“被”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かぶ49.2%
17.7%
おお5.7%
こうむ4.3%
かつ3.7%
2.7%
かむ2.2%
おほ2.0%
かず1.8%
かうむ1.7%
はお1.1%
かづ0.9%
かか0.6%
おおい0.4%
かぶり0.4%
0.4%
かうぶ0.3%
かぶさ0.3%
こうぶ0.3%
カブ0.3%
0.2%
0.2%
かつぎ0.2%
かゝ0.2%
かずき0.2%
かがふ0.2%
ぱり0.2%
かう0.2%
かぶっ0.2%
きせ0.2%
0.2%
はめ0.1%
0.1%
あふ0.1%
おい0.1%
かいまき0.1%
かけ0.1%
かふ0.1%
かふむ0.1%
0.1%
くだ0.1%
はふ0.1%
はを0.1%
ひら0.1%
0.1%
よぎ0.1%
0.1%
カツ0.1%
カヅ0.1%
カヾフ0.1%
コウム0.1%
ベール0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は麦稈帽子むぎわらぼうしかぶった妹の手を引いてあとから駈けました。少しでも早く海の中につかりたいので三人は気息いきを切って急いだのです。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「備前屋は古い暖簾のれんだ。そこのひとり娘が熊にられるところを助けて貰ったんだから、向うじゃあどんなに恩にてもいいわけだ」
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
粗末な箱型をしたものに、ほろとはほんの名ばかりの、継ぎはぎだらけのねずみいろの布をおおっただけのものである。馭者台ぎょしゃだいなんぞもない。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
先生はこの頃になって酒をこうむること益々ますますはなはだしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその機嫌きげん愈々いよいよむずかしくなって来た。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
はらはらとその壇のもとに、振袖、詰袖、揃って手をつく。階子の上より、まず水色のきぬつまもすそを引く。すぐにみのかつぎたる姿見ゆ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夜半よなか咽喉のどりつくような気がして、小平太は眼を覚した。気がついてみると、自分はちゃんと蒲団の上に夜着をけて寝ていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
かく判明せる原因は、がい要保護人を署内(目白署)に収容せる後に至りて、該人物が巧妙なるかつらかむり居たることを発見せるにる。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
げにやくまなく御稜威は光被する。鵬翼萬里、北をおほひ、大陸をつつみ、南へ更に南へびる。曠古未曾有の東亞共榮圈、ああ、盟主日本。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
元気なのは、れ三味線を借りて来て爪弾つめびきをしているし、皮膚の青白いのは、もう夜のものかずいで、壁に向って寝こんでいる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肩先を斬られたまゝ逃れ、隣家の庭前に監視してゐた、桑藩士本間某を斬り、黒川某に重傷をかうむらせ、馳せて河原町の藩邸に向つた。
尾をつまんで、にょろりと引立ひったてると、青黒い背筋がうねって、びくりと鎌首をもたげる発奮はずみに、手術服という白いのをはおったのが、手を振って、飛上る。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆふつかた娘の風の心地に、いと寒しと云へば、たかどのへ往きてふすまかづきて寝よと云ひしかど、一人往かむはさうざうし、誰にまれ共に往きてよと云ふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その面色、その声音こわね! 彼は言下ごんか皷怒こどして、その名にをどかからんとするいきほひを示せば、愛子はおどろき、狭山はおそれて、何事とも知らず狼狽うろたへたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
寝衣ねまきえりをかき合せながら立っていってみると、おおいをかけた行燈のそばに、源六が前跼まえかがみになって、しきりになにかしていた。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
おのれ一人ひろゝみのかしらよりかぶりり(ひろゝは山にある艸の名也、みのに作れば稿よりかろし、猟師常にこれを用ふ)穴にそろ/\とはひ入り
くらうときにははしを投じ、したるときにはち、ただちにいて診したのは、少時のにがき経験を忘れなかったためだそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あくる朝、友の強ゐてとゞむるをさま/″\に言ひ解きてていのぼる。旅の衣を着け、草鞋わらぢ穿うがち、藺席ござかうぶればまた依然として昨日きのふの乞食書生なり。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
ゆる荒熊あらくまと一しょにもつながれう、はかなかにも幽閉おしこめられう、から/\と骸骨がいこつむさくさ向脛むかはぎばんだあごのない髑髏しゃれかうべ夜々よる/\おほかぶさらうと。
金色の微光をこうぶること、すなわち太子の祈りの息吹にふれることのようにも思われ、御一族の悲願が、いよいよ私の心に刻印されてくるのであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
紐を解き敷いて、折り返しカブれば、やがて夜のフスマにもなりまする。天竺の行人ギヤウニンたちの著る僧伽梨ソウギヤリと言ふのが、其でおざりまする。早くお縫ひあそばされ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
罪の汚名は敗者にはされむ、是世俗の常なればなり、されど神罰眞に罪ある者に下るに及びて敗者も汚名を雪ぐを得べし
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
院長は汚點しみだらけの上つりを着て、口の聞きやうからが、いら/\した、物に構はないやうな、氣の置けない醫者であつた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
午食前ひるめしまえに、夫妻鶴子ピンを連れて田圃に摘草つみくさに出た。田のくろの猫柳が絹毛きぬげかつぎを脱いできいろい花になった。路傍みちばた草木瓜くさぼけつぼみあけにふくれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
壁側に積重ねた布團には白い毛布がかゝつて、其に並んだ箪笥の上に、枕時計やら鏡臺やら、種々な手𢌞りの物が整然と列べられた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かずきの外へ躍出おどりいでて、虚空こくうへさっと撞木しゅもくかじうずまいた風に乗って、はかまくるいが火焔ほのおのようにひるがえったのを、よくも見ないで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにその后に語らひて、「いまし思ほすことありや」とのりたまひければ、答へて曰さく「天皇おほきみの敦きめぐみかがふりて、何か思ふことあらむ」
