“すす”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スス
語句割合
33.1%
30.9%
7.6%
7.3%
5.6%
2.0%
1.9%
1.8%
1.7%
1.5%
1.3%
0.8%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
歔欷0.3%
0.3%
煤煙0.3%
0.2%
0.2%
慫慂0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
凝烟0.1%
0.1%
0.1%
壽司0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
清洗0.1%
0.1%
灰色0.1%
0.1%
珠洲0.1%
0.1%
饗応0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一羽のからすが、彼と母とのすすく声に交えて花園の上でき始めた。すると、彼の妻は、親しげな愛撫の微笑を洩らしながらつぶやいた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
などと言っているうちに、顔はすすだらけ、おそろしく汚い服装の中年のひとが、あたふたと店にはいって来て、これがその岡島さん。
酒の追憶 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「今夜は御誘い申しますから、これから夕方までしっかり御坐りなさいまし」と真面目まじめすすめたとき、宗助はまた一種の責任を感じた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
工夫は受話器に耳を懸けて、ラジオのような器械の目盛盤をいじっていたが、やがてニッコリ笑うと、受話器を外して社長へすすめた。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みんなは「さんせいだ。」というようなかおをしましたが、さてだれ一人ひとりすすんでねこかっていこうというものはありませんでした。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
当時西行にひとしい思いを胸に秘めた人々は公家の間にも多くあったろうし、彼もしばしば出離しゅつりを人にすすめている。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
自己の罪として受けた心根を知るあたしだけが、銭を愛さず、事志とちがった父の汚名を、心だけですすごうと思いをかためた。
其からは落第の恥辱をすすがねばかぬと発奮し、切歯せっしして、扼腕やくわんして、はたまなこになって、又鵜の真似を継続してった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
で、申しますには「此器これはごく清浄しょうじょうです。夜前あなたがあがったのですから」と言ってバタかすの茶碗の縁に付いてあるのをそのまますすめるのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
朝、眼がさめると良寛さんは、庵の裏の小さい泉へいつて、口をすすぎ顔を洗つた。すがすがしい朝だ。小鳥の声が拍子木のやうに、森にとほつてよく響く。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
蒲田が一切を引受けて見事にらち開けんといふに励されて、さては一生の怨敵おんてき退散のいはひと、おのおのそぞろすすむ膝をあつめて、長夜ちようやの宴を催さんとぞひしめいたる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
口をすすぐために河原に下りていた戸田老人がわめいたものである。動物のえる声のような野太い叫びで呼んでいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
明日あすは朝早く、小僧を注文取りに出して、自分は店頭みせさきでせっせとたるすすいでいると、まだ日影の薄ら寒い街を、せかせかとこっちへやって来る男がある。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
橘はやっと二人のむくろのある土手のうえに辿たどりつくと、そのまま、草の上に膝をついて潜々さめざめすすり泣いた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
御堂みどうの両側に、柳と菩提樹を植えて、手をすすいでいた上人の前へ、夫婦は、おそるおそる来て、大地に両手をつかえ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
橘は父にほとんど抱かれるように顔をよせ、ふたたび、それと分らぬ程度にすすり泣いた。基経は娘を寸時も一人にして置くことの危険とそれをふせぐために手元から離してはならぬと思った。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
その歔欷すすり上げる呼吸の切れ目切れ目に、附添の婆さんが何か云い聞かせている気はいである。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ソーダ灰で煮上げた白楮の、まだこの時まで残っていたりする粗皮や固い筋を、鎌のさきで取り除きながら洗いすすいで灰汁あくを抜くので、村では「楮さらし」と言っていた。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
