“こう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コウ
語句割合
香10.3%
嵩9.0%
困7.1%
甲6.9%
功3.6%
行3.4%
薨3.4%
昂3.1%
公2.9%
向2.9%
劫2.7%
鴻2.6%
更2.4%
高2.2%
効2.2%
幸2.0%
紅1.7%
江1.5%
降1.4%
交1.4%
孝1.2%
蒙1.0%
恍1.0%
講1.0%
斯様0.9%
候0.9%
鵠0.7%
斯0.6%
黄0.6%
項0.6%
侯0.6%
工0.6%
膏0.6%
寇0.5%
抗0.5%
国府0.5%
稿0.5%
光0.4%
洪0.4%
耿0.4%
孔0.4%
荒0.4%
衡0.4%
角0.4%
鸛0.4%
恁0.3%
的0.3%
考0.3%
亢0.3%
好0.3%
巷0.3%
曠0.3%
煌0.3%
皎0.3%
紘0.3%
興0.3%
鋼0.3%
坑0.2%
頭0.2%
康0.2%
恒0.2%
浩0.2%
港0.2%
貢0.2%
口0.2%
古宇0.2%
媾0.2%
岡0.2%
巧0.2%
庚0.2%
梗0.2%
此樣0.2%
溝0.2%
膠0.2%
較0.2%
鈎0.2%
棡0.1%
産0.1%
厚0.1%
堠0.1%
猴0.1%
珙0.1%
矼0.1%
腔0.1%
買0.1%
駒0.1%
乞0.1%
勾0.1%
却0.1%
后0.1%
哄0.1%
壙0.1%
如斯0.1%
小売0.1%
広0.1%
彼様0.1%
後0.1%
拘0.1%
晃0.1%
杭0.1%
杲0.1%
極0.1%
槓0.1%
此様0.1%
爻0.1%
狡0.1%
甲者0.1%
皇0.1%
矦0.1%
礦0.1%
神0.1%
穀0.1%
箇様0.1%
糕0.1%
絞0.1%
絳0.1%
練香0.1%
缸0.1%
罡0.1%
羔0.1%
羮0.1%
羹0.1%
耕0.1%
耗0.1%
芳0.1%
蒿0.1%
薫0.1%
藁0.1%
蛟0.1%
郈0.1%
郊0.1%
長0.1%
飼0.1%
香料0.1%
馥0.1%
馨0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
床柱(とこばしら)に懸(か)けたる払子(ほっす)の先には焚(た)き残る香(こう)の煙りが染(し)み込んで、軸は若冲(じゃくちゅう)の蘆雁(ろがん)と見える。雁(かり)の数は七十三羽、蘆(あし)は固(もと)より数えがたい。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その退屈がだんだんに嵩(こう)じて来た第三日のゆう方に、倉沢は袴羽織という扮装(いでたち)でわたしの座敷へ顔を出した。かれは気の毒そうに言った。
西瓜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
困(こう)じ果てた結果、あなたのことを思い出して、今日(こんにち)参上したわけで、どうか一つ折り入っての御願いですが、彫刻を教えて下さい。
わたしの光は、古いプラタナスの葉が、ちょうどカメの甲(こう)のように盛(も)りあがって、茂(しげ)っている生垣(いけがき)の中に、さしこもうとしていました。
繼(つぎ)て御小姓組(おこしやうぐみ)と成(なる)勤仕(きんし)の功(こう)を顯(あらは)し有章公(いうしやうこう)の御代に御徒頭(おかちがしら)となり其後伊勢山田奉行(ぶぎやう)仰付られ初て芙蓉(ふよう)の間(ま)御役人の列(れつ)に入りけるなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
孰(いず)れも勇気凛々(りんりん)、今日を限りにこの痛快無比の旅行と別るるのが残(のこり)多いようにも思われ、またこの行(こう)を了(おわ)ったという得意の念もあった。
○さて太宰府に謫居(てききよ)し給ふ事三年(みとせ)にして延喜三年正月の頃より 御心例(れい)ならず、二月廿五日太宰府に薨(こう)じ玉へり、御年五十九。
己(おの)れも好むようになりそれが昂(こう)じた結果であり音曲をもって彼女の愛を得る手段に供しようなどの心すらもなかったことは
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
けれども、このカラスのことをちゃんと名まえどおりに、ガルムというものはひとりもなく、みんなノロ公(こう)ノロ公と呼んでいました。
武蔵は、三名のなかへ割って入ると、真(ま)っ向(こう)の者を、大刀で一颯(さつ)の下に断ち伏せ、左側の男を、左手で抜いた脇差で、横に薙(な)いだ。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが研究所での実験の一頓挫(いちとんざ)と同時に来た。まだ若く研究に劫(こう)の経ない行一は、その性質にも似ず、首尾不首尾の波に支配されるのだ。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
もう小判が日本中にはなくなってしまった——あるにしても三井や鴻(こう)ノ池(いけ)や大大名の金蔵の奥ふかく死蔵されてしまった今日となって
明治の五十銭銀貨 (新字新仮名) / 服部之総(著)
あたりをさぐって、そとにでれば、夜は四更(こう)の闇(やみ)ながら、空には、女菩薩(にょぼさつ)たちの御瞳(みひとみ)にも似(に)る、うるわしい春の星が、またたいている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などの当主から、斯波(しば)、高(こう)、石堂、畠山、高力(こうりき)、関口、木田、入野、西条など十数家の同族におよび、やがて宴となり、宴も終ると
