其角と山賊と殿様きかくとさんぞくととのさま
その頃榎本其角は、俳友小川破笠と共に江戸茅場町の裏店に棲んでいた。 芭蕉の門に入ったばかりで、貧窮のどん底時代だった、外へ出る着物も夜の衾もひと組しかなく、それを破笠と共同で遣っている有様だった。 同門の親友、服部嵐雪は、その時分井上相模守 …