“恍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とぼ37.0%
27.2%
こう12.0%
9.8%
くわう5.4%
うっと3.3%
1.1%
うっ1.1%
とろ1.1%
ねぼ1.1%
ほう1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「へへへ、そんなにとぼけなくたって、どうせそのうちに御披露があるんでしょうから……」と言って、為さんは少し膝を進めて
深川女房 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
歌よめばよくもあしくも、墨磨れば濃けれうすけれ、うれしくもれて書きけり、かなしくもれて書きけり、ただ楽しみて。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日本堤を行き尽して浄閑寺に至るあたりの風景は、三、四十年後の今日、これを追想すると、こうとして前世を悟る思いがある。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
馬には、音楽が分るとかいうが、いかにも笛の音が分るように、馬上の女がふく横笛に聞きれながら、のたり、のたりと、のろい脚を運んで来るのだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
辻車も見あたらねば、ひとりトボ/\と淋しき大路を宿にかへるに、常には似ぬ安けさの我胸に流れ、旅心くわうとして一味の慰楽をむさぼり得たり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
姿、形、作り、気品、その顔だけを除いて、もし後向うしろむきにしてこれをながめた時には、誰でもうっとりとしてながめるほどの美人です。
法水のりみずはしばらくそれを嗅いでいたが、やがて彼の眼に、っとりと魅せられたような色がうかび上がってきた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そして、唇からは、夢幻的なうっとりとしたようないんが繰り出された。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その嬉しさのうちには、やはり胸を騒がせるようなおののきが幾度か往来ゆききをします。その戦きはお君にとって怖ろしいものでなく、心魂しんこんとろかすほどに甘いものでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「すてにはおれがいる、何をねぼけたことを言うのだ、女はおれが都にかえす。」
その声はよくとおり、一日中変わってゆく渓あいの日射ひざしのなかでよく響いた。そのころ毎日のように渓間を遊びほうけていた私はよくこんなことを口ずさんだ。
交尾 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)