青い青い空のまん中で太陽が真黒な煤煙すすをドンドン噴き出して転げまわったり、富士山の絶頂が二つに裂けて、真赤な血が洪水のように流れ出して僕の方へ大浪を打って来たりして
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
小山の妻君が研究顔に「この取合せ物はんでございます」お登和嬢「それは仏蘭西ふらんすのそうめんとが入れてあります」大原した打鳴うちならし「アア美味い」とチュウチュウ音をさせスープをすする。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
其時両君は登山するつもりであったそうだが、遂に果すことが出来なかった。自分は南日君にすすめられて、同年の八月に登山した。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
働き顔に上人の高徳をべ説き聞かし富豪を慫慂すすめて喜捨せしむる信徒もあり、さなきだに平素ひごろより随喜渇仰かつごうの思いを運べるもの雲霞のごときにこの勢いをもってしたれば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さてわれらこの日より星をすすぎて乳汁色ちちいろ
詩語としての日本語 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
春と言へどいまだすす吹く風さきにやなぎは枯れて影あらはなり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
シテすす使ム/門弟誰カ能ク場ヲほしいままニスルヲ得ルカ/子寿晴潭敵手ト称サルニ/堪フ可ケンヤ我在リテ彼先ンジテ亡ブヲ/ 其三 東京西洛変ジテ窮リ無シ/詩法如今亦混同ス/何処ノ江湖ニカ正派ヲ存スル/鴛城ひとリ寺崎翁有リ〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
神産巣日御祖かむむすびみおやの命の富足とだる天の新巣にひす凝烟すす八拳やつか垂るまでき擧げ二六つちの下は、底つ石根に燒きこらして、𣑥繩たくなはの千尋繩うち二七、釣する海人あまが、口大の尾翼鱸をはたすずき二八さわさわにきよせげて
この草の葉に虎皮同様の条紋ありその条紋を擬して術士の身に描く、セマン人言う藪中に多き木蛭きびるが人の血をすするを引き離し小舎こや外で焼くと虎血の焦げる臭いを知って必ず急ぎ来る。
四時の新味は先づ祖先の廟にすすめ(『禮記』少儀)、一家の大事は必ず祖先の廟に告げる。婚姻の如きも、新婦が廟見を終へざる間は、成立したものと認めぬ(1)。
私は初めて見るこの大雪と驛々で聞く壽司すす饀餅あんもつ饅頭まんづう等といふやうな發音の違ふ物賣りの聲とで、南國の土佐と東北の仙臺との、氣候風俗習慣の差は、隨分甚しいであらうと想像し
二氣の正しきに乘り、五行のつぎてととのへ、あやしき理をけてひとすすめ、すぐれたるのりを敷きて國を弘めたまひき。
何とすすめても聴き入れぬ故、城主しかる上は余儀なしとて、睾丸を切ったような音を立て、同時に自身も諸臣も声高く叫んだ。その時、盲人城主にどこが痛いかと問い、城主腰が烈しく痛むと答えた。
し并せて返納せば、益々ますます不恭にわたらん。因って今、領受し、薄く土宜どぎ数種をすすめ、以て報謝を表す。つぶさに別幅に録す。しりぞくるなくんば幸甚なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
急に肩を窄めてホッと溜息をついたかと思ふうちに、忽ち凋むやうに崩れてしまひ、顔一面を皺だらけに泣きすすりはぢめた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
彼女はコートの片袖かたそでをするすると脱ぎながら「そうお客扱いにしちゃいやよ」と云った。自分は茶器をすすがせるために電鈴ベルを押した手を放して、彼女の顔を見た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また、おこうが、すすり泣いているのだった。
すなはち取り出でて清洗すすぎて、火遠理の命に奉る時に、その綿津見の大神をしへて曰さく
即ち西洋文明の根原をなし、東にすすんだのは亜細亜アジア文明、即ち東洋文明の種子であった。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
灰色すすの雲が空じゅうかける。ドドーッと風が雨ごとふきつけると、大きいケヤキの木の梢は気違いのように頭をふった。
黒々とすすけた、古い、大きな姿体の機関車があります。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
珠洲すすうみに朝びらきしてれば長浜ながはまうらつきりにけり 〔巻十七・四〇二九〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
毅堂は京師にあって母の病のすすんだのを聞き、いとまを請うて丹羽の家に赴いたが臨終には間に合わなかった。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
乾草と燕麦とをひどく熱心に饗応すすめるけれど、もし、旅客があたりまへに、十人並の朝餐が摂りたかつたなら、彼は厭でも応でも食慾を次ぎの機会まで我慢するより他はなかつた。