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「入湯の効(こう)で、定めし、見違えるほど御壮健になったことと存じます。何と申しても人間は健康第一、これでなくてはいけません」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある日(ひ)、いつも幸(こう)ちゃんがくる時分(じぶん)なのに、どうしたのか、こなかったから、清(きよ)ちゃんはこちらから、幸(こう)ちゃんの家(うち)へ迎(むか)えにゆきました。
いちょうの葉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
决(けつ)して愚(おろか)なる船長(せんちやう)の言(い)ふが如(ごと)き、怨靈(おんれう)とか海(うみ)の怪物(ばけもの)とかいふ樣(やう)な世(よ)に在(あ)り得可(うべ)からざる者(もの)の光(ひかり)ではなく、緑(りよく)、紅(こう)の兩燈(りようとう)は確(たしか)に船(ふね)の舷燈(げんとう)で
その中でも比叡尾(ひえび)山の「霧の海」を見るために山上の寺で夜を明かしたことや、江(こう)の川を舟で下ったことなどありありと印象に残っている。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
一方は湖だし、いまさらひきかえすことも残念(ざんねん)だ。ゆくにしたがっていよいよ丘陵(きゅうりょう)が多くなった。一登(とう)一降(こう)、骨の折れることおびただしい。どうやら地面の光景は一変した。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
蜀山人(しょくさんじん)の狂歌におけるや全く古今に冠(かん)たり。しかしてその始めて狂歌を吟ぜしは按(おも)ふに明和(めいわ)三、四年の交(こう)年二十歳の頃(ころ)なるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「そもそも孝(こう)の文字(もんじ)は如何(いかん)」とか、「孝道の歴史」だとか、あるいは「各国の孝道の比較論」だとか、何だとかいうて難しいことを沢山並べて
今世風の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼は物好(ものずき)にも自(みずか)ら進んでこの後(うし)ろ暗(ぐら)い奇人に握手を求めた結果として、もう少しでとんだ迷惑を蒙(こう)むるところであった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
行路変化多し回顧すれば六十何年、人生既往を想えば恍(こう)として夢の如(ごと)しとは毎度聞く所であるが、私の夢は至極(しごく)変化の多い賑(にぎや)かな夢でした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この日を山の講(こう)というので、ちょっと見ると農事に関係がないように取れるが、これに参与する者は主として農民であった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
売らぬと云う側(がわ)は、人数(にんず)で関係地主の総数(そうすう)五十三人中の三十名、坪数で二十万坪の十二万坪を占めて居る。彼等の云い分はざッと斯様(こう)だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
花心(くわしん)大(だい)にして七菊花の形をなし、臙脂の色濃く紫にまがふ。一花(いつくわ)落つれば、一花開き、五月を過ぎて六月霖雨(りんう)の候(こう)に入り花始めて尽く。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
主人とお嬢さんとの膝に掛ける巾(きれ)が、鵠(こう)の鳥(とり)の形に畳んである、その嘴のところに、薄赤の莟を一つづつ挾んだ。
薔薇 (新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
案内者は斯(こう)云って、仲に立った者が此レールを請負(うけお)って、一間ばかりの橋一つにも五十円の、枕木一本が幾円のと、不当な儲(もうけ)をした事を話す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
黄蓋の乗った旗艦には、特に「黄(こう)」の字を印した大旗をひるがえし、その余の大船小艇にも、すべて青龍の牙旗(がき)を立てさせていた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家康は二女の徳姫を、氏直へ嫁(や)る約束にも承諾した。和と婚と分領(ぶんりょう)と、三項(こう)一約のもとに、相互、十二月中に軍を退(ひ)くことになっていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又燕府(えんふ)の将校官属を相せしめたもうに、珙一々指点して曰く、某(ぼう)は公(こう)たるべし、某は侯(こう)たるべし、某は将軍たるべし、某は貴官たるべしと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
第十二 学者雪ニヨリテ理学ノ諸支ヲ悟り詞人画工ニ至ルマデ詩賦(しふ)ノ工(こう)ヲ添ヘ山川ノ美景ヲ図(ず)セシム
雪 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