門を出る頃には、もう弟子の誰彼に追ひつかれて、うはぱりは滅茶々々にたくられ、若者の手には片袖一つしか残つてゐなかつた。
かくてあたかも假面めんかうむれる人々が、己を隱しゝかりの姿を棄つるとき、前と異なりて見ゆる如く 九一—九三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
すると、闇の中から私に近づいて来た鳥打をかぶった男がありました。前と丸切り違った落着いた声で
ある抗議書 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
唯こんな場合にはみつともない細君よりは美しい方がずつと恰好なものだ、丁度帽子をきせる頭は禿げたのよりも、髪の毛の長いのが恰好なやうに。
なん圖星づぼしであらうが?……(ロミオらに對ひ)ようこそ! 吾等われらとても假面めんけて、美人びじんみみりさうなはなしさゝやいたこともござったが、あゝ、それは過去むかしぢゃ、とほい/\過去むかしぢゃ。
探偵は死骸の着物の衣嚢から何やらしなびた様な物を取り出した、熟く見ると彼の松谷秀子が左の手にはめて居た異様な手袋である
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
れはらねどむねにやきざまれし學士がくしひしことばごん半句はんくわすれず、かへぎは此袖このそでをかくらへてつとしかばいまかへりんとわらひながらにおほせられしのおこゑくことは出來でき
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また活きてゐる間溌溂はつらつたる意氣に日毎酒をあふツて喧嘩を賣𢌞ツた元氣な勞働者もあツたらうし
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
みんなのくれた玩具おもちゃも足や頭の所へ押し込んだ。最後に南無阿弥陀仏の短冊たんざくを雪のように振りかけた上へふたをして、白綸子しろりんずおいをした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女は起ってねだいの上にあがった。南はぼんやりそれを見ていた。女は榻にあがって横になるなり、かいまきを取って顔の上から被った。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
で、私はまた上り口へ行って、そこに畳み寄せてあった薄いむしろのような襤褸ぼろ布団を持ってきて、それでもしきかけと二枚延べて、そして帯も解かずにそのまま横になった。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
こしをだにくる所もなく、唯両脚を以てたいささへて蹲踞そんきよするのみ、躰上に毛氈もうせんと油紙とをかふれども何等なんらこうもなし、人夫にいたりては饅頭笠まんじうがさすでに初日の温泉塲をんせんばに於てやぶ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ときに、ことなりけり。三人さんにんおなじくゆめむ、ゆめ蒋侯しやうこう伝教さんだいふつかはして使者ししやおもむきまをさす。いはく、不束ふつゝかなるをんなども、みだり卿等けいら栄顧えいこかふむる、まこと不思議ふしぎなる御縁ごえんだん祝着しうちやくぞんずるものなり
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
由さんは若いころ小博奕こばくちに凝って、横須賀のなんとか親分の身内になり、銀せの木刀を腰に差し、テラ箱を担いで田浦衣笠の辺を走りまわったこともあったそうで
春の山 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
庚午かのえうま、皇子大津を訳語田をさだいへ賜死みまからしむ。時に年廿四。妃皇女山辺みめひめみこやまべみくしくだ徒跣すあしにして、奔赴はしりゆきてともにしぬ。見るひと歔欷なげく。皇子大津は天渟中原瀛真人あまのぬなかはらおきのまひと天皇(天武天皇)の第三みこなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
マウパツサンの墓が見附からないので広い墓地を彷徨うろついて探して居ると、瑠璃紺るりこんの皺だらけのマントウをはふつた老人としよりの墓番が一人通つたので呼留よびとめて問うた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
今夕こんゆふはもう心の上にはをつたものは脱ぎすて、素つ裸になつて、盛んに感情をのみ動かして居た。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
三九郎貞昌は、すぐひらいて、一読していたが、しきりとその手紙を鼻にあてていでいた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或被酒僵臥 或は酒にいて僵臥きょうが
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
小翠は平気で笑いながら元豊のしかばねきあげてとこの上に置き、体をすっかり拭いて乾かし、またそれによぎを着せた。夫人は元豊の死んだことを聞いて、泣きさけびながら入って来て罵った。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
はじめて瞭乎りやうこたり、てんじて北方を俯視ふしすれば、越後の大部岩代の一部脚下にあつまり、陸地のくる所青煙せいえん一抹、とほく日本海をながむ、たたうらむむらくは佐渡の孤島ことう雲煙をふて躰をあらはさざりしを
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
此等の燈籠が我々の軒端に移つたのも其後の事であらう。踊りにカツぐ花笠も、依代の本意を忘れて、めい/\に被いだまゝで、自然導かるべき問題は、切明の神事と盆踊りとの関係である。
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
前に述べた田楽師がすばらしい花藺笠をカヅくのも、元よりましであつた事を暗示するものであらう。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だが、もつと古代には日つぎのみ子の中から一柱が日のみ子として、みあれせられたのであつた。其間の物忌みが厳重であつた。此が所謂真床襲衾マドコオフスマを引きカヾフつて居られる時である。
貴種誕生と産湯の信仰と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
リョウ、乱世ニ生レテ、身ヲ農迹ノウセキインス所ニ、先帝三顧ノ恩ヲウケ、孤子ヲ託スルノ重キヲコウムル。コレニヨリテ、不才、犬馬ノ労ヲ尽シ、貔貅ヒキュウノ大軍ヲ領シテハ、六度、祁山キザンノ陣ニ出ヅ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然しそれは、苛ら苛らした興奮や、一種の敵意や、漠然とした佗びしさのベールを通して見た情慾であった。
球突場の一隅 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)