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勧
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すす
ふりがな文庫
“
勧
(
すす
)” の例文
旧字:
勸
と申しても、まさか借物の編笠をお
勧
(
すす
)
めするわけに行かないから、佐々見氏が用意のため持参した御編笠をお着せしようとする、と
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「今夜は御誘い申しますから、これから夕方までしっかり御坐りなさいまし」と
真面目
(
まじめ
)
に
勧
(
すす
)
めたとき、宗助はまた一種の責任を感じた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また
医員
(
いいん
)
のハバトフも
時々
(
ときどき
)
来
(
き
)
ては、
何故
(
なにゆえ
)
かアルコール
分子
(
ぶんし
)
の
入
(
はい
)
っている
飲物
(
のみもの
)
を
止
(
よ
)
せ。ブローミウム
加里
(
かり
)
を
服
(
の
)
めと
勧
(
すす
)
めて
行
(
ゆ
)
くので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを
勧
(
すす
)
めることも、多分は中央にいる者の本務なのであろうが、欲を言えば地方の人たちも、これまでのような郷土研究ぶり
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
... だから僕は
我邦
(
わがくに
)
の医者に
勧
(
すす
)
めて食合せ物の化学作用を研究させたいと思うね」大原「なるほど、してみると僕のは鰻の中毒かもしれない」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
貴女は、何時でも、
美奈子
(
みなこ
)
さんをお誘いになる。美奈子さんが、進まれない時でも、貴女は美奈子さんを、いろ/\
勧
(
すす
)
めてお連れになる。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それで、多くの
学者
(
がくしゃ
)
たちが集って、いろんな
面白
(
おもしろ
)
い
遊
(
あそ
)
びごとを考えだしては王子に
勧
(
すす
)
めました。すると王子はこう
答
(
こた
)
えました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「それではまず
客人
(
きゃくじん
)
たちに、わたしの
勧
(
すす
)
める
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
んでもらって、それからこんどはわたしがごちそうになることにしよう。」
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その時、事情を聞いたお吉が、当然に、そういって
勧
(
すす
)
めたけれど、お米は、どうしても首を振って、家へ帰ることを
肯
(
がえん
)
じない。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、にんじんに、その水を飲んでみろと
勧
(
すす
)
める。もっと
滋養分
(
じようぶん
)
をつけるために、彼は、その中へなんでも
抛
(
ほう
)
り込むのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
みんながわたしをヴァルセに止めたがって、いろいろ
勧
(
すす
)
めているあいだ、マチアはひどくぼんやりして考えこむようになった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
可笑
(
おか
)
しくなって吹き出したが彼らは真面目も大真面目でいる、夜になると
提燈
(
ちょうちん
)
を下げて自分にも同行して見ぬかと
勧
(
すす
)
めたが
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
「あなた、やめろなんてお
勧
(
すす
)
めになっちゃ困りますよ。この人は悪いことなら
焚
(
た
)
きつけられなくても
直
(
す
)
ぐするんですからね」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼はとうとうしどろもどろに、美貌の若者が
勧
(
すす
)
める通り、琅玕と珊瑚と取り換えた上、礼には黒馬を貰った事まで残りなく白状してしまった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先輩の
勧
(
すす
)
めで婚約した園子は
曾
(
かつ
)
て娘の時分に同じ学校を早く卒業したあの勝子から物を習った人であったことなどへも行き
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
加藤われらを
勧
(
すす
)
めて北川にかるた取りに行く。かれやなんらの友情も知らぬもの、友を売りてわが利を得んとするものか。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
粕谷
(
かすや
)
の夫妻が千歳村に
移住
(
いじゅう
)
した其春、
好成績
(
こうせいせき
)
で小学校を卒業し、阿爺は
師範
(
しはん
)
学校
(
がっこう
)
にでも入れようかと云って居たのを、
勧
(
すす
)
めて青山学院に入れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
車停むるところへ、はや馴れたる末の姫走り来て、「姉君たち『クロケット』の
遊
(
あそび
)
したまへば、おん身も
夥
(
なかま
