“蔽”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おお76.8%
おほ14.6%
おおい1.8%
かく1.4%
1.3%
かぶ0.7%
おい0.5%
おっ0.4%
おほは0.4%
おほひ0.4%
(他:10)1.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“蔽”を含む作品のジャンル比率
文学 > 英米文学 > 小説 物語28.3%
文学 > 日本文学 > 戯曲11.7%
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
上になった手の甲の、五つにわかれた先の、しだいに細まりてかつ丸く、つやある爪におおわれたのがい感じである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
横にそむいて、胸越しに半面をおおうて差俯向さしうつむく時、すらりと投げたもすそを引いて、足袋の爪先を柔かに
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さと言葉ことばらぬも、こひにはをんなさかしうして、そでたもとおほひしが
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
伊賀屋源六が大地を這ひ廻る後ろから、六つ七つの提灯は一ぺンに集まつて、駕籠の中をおほふところなく照らし出したのです。
「宗ちゃん、……朝の御飯はね、煮豆が買ってふたものに、……紅生薑べにしょうがと……紙のおおいがしてありますよ。」
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と優しい物越、悄々しおしおと出る後姿。主税は玄関へ見送って、身をおおいにして、そっとそのたもとの端をおさえた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先頭に立った一人が、うやうやしく三宝を目八分に捧げて、三宝の上には何物をか載せて、その上を黄色のふくさと覚しいのでかくしている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私はそこに入つてゐる不氣味な、亡靈のやうな服をかくさうと押入をめてしまつた。
「どうした」と云いながら、かぶさるように細君と千代子の上から宵子をのぞき込んだが、一目見ると急にまゆを寄せた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『あら、日出雄ひでをは、ま、どんなにうれしいんでせう。』とつて、くれないのハンカチーフに笑顏えかほふた。
気紛れなあの雪の日も思ひ出せないやうなうらゝかな日、晴代はもう床を離れてゐたので、かぶさつた髪をあげ、風呂へも行つた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
で、その男は送つて来た米俵を、内庭に高く積み、その上へ大きな金網をかぶせて鼠除ねずみよけをしてゐる。
「武器は、一纏ひとまとめに、荷駄として、おいを着せ、要所へ先へ送っておく。そして人間のみを後から配置すればよかろう」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
娘は浮かぬ顔を、愛嬌あいきょうに傾けて、床の間を見る。じくむなしく落ちて、いたずらに余る黒壁の端を、たてって、欝金うこんおいが春を隠さず明らかである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
筮竹ぜいちくの長袋をまえ半じゃ、小刀のように挟んで、馬乗提灯うまのりぢょうちんの古びたのに算木をあらわしましたので、黒雲のおっかぶさった、蒸暑いあぜてらし、大手をって参ります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夏だけに、物の色はまだ分りましたが、日は暮れるし、貴僧あなた、黒門まではい天気だったものを、急に大粒な雨!と吃驚びっくりしますように、屋根へかかりますのが、このおっかぶさった、けやきの葉の落ちますのです。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
父が前にかしられて、たやすげぬ彼のおもては熱き涙におほはるるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
元来さう云ふイズムなるものは、便宜上のちになつて批評家に案出されたものなんだから、自分の思想なり感情なりの傾向の全部が、それでおほはれるわけはないでせう。
……途中とちゆうちりけるためおほひがはりに、おうら着換きがえを、とおもつて、権七ごんしち温泉宿をんせんやどまでりにつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おほひをかぶせた燈火あかり卓子テエブルの上に据ゑてあつた。
そう云うと夫人は、厠の床に惜しげもなく両手をついて、ゆたかな黒髪におゝわれた高貴なつむりを心から青年の前に下げた。
両側から路の方へおゝいかぶさっている草を掻き分けながら行くので、たもとすそもしたゝか露に濡れて
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
W・Cへとほりがかりに、うへからおつかぶさるやうにときは、つののあるだけ、青鬼あをおにはうがましだとおもつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長崎屋、そのとき、ハッと思い当って、両手で顔をくそうと、もがいたが、手足が緊縛きんばくされて、それさえならぬ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
赤ん坊の顔と思ったのが、見る見る変って、伸び歪んで、世にも苦痛に充ちた老人のそれとなった、その夢裡むりの変化が、両手で面をくして、恐怖に五体がすくみ、声を出すことも出来ぬ長崎屋を、嘲けるが如く、追いかけて、つぶやくのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
黄金丸はいと不憫ふびんに思ひ、くだんの雌鼠を小脇こわきかばひ、そも何者に追はれしにやと、彼方かなたきっト見やれば、れたる板戸の陰に身を忍ばせて、此方こなたうかがふ一匹の黒猫あり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
蓊欝こんもりと木がかぶさつてるのと、桶の口を溢れる水銀の雫の様な水が、其処らの青苔やまろい石を濡らしてるのとで、如何いか日盛ひざかりでもすずしい風が立つてゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
やぶれて 両肘りょうちゅうあらはる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
恥処ハヂオソふ為ばかりでなく、屍を完全に掩ふために、柴を与へて通つたのが、後世特定の場処に、柴や花をたむける風に固定したのである。
餓鬼阿弥蘇生譚 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
コノ四国ハ、二十年余ノ兵乱ニツテ、民屋ミンヲクハ兵火ニカカリ、村里ソンリノ業ハ破レ、田野ハ芒草バウサウオホハレ、五年三年ノ間ハ、ナホ、耕農モ整ハズ、五穀ノ満ツル日モナカラン。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敬ニシテ礼ニ中ラザルヲ野トイヒ、勇ニシテ礼ニ中ラザルヲ逆トイフ とか、信ヲ好ンデ学ヲ好マザレバソノヘイゾク、直ヲ好ンデ学ヲ好マザレバソノ蔽ヤカウ などというのも、結局は、個人としての子路に対してよりも、いわば塾頭格じゅくとうかくとしての子路に向っての叱言こごとである場合が多かった。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)