『血どめだの、陣中膏(こう)だの、種々(いろいろ)な薬種(くすり)を持っちゃあ、方々の御陣所の御用を聞いてまわるのさ。生命がけの商売だよ』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然らずして、徒(いたづら)に聞見を貪(むさぼ)るのみならば、則ち或は傲(がう)を長(ちやう)じ非を飾(かざ)らんことを恐る。謂はゆる寇(こう)に兵を假(か)し、盜(たう)に糧(りやう)を資(し)するなり、虞(おもんぱか)る可し。
当時(とうじ)幕府の進歩派小栗上野介(おぐりこうずけのすけ)の輩(はい)のごときは仏蘭西(フランス)に結びその力を仮(か)りて以て幕府統一の政(まつりごと)をなさんと欲(ほっ)し、薩長(さっちょう)は英国に倚(よ)りてこれに抗(こう)し互(たがい)に掎角(きかく)の勢(いきおい)をなせり。
兼康の嫡子小太郎宗康も平家の味方であったが、父が義仲より暇をもらって帰ると聞き、以前から心を寄せる家来ども百騎余りを連れて父を出迎え、播磨の国府(こう)で行き会った。
お蓮様(れんさま)の寮で柳生源三郎が剣豪峰丹波(みねたんば)一党にとりかこまれ、くら闇(やみ)の中に命(いのち)と頼む白刃(はくじん)を濡(ぬ)れ真綿(まわた)でからめられた「源三郎の危機(きき)」から稿(こう)をつづけるべきですが
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
其の仲の兄も亦(また)亡せたれば、孤身依(よ)るところなく、遂(つい)に皇覚寺(こうかくじ)に入りて僧と為(な)り、食(し)を得んが為(ため)に合淝(ごうひ)に至り、光(こう)固(こ)汝(じょ)頴(えい)の諸州に托鉢(たくはつ)修行し、三歳の間は草鞋(そうあい)竹笠(ちくりゅう)
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
洪(こう)君! われわれは著手(ちゃくしゅ)しよう。しかし彼は結局 No(ノー) と言った。これは洋語だからお前達には分らない。そうでなければもっと早く成功したんだぞ。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
津軽海峡はや秋ちかし雲の秀(ほ)を耿(こう)として渡る小禽の群あり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして、いざ酒屋の払いをと、旅包みを解くと、宋江のそれにも武松の頭陀(ずだ)にも、思いきや大枚銀五十両ずつ入っていた。孔(こう)兄弟の心入れなのはいうまでもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自身は中軍にあって、旗列を八荒(こう)に布き、李典の軍勢は、これを後陣において
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然らざれば則(すなわ)ち険(けん)を恃(たの)みて衡(こう)を争い、然らざれば則ち衆を擁して入朝し、甚(はなはだ)しければ則ち間(かん)に縁(よ)りて而して起(た)たんに、之を防ぐも及ぶ無からん。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小「いえ/\狼藉者が参って兎や角(こう)申せば、この引金をガチリと押せば玉がパチンと出て、貴方の鳩尾辺(みぞおちあたり)へ中(あた)るように……」
それも都(みやこ)などでは見た事もあるまい。白地鳥と云う物は、背の青い、腹の白い、形は鸛(こう)にそっくりの鳥じゃ。この島の土人はあの肉を食うと、湿気(しっき)を払うとか称(とな)えている。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「はゝゝゝはゝ、いや、恁(こう)又(また)ものも汚(きたの)うなると、手がつけられぬから恐るゝことなし。はゝはゝこら、何(ど)うぢやい。」と、ひよいと躍(おど)つた。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そう、そう、そう来るだろうと思ったんだ。が、こうなれば刺違えても今更糸的(こう)に譲って、指を銜(くわ)えて、引込(ひっこ)みはしない。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年二十。考(こう)既ニ亡シ。マサニ遺命ヲ奉ジテ遊学セントスルヤ、妣(ひ)コレヲ戒メテ曰クワガ門中(なか)ゴロ𡉏(やぶ)ル。汝(なんじ)当(まさ)ニ勉学シテ再興スベシ。然ラザレバワレ汝ヲ子視セジト。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで興がいよいよ亢(こう)じて、尽くるということを知りません。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いはば私(わたし)にとつては實(じつ)に好(こう)々敵(てき)手だつたのだが、先生今や東北青葉(ば)城(ぜう)下に去(さ)つて久しく相(あひ)見ゆる機(き)を得(え)ない。時々思(おも)ひ出すと、私(わたし)には脾肉(にく)の歎(たん)に堪(た)へないものがあるのである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「あの金は、荐橋双茶坊巷(こう)の秀王墻(しゅうおうしょう)対面に住んでおります、白(はく)と云う女からもらいました」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新世帯の床の間に行脚(あんぎゃ)の蓑笠(みのかさ)に添へて安置したるは汝が一世の曠(こう)なるべし。
