煤煙すす)” の例文
勿論頭にターバンを巻いた体の逞しい亜剌比亜アラビヤ人や、煤煙すすのような顔色のヌビア人や、赤い袍を着た猶太ユダヤ人や、印度、アルメニア、コプト等の、諸国の人種が集まってはいたが
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
青い青い空のまん中で太陽が真黒な煤煙すすをドンドン噴き出して転げまわったり、富士山の絶頂が二つに裂けて、真赤な血が洪水のように流れ出して僕の方へ大浪を打って来たりして
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
杉戸、ふすま、すべての境を外された吉良家の屋内は、表から裏までずっと見通しの巨大な一箇のあなになった。そこに乱れあう人影と刃の光に、無数の灯が煤煙すすを吐いて、絶えまなく明滅めいめつする。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)