“すすりなき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
歔欷54.5%
啜泣21.8%
欷歔12.7%
涕泣3.6%
歔泣3.6%
嗚咽1.8%
歔欹1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二人はかなり永い間沈黙を続けて居りましたが、閣下よ、最初に彼等の口から洩れた音と云うのが、何と、哀調綿々たる歔欷すすりなきでは有りませんか?
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
噛つくように呶鳴っていた由子も、しまいには鼻声になって、こみ上げて来る啜泣すすりなきを、たもとで押えたまま、出て行ってしまった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
鶴木検事の顔を正視してビクビクと咽喉のどを引釣らせていたが、そのままドッカリと椅子に腰をおろすと、応接机の上に突伏してギクギクと欷歔すすりなきし始めた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何のうらみでこのようなムゴイ事をしたかと(涕泣すすりなき)タッタ一言でよろしう御座いますからキットお尋ね下さいませ(涕泣)……一郎が正気でおりますうちにその人間の事を
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やがて彼女は炉辺の方で寝る仕度をしたが、三吉の耳に歔泣すすりなきの音が聞えた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
遣瀬ないように身を悶えて、お熊は嗚咽すすりなきの顔をお菊の膝の上に押付けると、夜寒に近い此頃の夜にも奉公人の寝衣ねまきはまだ薄いので、若い女房の熱い涙はその寝衣を透して若い下女の柔かい肉に滲んだ。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
祭りのどよみも静まり返ってさしもの賑わいも、今日の一段落を告げましたが、三河屋の家の中ばかりは、まだ歔欹すすりなきの声が、どこからともなく響いて、人の心を滅入らせます。