙の
痕
(
あと
)
が未だ乾かずにあつた。
奈何
(
どう
)
いふことを言つて丑松が別れて行つたか、それはもうお志保の顔付を眺めたばかりで、
大凡
(
おおよそ
)
の想像が銀之助の胸に浮ぶ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
泣
常用漢字
小4
部首:⽔
8画
腫
常用漢字
中学
部首:⾁
13画
“泣”で始まる語句
泣
泣面
泣出
泣々
泣声
泣言
泣音
泣聲
泣叫
泣伏