“歔欷”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
すすりなき26.2%
きょき21.4%
すゝりなき10.7%
すすりな8.7%
きよき6.8%
すゝりな3.9%
すす2.9%
すすり2.9%
しゃく1.9%
しやく1.9%
(他:13)12.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“歔欷”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.0%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.8%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
その風がしゅうしゅうとしてはりを渡り、或るところまで来てハタと止まると、いかにも悲しい歔欷すすりなきの声が続く。
女はうしろを向かなかった。女の帯の結び目を見上げていた男の眼から、大粒な涙がしたたった。かすかな歔欷すすりなき
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
無心に歌う夜鳥の声。コトコトコトコトと川瀬のささやき。やがて静かに糸を曳き歔欷きょきする声の聞こえるのはお吉の洩らす泣き声であった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがて彼女は立ち上がった。が復直ぐに地面に坐り、また其処で暫く歔欷きょきしたが、遂に懐中から懐剣を取り出し、あわや喉へ突き立てようとした。
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
男は暗の中にも、遂ぞ無い事なので吃驚びつくりして、目を圓くもしてゐたが、やがてお定は忍び音で歔欷すゝりなきし始めた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『さうすれば世話せわがなくていけれど、ねえ!』あはれなちひさなものふたゝ歔欷すゝりなきしました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すると水江は不意に激しく歔欷すすりなきをし始め、藁の上に横倒しになつて顔を伏せ、肩を顫はせるのであつた。
青い焔 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
美津子はそうないように叫びながら、布団ふとんに顔を押し当てて、静かに歔欷すすりないた。
栗の花の咲くころ (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
若し卿等にして予が児女の情あるをわらはずんば、予は居留地の空なる半輪の月を仰ぎて、ひそかに従妹明子の幸福を神に祈り、感極つて歔欷きよきせしを語るも善し。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
が、この時歔欷きよきするらしいけはひを洩らしたのは、独り乙州ばかりではない。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
暫しは女の歔欷すゝりなく聲のみ聞えてゐたが、丑之助は、其漸く間斷々々とぎれ/\になるのを待つて、
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
だよう、おとつゝあになぐられつから、おとつゝあ勘辨かんべんしてくろよう」と歔欷すゝりなくやうな假聲こわいろさらきこえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
耳を澄ますと、少女の泣く声が、よほど静まっているらしい。その歔欷すすり上げる呼吸の切れ目切れ目に、附添の婆さんが何か云い聞かせている気はいである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを見ると、フローラは紅琴のすそに泣き伏して、よよとばかりに歔欷すすり上げた。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
阿母おつかさんから。』と低く言つて、二度許り歔欷すすりあげた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いつしかに歔欷すすりてありぬうたひつゝ柳並木を別れ来にしが
かろきねたみ (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
お君は歔欷しゃくり上げて泣きました。
それは物をくれるから好い人に見え、くれないからどうというような心ではなく、真底しんそこのどこにか人の情の温か味というものがこの冷たい人の血肉の間にもひそんでいて、それが一本の簪を伝うて流れるそのしおらしさがお玉の胸を突いて、なんということなしにお玉は歔欷しゃくりあげるほどに動かされてしまったのでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その刹那、何だか急に胸が迫つて、思はず歔欷しやくり上げさうになつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
次郎公はまたひいひい歔欷しやくりあげた。
神童の死 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
言ひ了つて操は膝の上に手を重ねるのでした。青い眉を垂れると。鼻筋が美しく通つて、紅のないくちびるには、ほのかに歔欷なきじやくりが顫へます。
十八といふにしては成熟しきつた身體も見事に、薄紅を含んだ温かい凝脂、公卿眉に柔かい鼻筋、唇が濡れて、時々せぐり上げる歔欷なきじやくりも、痛々しく可愛らしい限りです。
聞えあげこたへまつれる人たれぞ涙せきあへずその声歔欷さぐ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しゃくり上げ歔欷しゃくりあげして泣き出し、ああ情ない親方、私を酔漢よっぱらいあしらいは情ない、酔ってはいませぬ、小蝶なんぞはべませぬ、そういえばあいつのつらがどこかのっそりに似て居るようで口惜しくて情ない
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
アッハヽヽと戯言おどけを云へば尚真面目に、木槵珠ずゞだまほどの涙を払ふ其手をぺたりと刺身皿の中につつこみ、しやくり上げ歔欷しやくりあげして泣き出し、あゝ情無い親方、私を酔漢よつぱらひあしらひは情無い、酔つては居ませぬ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
訳もなく歔欷すすりあげてゐる新坊を、吉野は確乎しつかと懐に抱いて、何か深い考へに落ちたさまで、そのあといた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ここは華子の錬金部屋である。床へペッタリくず折れて、身悶えしているのは桔梗様である。袖で顔を蔽うている。肩で烈しく呼吸をしている。歔欷すすりないている証拠である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『阿母さんから。』と低く言つて、二度許り歔欷すゝりあげた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
譯もなく歔欷すゝりあげてゐる新坊を、吉野は確乎しつかと懷に抱いて、何か深い考へに落ちた態で、その後にいた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何うか三八さん(歔欷すゝりなく)あなたのとこへなんぞ申して参られた訳ではございませんが、能々よく/\思召おぼしめして、子供を可愛想と思って、少しばかりお恵みなすって下さい(泣伏なきふす昨日きのうから子供達には未だ御飯ごぜんを食べさせません
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
散々泣き尽して、母親を手古摺てこずらせて来たお滝は、最早涙も涸れた様子ですが、声の無い歔欷なきじゃくりが、玉虫色に紅を含んだ、可愛らしい唇に痙攣けいれんを残して、それがまだ好色漢すきもの岩太郎の眼には、一段の魅力でもあったのです。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
庚午かのえうま、皇子大津を訳語田をさだいへ賜死みまからしむ。時に年廿四。妃皇女山辺みめひめみこやまべみくしくだ徒跣すあしにして、奔赴はしりゆきてともにしぬ。見るひと歔欷なげく。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
私は歔欷むせびないている自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて、我知らず手足を折られでもした者のようにうめき声を放った。