)
になりたまはずや、」とわれに
勧
(
すす
)
めぬ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ワリニャーニが暇乞に行ったときに、信長は、この祝祭を見ることを
勧
(
すす
)
めた。でワリニャーニは止むを得ず祝祭の日まで十日ほど滞在を延ばした。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
なんらかの
事由
(
じゆう
)
のために各自の
重荷
(
おもに
)
は十貫目を
超
(
こ
)
えてはならぬ規定のある場合には、十一貫目以上を
荷
(
にな
)
えとは
勧
(
すす
)
めぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
須利耶の奥さまは童子の箸をとって、魚を小さく
砕
(
くだ
)
きながら、(さあおあがり、おいしいよ。)と
勧
(
すす
)
められます。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
うろうろ
徘徊
(
はいかい
)
している
人相
(
にんそう
)
の悪い
車夫
(
しゃふ
)
がちょっと
風采
(
みなり
)
の
小綺麗
(
こぎれい
)
な通行人の
後
(
あと
)
に
煩
(
うるさ
)
く付き
纏
(
まと
)
って乗車を
勧
(
すす
)
めている。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
幕府の勘定方の役人は、そのとき三上藩にいたが、藩の役人が怖れて急ぎ避難をなさるようにと
勧
(
すす
)
めたが、剛情な幕府勘定方役人はそれを聞き入れない。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
されども、これ愚人の計算にて、家業を荒廃し、堕落を
勧
(
すす
)
むる魔言と謂ふべし。
吾輩
(
ごはい
)
の惜む所は、餌代船賃に非ずして、職業を忘るゝ損害の大なるにあり。
研堂釣規
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
あなた方にも飲ませるからと言って、無理に
勧
(
すす
)
めてそこらの店屋へ案内したが、二人は鼻を
掩
(
おお
)
うてはいらない。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
といって
勧
(
すす
)
め、そのうえ王成を当分ただで置くといった。王成は喜んで出かけていって、鶉を買えるだけ買って
篭
(
かご
)
に入れて帰って来た。主人は喜んでいった。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
泉原は半ば煙に
捲
(
ま
)
かれたかたちで、
勧
(
すす
)
めるまゝに相手の後に
蹤
(
つ
)
いていった。探偵の家は町はずれの丘の上に並んでいる小ぢんまりとした二階建の一つであった。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「おたべや。」と言ってそれを余に
勧
(
すす
)
めて自分も一つ口に入れた。居士は非常に興奮しているようであったが余はどういうものだか極めて冷かに落着いて来た。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その
後
(
のち
)
幾年
(
いくねん
)
か
経
(
た
)
って、
男
(
おとこ
)
の
方
(
ほう
)
があきらめて、
何所
(
どこ
)
からか
妻
(
つま
)
を
迎
(
むか
)
えた
時
(
とき
)
に、
敦子
(
あつこ
)
さまの
方
(
ほう
)
でも
我
(
が
)
が
折
(
お
)
れたらしく、とうとう
両親
(
りょうしん
)
の
勧
(
すす
)
めに
任
(
まか
)
せて、
幕府
(
ばくふ
)
へ
出仕
(
しゅし
)
している
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
色、聞、香、味、触の五感覚の中で、母は意識しないが、特に嗅覚を中心に味覚と触覚に彼女の気鬱症は
喘
(
あえ
)
きを持ったらしいことが、私に
勧
(
すす
)
める
食餌
(
しょくじ
)
の種類で
判
(
わか
)
った。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
論者が、しきりに近世の著書・新聞紙等の説を
厭
(
いと
)
うて、もっぱら唐虞三代の古典を
勧
(
すす
)
むるは、はたしてこの古典の力をもって今の新説を抹殺するに足るべしと信ずるか。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼は思うて言わざるなく、言うて服せざるなく、服して共に行わざるなき
勧化者
(
かんげしゃ
)
なり。彼の眼中には
恒
(
つね
)
に一種の活題目あり、これを以て
自
(
みず
)
から処し、これを以て人に
勧
(
すす
)
む。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
山好きの友人から
上高地
(
かみこうち
)
行を
勧
(
すす
)
められる度に、自動車が通じるようになったら行くつもりだといって
遁
(
に
)
げていた。その
言質
(
げんち
)
をいよいよ受け出さなければならない時節が到来した。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お浜はお民の顔色を窺っていたが、正木の老夫婦に
勧
(
すす
)
められて、これも泊ることにした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
勧
(
すす
)
められるままに、二三杯口にしたところが、
忽
(
たちま
)