土達磨を毀つ辞 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
何の祝宴か磯辺の水楼に紅燈山形につるして絃歌湧き、沖に上ぐる花火夕闇の空に声なし。洲崎の灯影長うして江水漣漪(れんい)清く、電燈煌(こう)として列車長きプラットフォームに入れば吐き出す人波。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
常に飄然(ひようぜん)として、絶えて貴族的容儀を修めざれど、自(おのづか)らなる七万石の品格は、面白(おもてしろ)う眉秀(まゆひい)でて、鼻高く、眼爽(まなこさはやか)に、形(かたち)の清(きよら)に揚(あが)れるは、皎(こう)として玉樹(ぎよくじゆ)の風前に臨めるとも謂(い)ふべくや
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひところ、よく世間で「八紘(こう)一宇」「世界一家」(世界じゅうの人たちが一家族のごとく相倚(よ)り相扶(たす)けてゆくこと)
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
觀(み)よと故に八代將軍吉宗(よしむね)公は徳川氏中興(こう)の君と稱(たゝ)へ奉つる程の賢明(けんめい)に在(まし)ませば其下皆其任(にん)に適(かな)はざるなく今般の巡見使松平縫殿頭(ぬひのかみ)殿も藤八お節が訴訟(うつたへ)を一目(もく)して其事僞(いつは)りならざるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ああ、なんとでもおっしゃい。あたくしには、ちゃんと自信満々たる研究企画があるんですわ。まことにお気の毒さま、タングステン鋼(こう)あたまのトビ、トビタロ君」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
陥人(かんじん)の坑(こう)、今より填(み)ち満ち、迷魂の陣、此(こ)れより打開す。双明(そうめい)の燈(ともしび)を焼毀(しょうき)し、九幽の獄に押赴(おうふ)す。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
雅定は俊頼に向っていった、「木工(むく)の頭(こう)の殿はあの声をお聞きですか」。すると俊頼はすぐ、「思いもかけぬ春鳴けばといった趣でございますな」と答えた。これは『後拾遺集』春下に
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「本当にねえ、康(こう)おじさんのお蔭で旨く行きましたよ」
薬 (新字新仮名) / 魯迅(著)
林児はめいらずに武の悪口をついた。武の叔父の恒(こう)は寛厚の長者であった。姪(おい)があまり怒って禍(わざわい)を招くのを恐れたので、つきだして懲(こら)してもらった方が好いだろうといって勧めた。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「でも浩(こう)ちゃんとは褒め方が違いますわ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
果(はた)して然(しか)らば、ロアイヤル港(こう)や、昔(むかし)ベスンバ族(ぞく)のゐた部落(ぶらく)は右(みぎ)の現象(げんしよう)を起(おこ)すに最(もつと)も適當(てきとう)な場所(ばしよ)であつて、此等(これら)の地方(ちほう)は他(た)の大地震(だいぢしん)によつて再(ふたゝ)び同樣(どうよう)の現象(げんしよう)を起(おこ)すこともあるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
『続日本紀』の霊亀(れいき)元年に、南島から日本の使臣に引率せられて、来朝したという信覚(しんかく)・球美らの国人が、各方物(ほうもつ)を貢(こう)して位(くらい)を賜わったという記事は、夙(はや)くから双方に知られていた。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
半年ごとに、その期間の出勤日数百二十日以上のものは、一位の絁(つむぎ)三十疋、綿三十屯、布百端、鍫(すき)百六十口(こう)より従八位の絁一疋、綿一屯、布三端、鍫十口まで、官位に応じて禄をうける。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
伊豆半島西海岸、古宇(こう)村、宿屋大谷屋の二階のことである。九月一日、正午。
樹木とその葉:34 地震日記 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
その弟の主水重昌(もんどしげまさ)は、慶長十九年大阪冬の陣の和が媾(こう)ぜられた時に、判元見届(はんもとみとどけ)の重任を辱(かたじけな)くしたのを始めとして、寛永十四年島原の乱に際しては西国(さいごく)の軍に将として、将軍家御名代(ごみょうだい)の旗を
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「独龍岡(こう)の本城に、鎖(くさり)でつながれてますので、さて、われらにはどうすることもできません」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「凡百ノ技、巧(こう)ニ始マリ、拙ニ終ル、思(し)ニ出デテ不思(ふし)ニ入ル、故ニ巧思極マル時ハ則(すなは)チ神妙ナリ。神妙ナル時ハ則チ自然ナリ。自然ナルモノハ巧思ヲ以テ得ベカラズ、歳月ヲ以テ到ルベカラズ……」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その翌年某月石埭翁もまた世を去った。庚(こう)を享(うく)ること八十歳という。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私の膝の上に残った葡萄の大房は、風で鼻尖や頬を赭(あか)くした吉良や義光ちゃんや八重子達に忽(たちま)ち啐(ついば)まれてしまいましたが、何か消えぬものが梗(こう)のように私の胸に残されました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
