“億劫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おっくう83.0%
おくくふ7.5%
おつくう2.7%
おくごう1.4%
おっこう1.4%
おつくふ1.4%
おくこふ0.7%
おくごふ0.7%
おくゝふ0.7%
おっくうう0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二つには八橋に逢いに行くということが億劫おっくうであるので、栄之丞は自分から進み出てその話を取り結ぼうとする気にもなれなかった。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
斯うなると改めて東京へ歸つてゆくのが億劫おくくふになつた。いつそ此儘この沼津に住んでしまはうではないか、などと夫婦して話す樣になつた。
樹木とその葉:04 木槿の花 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
道ばたに立ち停つて車を拾ふことさへ億劫おつくうになり、彼女は、うつむいたまま、すたすた歩道の一隅を歩いた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
然しそれはこの河が億劫おくごう年所ねんしょをかけて自己の中から築き上げたものではなかろうか。私の個性もまたその河の水の一滴だ。その水の押し流れる力は私を拉して何処かに押し流して行く。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
親鸞 その罪は億劫おっこうの昔阿弥陀あみだ様が先に償うてくだされた……ゆるされているのじゃ、ゆるされているのじゃ。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ころ醫者いしやでさへそれをどうすることも出來できなかつた。加之それのみでなくかれ醫者いしやぶことが億劫おつくふで、大事だいじ生命いのちといふことをかんがへることさへこゝろいとまたなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「命終らんとする時に臨み、合掌叉手さすして南無阿弥陀仏ととなへしむ。仏の名を称ふるが故に、五十億劫おくこふの生死の罪を除き、化仏の後に従つて、宝池の中に生る。」
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
億劫おくごふきはまりあらぬ闇に堕ち闇に饑ゑゆく
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
此方こちらも会ふのが億劫おくゝふで、いつか/\と思ひながら、今だに着手ちやくしゆもせずにると始末しまつです、今日こんにちお話をるのはほん荒筋あらすぢで、年月ねんげつなどはべつして記憶きおくしてらんのですから
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
勘定のだらしのないのは、大抵のこの稼業かぎょうの女の金銭問題にふれたり、手紙を書いたりするのを、ひどく億劫おっくううがる習性から来ているのであったが、わざととぼけてずるをきめこんでいるのも多かった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)