ちカッと顔が熱くなり、頭の中にブランコでもゆすっているような気持で、何かしら
放縦
(
ほうじゅう
)
なものが心を占めて行くのを感じ始めた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おかみさんは、商売物の水飴を
箸
(
はし
)
に巻いてはしきりに
勧
(
すす
)
める。「よしえボコ」は絶えず口を動かしていたが、終に
牀
(
ゆか
)
の上から入口の土間に小用して、サッサと寝床へ入ってしまった。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
されど彼女に
禍
(
わざわい
)
を及ぼさんは本意なしと思いければ、石塚重平氏に
托
(
たく
)
して彼に勉学を
勧
(
すす
)
めさせ、また
於菟
(
おと
)
女史に書を送りて今回の渡航を告げ、
後事
(
こうじ
)
を托し、これにて思い残す事なしと
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そうして京都の貧しい公卿の、美しい姫を養女として養い、巧みに時の将軍に
勧
(
すす
)
めて、その側室としたことによって、将軍家のお覚えがいともめでたい。——というのが理由の一つであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
薬湯
(
くすりゆ
)
に連れて行くにもあまり見苦しいので家人も
億劫
(
おっくう
)
がっていたところ、西岡という若い未亡人が来て、自分の
遣
(
や
)
らせている塩湯はどうだろうと
勧
(
すす
)
めてくれた。家人のためには渡りに船であった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「あのお好み焼屋は、これがまた但馬の、——作品と言いますかな。あれは、ご亭主の惚太郎が出征したあとで細君が開いた、——
家
(
うち
)
でやり出したんですがね。但馬が細君に
勧
(
すす
)
めてやらしたんですよ」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
現在ゆうべ俺が
勧
(
すす
)
めて、ここまで一緒に来たのだもの。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
彼はその返礼に私の顔を
所嫌
(
ところきら
)
わず
舐
(
な
)
めようとしてやまなかった。その時彼は私の見ている前で、始めて医者の
勧
(
すす
)
める小量の牛乳を
呑
(
の
)
んだ。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
勧
(
すす
)
むる
背後
(
うしろ
)
へそうっと出で来れるお登和嬢「大原さん、どうぞお上り下さい」と兄の言葉について小さく言えど勧むる心は兄にも優れり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
尊氏の
勧降
(
かんこう
)
は、じつに、こういうときになされたのだった。——もちろん、あからさまに「
降
(
こう
)
を
勧
(
すす
)
める」とはいっていない。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女は夫や子供の死後、
情
(
なさけ
)
深い運送屋主人夫婦の
勧
(
すす
)
め通り、達者な針仕事を人に教えて、つつましいながらも苦しくない生計を立てていたのです。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そういう青年たちにまず
勧
(
すす
)
むべき手近な道は、孝悌であるほかはない。青年たちが今まで体験して来た家族生活が、ちょうどこの道の場なのである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
ちがった信仰をもつ
為政者
(
いせいしゃ
)
が、単なる殖産政策の立場から、
勧
(
すす
)
め
諭
(
さと
)
して神山の樹を
伐
(
き
)
らせ、それを開墾して
砂糖黍
(
さとうきび
)
などを
栽
(
う
)
えさせ、鼠の居処を
狭
(
せば
)
めて
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
施
(
ほどこ
)
して必ず
報
(
ほう
)
ある者は、天地の
定理
(
ていり
)
なり。
仁人
(
じんじん
)
之
(
これ
)
を述べて
以
(
もっ
)
て
人
(
ひと
)
に
勧
(
すす
)
む。
施
(
ほどこ
)
して
報
(
ほう
)
を
望
(
のぞ
)
まざる者は、
聖賢
(
せいけん
)
の
盛心
(
せいしん
)
なり。
君子
(
くんし
)
之
(
これ
)
を
存
(
そん
)
して以て
世
(
よ
)
を
済
(
すく
)
う」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
大阪では岸本は牧野と一緒にある未知の家族を
訪
(
おとな
)
う
筈
(
はず
)
であった。そこには岸本の再婚に
就
(
つ
)
いて、
巴里
(
パリ
)
の美術家から
勧
(
すす
)
められて来た人も住んでいたからで。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と
勧
(
すす
)
めて、承諾も待たずにもう
跪
(
ひざまず
)
いた。私は今更仕方がなく、占部さんの後について口真似をした。今考えて見ると
主
(
しゅ
)
の祈りだった。大体申分なかったが
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
勧
常用漢字
中学
部首:⼒
13画
“勧”を含む語句
勧工場
勧請
勧化
勧善懲悪
勧誘
勧賞
勧進
勧説
勧告
勧修寺
御勧
説勧
勧学院
勧懲
勧進帳
勧進元
文覚勧進帳
勧修念仏記
勧解
勧降
...