全(まつた)くは私(わたし)に御飽(おあ)きなされたので此樣(こう)もしたら出(で)てゆくか、彼樣(あゝ)もしたら離縁(りゑん)をと言(い)ひ出(だ)すかと苦(いぢ)めて苦(いぢ)めて苦(いぢ)め拔(ぬ)くので御座(ござ)りましよ、御父樣(おとつさん)も御母樣(おつかさん)も私(わたし)の性分(せうぶん)は御存(ごぞん)じ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここで玉屋総一郎の屍体の頸部(けいぶ)に附いていた奇妙なる金具のギザギザ溝(こう)の痕をなぜ思い出さなかったのだろう。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
魁岸(かいがん)勇偉、膂力(りょりょく)絶倫、満身の花文(かぶん)、人を驚かして自ら異にす。太祖に従って、出入離れず。嘗(かつ)て太祖に随(したが)って出でし時、巨舟(きょしゅう)沙(すな)に膠(こう)して動かず。成即(すなわち)便舟を負いて行きしことあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この便法を証得(しょうとく)し得ざる時、英霊の俊児(しゅんじ)、またついに鬼窟裏(きくつり)に堕在(だざい)して彼のいわゆる芸妓紳士通人と得失を較(こう)するの愚(ぐ)を演じて憚(はば)からず。国家のため悲しむべき事である。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
然(しか)れども十月十六日に至り、鞠問(きくもん)全く畢(おわ)り、奉行は彼を流罪に当るものとなし、案を具えてこれを老中に致す。大老井伊直弼、「流」字を鈎(こう)して「死」字と作(な)す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
三吾太祖の意を知るや、何ぞ言(げん)無からん、乃(すなわ)ち曰(いわ)く、若(も)し燕王を立て給(たま)わば秦王(しんおう)晋王(しんおう)を何の地に置き給わんと。秦王樉(そう)、晋王棡(こう)は、皆燕王の兄たり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此(こ)の太祖の言は、正(まさ)に是れ太祖が胸中の秘を発せるにて、夙(はや)くより此(この)意ありたればこそ、其(それ)より二年ほどにして、洪武三年に、樉(そう)、棡(こう)、棣(てい)、橚(しゅく)、楨(てい)、榑(ふ)、梓(しん)、檀(たん)、杞(き)の九子を封じて
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれ後に木(こ)の花(はな)の佐久夜(さくや)毘賣、まゐ出て白さく、「妾(あ)は妊(はら)みて、今産(こう)む時になりぬ。こは天つ神の御子、私(ひそか)に産みまつるべきにあらず。かれ請(まを)す」
「およそ他(あだ)し國の人は、産(こう)む時になりては、本(もと)つ國の形になりて生むなり。かれ、妾も今本(もと)の身になりて産まむとす。願はくは妾をな見たまひそ」
蘭軒は二児榛軒厚(こう)、柏軒重(ちよう)を除く外、悉(こと/″\)く字(あざな)を以て称してゐる。その人物の明白なるものは森立之(りつし)、字は立夫(りつふ)、岡西徳瑛(とくえい)、字は君瑤(くんえう)の二人に過ぎない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
又門人の記する所に、「植厚朴、参川口善光寺、途看于花戸、其翌日持来植之」とも云つてある。しかしわたくしの考ふる所を以てすれば、蘭軒は子に名づくるに厚(こう)を以てし重(ちよう)を以てした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしは此より此詩暦を栞(しをり)とし路傍堠(こう)として、ゆくての道をたどらうとおもふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
三の瀬村の堠(こう)に十囲許(ゐきよの)樟木あり。中空朽(くうきう)の処六七畳席を布(し)くべし。九州地方大樟(たいしやう)尤多しといへども此(かくの)ごときは未見(いまだみず)。江戸を発して已来道中第一の大木なり。三里薗木(そのき)駅(一に彼杵(そのき)と書)なり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
中国で猴(こう)を狙(そ)というも且は男相の象字といえば(『和漢三才図会』十二)、やはりかかる本義と見ゆ。
李時珍曰く〈その類数種あり、小にして尾短きは猴(こう)なり、猴に似て髯多きは豦(きょ)なり、猴に似て大なるは玃(かく)なり。大にして尾長く赤目なるは禺(ぐう)なり。小にして尾長く仰鼻なるは狖(ゆう)なり。
珙(こう)と道衍とは本(もと)より互(たがい)に知己たり。道衍又嘗(かつ)て道士席応真(せきおうしん)を師として陰陽術数(いんようじゅっすう)の学を受く。因(よ)って道家の旨(し)を知り、仙趣の微に通ず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
道衍の珙(こう)を燕王に薦むるに当りてや、燕王先(ま)ず使者をして珙(こう)と与(とも)に酒肆(しゅし)に飲ましめ、王みずから衛士の儀表堂々たるもの九人に雑(まじ)わり、おのれ亦(また)衛士の服を服し、弓矢(きゅうし)を執(と)りて肆中(しちゅう)に飲む。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
池田分家で此年六月十一日に瑞長妻東氏金(あづまうぢきん)が歿した。此瑞長はその天渓なるか三矼(こう)なるかを詳にしない。姑(しばら)く録して後考に資する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
池田氏では此年四月朔(さく)に分家京水の継嗣天渓瑞長(てんけいずゐちやう)が歿した。法諡(はふし)養源軒天渓瑞長居士である。其後を襲(つ)いだものは恐くは三矼(こう)二世瑞長であらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一腔(こう)の怨毒(えんどく)いずれに向かってか吐き尽くすべき路(みち)を得ずば、自己——千々岩安彦が五尺の躯(み)まず破れおわらんずる心地(ここち)せるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
子供、子供と今が今まで高をくくりし武男に十二分に裏をかかれて、一腔(こう)の憤怨(ふんえん)焔(ほのお)のごとく燃え起こりたる千々岩は、切れよと唇(くちびる)をかみぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この句の詩情しているものは、やはり前の「葱(ねぎ)買(こう)て」と同じである。即ち冬の寒い日に、葱などの流れている裏町の小川を表象して、そこに人生の沁々(しみじみ)とした侘びを感じているのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
葱(ねぎ)買(こう)て枯木の中を帰りけり
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
浪や、母(かあ)さんは遠(とおー)いとこに行くからね、おとなしくして、おとうさまを大事にして、駒(こう)ちゃんを
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「駒(こう)ちゃん——さよなら——」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その一つは野村(のむら)の手紙で、もう一つは帯封に乞(こう)高評(こうひょう)の判がある『城』の今月号だった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
後鎖縶(さしつ)されて逍遙城(しょうようじょう)に内(い)れらるゝや、一日(いちじつ)帝の之を熟視するにあう。高煦急に立って帝の不意に出(い)で、一足(いっそく)を伸(のば)して帝を勾(こう)し地に踣(ばい)せしむ。帝大(おおい)に怒って力士に命じ、大銅缸(だいどうこう)を以(もっ)て之を覆(おお)わしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「聴きしに優ると来たか、お前の学もいよいよ却(こう)を積んで、近頃は俺にもわからねえことがあるよ」
曾てイスラエルの王アハブが隣の民の葡萄園を貪り、后(こう)イゼベル夫の為に謀(はか)つて其民を殺して葡萄園を奪ひ、其報(むくい)としてイゼベルは後王宮の窓より投落(なげおと)され、犬其肉を食(くら)ひしと伝へらるゝ所。
俊亮はそう言って哄(こう)笑した。俊亮の笑声につれて、みんなも笑った。しかし、その笑声には、変に固いところがあり、何かにつきあたったように、ぴたりととまった。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その後自分もその壙(こう)を実見して、とても屍体二個を並べえぬものだとその場で評したことであった。
今に見ろ、彼奴等(あいつら)を根絶やしにして呼吸(いき)の音(ね)を止(と)めて遣(や)るからなんてワイ/\云(いっ)たのは毎度の事であるが、是(こ)れとても此方(こっち)に如斯(こう)と云う成算(せいさん)も何もない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
薪(まき)や炭(すみ)や、石炭(せきたん)を生産地(せいさんち)から直接(ちょくせつ)輸入(ゆにゅう)して、その卸(おろし)や、小売(こう)りをしているので、あるときは、駅(えき)に到着(とうちゃく)した荷物(にもつ)の上(あ)げ下(お)ろしを監督(かんとく)したり、またリヤカーに積(つ)んで、小売(こう)り先(さき)へ運(はこ)ぶこともあれば
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
宋の乾道(けんどう)七年、縉雲(しんうん)の陳由義(ちんゆうぎ)が父をたずねるために閩(みん)より広(こう)へ行った。その途中、潮(ちょう)州を過ぎた時に、土人からこんな話を聞かされた。
蚤(のみ)のような男、蝨(しらみ)のような女が、何様(どう)致した、彼様(こう)仕(つかまつ)った、というが如き筋道の詮議立やなんぞに日を暮したとて、尤(もっとも)千万なことで、其人に取ってはそれだけの価のあること
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
言ひ換(かへ)れば前印象派乃至(ないし)後(こう)印象派の芸術には僕等と共鳴する世界の多いに関(かゝは)らず、猶(なほ)越え難(がた)い距離のあるのを覚えて、ロダンの彫刻にしても、セザンヌ、ゴツホ、マチス諸家の絵にしても
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
その下部に横出せる枝には刺(とげ)あり。刺はすなわち小枝の短縮せるものにして多少逆向し人衣を拘(こう)して甚だ煩わし。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
と、言いながら、戛(かっ)! 叩くように柄(つか)を握ったかと思うと、有村の手に、晃(こう)とした剣が抜き払われた。と——。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宋(そう)の理宗(りそう)皇帝のとき、浙江(せっこう)の潮(うしお)があふれて杭(こう)州の都をおかし、水はひさしく退(ひ)かないので、朝野の人びとも不安を感じた。
重く軽く、電光の如く、電波もたまらず身に応へる味といふものは、言外の言、幽なる、杲(こう)たる、感覚を絶した官能の冷たい花火である。
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
男奇異(あや)しく、怖しく思ふ程に、内野にありける十歳許なる死人を、此れ川原に持行て棄(す)てよと責めければ、男終日長谷より歩み極(こう)じて、力なく堪へ難くて、我れ長谷に三年月参りして
放免考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
無論腕木(うでぎ)の支柱があり、黒鉄の上下槓(こう)が横斜めに構えてはいた。その把手(ハンドル)を菜っ葉服の一人が両手でしっかと引き降しに圧(おさ)えた刹那(せつな)である。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
政宗方の史伝に何も此様(こう)いう計画をしたという事が遺って居るのでは無いが、前後の事情を考えると、邪推かは知らぬが斯様(こう)思える節が有るのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五百の兄広瀬栄次郎が已(すで)に町人を罷(や)めて金座(きんざ)の役人となり、その後(のち)久しく金(かね)の吹替(ふきかえ)がないのを見て、また業を更(あらた)めようとした時も、抽斎はこの爻(こう)を引いて諭(さと)した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『本草啓蒙』に「兎の性狡(こう)にして棲所の穴その道一ならず、猟人一道を燻(ふすぶ)れば他道に遁(のが)れ去る、故に『戦国策』に〈狡兎三窟ありわずかにその死を免れ得るのみ〉という」
「こわいものだ!」と甲者(こう)は身を反(そ)らして頭(かしら)を掉(ふ)りぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「英国の皇(こう)チャーン」
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作、杉山萠円(著)
夫(そ)れ呉起(ごき)は賢人也(けんじんなり)。而(しかう)して矦(こう)の國(くに)は小(せう)にして、又(また)彊秦(きやうしん)と(九八)界(さかひ)を壤(じやう)す。
尚不思議奇々妙々なのは、植物の芋の蔓(つる)でもムカゴの蔓でも皆螺旋すると同じく、礦(こう)物の蔓もその実は螺旋的になッてるのだが、但し噴火山作用でメチャメチャになッて分らないのサ。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一手は大河内の自天王の御所(ごしょ)を襲い、一手は神(こう)の谷(たに)の将軍の宮の御所に押し寄せた。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ついに収めて育った、楚人乳を穀(こう)虎を於菟という、因って子文の幼名を闘穀於菟(とうこうおと)すなわち闘氏の子で虎の乳で育った者といったと見ゆ。
何故(なぜ)「どうしたものだろう」かとその理由(ことわけ)を繹(たず)ねて見ると、概略(あらまし)はまず箇様(こう)で。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
館ノ主人糕(こう)ヲ薦(すす)ム。ソノ味京製ニ減ゼズ。五更(こう)大ニ雨フル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この歌は行宮へ送られる途中磐代(今の紀伊日高郡南部町岩代)海岸を通過せられた時の歌である。皇子は十一日に行宮から護送され、藤白坂で絞(こう)に処せられた。御年十九。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
平野の打続く衛の風景とは凡(およ)そ事(こと)変(かわ)った・山勝ちの絳(こう)の都に、侘しい三年の月日を送った後、太子は遥かに父衛侯の訃(ふ)を聞いた。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
部屋の中には、何処となく、練香(こう)の匂いが漂って、手まわりの用をたす、十三、四の子役が、雪之丞が坐ったとき、燭台の、芯をなおした。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
高煦多力(たりき)なりければ、缸(こう)の重き三百斤(きん)なりしも、項(うなじ)に缸(こう)を負いて起(た)つ。帝炭を缸上に積むこと山の如くならしめて之を燃(もや)す。高煦生きながらに焦熱地獄に堕(だ)し、高煦の諸子皆死を賜う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
孔明は、髪をさばき、剣を取り、いわゆる罡(こう)を踏み斗(と)を布(し)くという祷(いの)りの座に坐ったままうしろ向きになっていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ羔(こう)犢(とく)角なきに衝(つ)く真似し歯もなき蝮子が咬まんとするは角あり牙ある親の性を伝えたに相違ないが、件(くだん)のコープの説に拠ると、いずれも最初に衝こう咬もうという一念から牛羊の始祖は角
雖然(たとい)羮(こう)を調(ととの)うるの用をなすことを要するも
緑衣人伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いかにその食は一羹(こう)一菜に限り、その服は綿衣に限るもその結果はただ生活の不愉快を感ずるのみ。その倹約我においてなんの利益かある。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
世にいう漁(ぎょ)、樵(しょう)、耕(こう)、牧(ぼく)の四隠のうち、彼のはそのいずれでもない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
故竹添進一郎氏の『左氏会箋』一四に引かれた銭錡の説に今の牛宿の星群は子宮にあって丑宮にあらず、周の時元枵(げんきょう)という星が虚宿二星の一たり、枵は耗(こう)で鼠は物を耗(へら)し虚(むな)しくする
あの芳(こう)ばしい匂い、浸み入る味、陶然とした酔。酒にこれを望みながら僕は滅多にそれに恵まれなくなった。そしてこの頃では飲むそのことがうるさくなって来た。酒。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
悪戯(いたずら)が蒿(こう)じて、この節では、唐黍(とうもろこし)の毛の尻尾(しっぽ)を下げたり、あけびを口に啣(くわ)えたり、茄子提灯(なすびぢょうちん)で闇路(やみじ)を辿(たど)って、日が暮れるまでうろつきますわの。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
懐中の名香(みょうごう)、そのとき殿中に薫(こう)じ渡る。献上の品は何々ぞ。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
藁(こう)成って巾笥(きんし)に蔵すること年ありて後、永楽十年十一月、自序を附して公刊す。今これを読むに、大抵(たいてい)禅子の常談にして、別に他の奇無し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蛟(こう)や虬(きゅう)いずれも竜蛇の属の名の字をミヅチと訓(よ)んだから、ミヅチは水蛇(みずへび)、野蛟(のづち)は野蛇(のへび)の霊異なるを崇(あが)めたものと思う。
このためには、現在魯侯よりも勢力を有(も)つ季・叔・孟・三桓(かん)の力を削(そ)がねばならぬ。三氏の私城にして百雉(ひゃくち)(厚さ三丈(じょう)、高さ一丈)を超(こ)えるものに郈(こう)・費(ひ)・成(せい)の三地がある。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
然(しか)るに燕王の北平(ほくへい)を発するに当り、道衍これを郊(こう)に送り、跪(ひざまず)いて密(ひそか)に啓(もう)して曰(いわ)く、臣願わくは託する所有らんと。王何ぞと問う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
実業熱が長(こう)じて待合入りを初めてから俄かにめかし出したが、或る時羽織を新調したから見てくれと斜子(ななこ)の紋付を出して見せた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
国には盗人(ぬすびと)家に鼠と、人間(ひと)に憎まれ卑(いやし)めらるる、鼠なれどもかくまでに、恩には感じ義には勇(いさ)めり。これを彼の猫の三年飼(こう)ても、三日にして主を忘るてふ、烏円如きに比べては、雪と炭との差別(けじめ)あり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
深紅の壁掛けが裾を顫(ふる)わせ、香炉から立ち昇る香料(こう)の煙りが右に左に揺れ動く。鼻を刺す鋭い匂い! すなわち、香料の匂いであったが、部屋一杯に充ち満ちている。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
陽暦の八月頃は蕎麦(そば)の花盛りで非常に綺麗(きれい)です。私はその時分に仏間(ぶつま)に閉じ籠って夕景までお経を読んで少し疲れて来たかと思いますと颯(さっ)と吹き来る風の香が非常に馥(こう)ばしい。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
成程お勢はまだ若い、血気も未(いま)だ定らない、志操も或(あるい)は根強く有るまい。が、栴檀(せんだん)は二葉(ふたば)から馨(こう)ばしく、蛇(じゃ)は一寸にして人を呑む気が有る。文三の眼より見る時はお勢は所謂女豪(じょごう)の萌芽(めばえ)だ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)