“憚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はばか70.7%
はゞか16.4%
はば7.8%
はゞ2.3%
はばかり1.2%
はゞかり0.7%
ハバカ0.2%
おそろし0.1%
ははか0.1%
はばから0.1%
はゞは0.1%
はヾか0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と細君は近くにいた私をはばかるようだった。私は遠慮して間もなく立ったから、この若旦那が何うして親父の頭を撲りたがるのか分らずにしまった。
朝起の人達 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その顔つき通り、真雄の鍛ったものといえば、信仰的な自信を持って、斬れる、折れない、曲がらぬと、彼は、人にも広言してはばからなかった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あつしはね、親分、お小遣が欲しくて來たわけぢやありませんよ、はゞかり乍ら金なんざ——小判といふものを、馬に喰はせるほど持つてゐますよ」
それから一時間じかんすると、大地だいちめる太陽たいやうが、さへぎるものゝない蒼空あをぞらはゞかりなくのぼつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ウム、其方そちの方が余程物が解わちよる、——アヽ、わづかの間でも旅と思へば、浜子、誰はばからず、気が晴々としをるわイハヽヽヽヽ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
自分は自分のために生きて行かなければならないという主義を実現したがりながら、夫のためにのみ存在する妻を最初から仮定してはばからなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よしりたりとも再縁さいゑんするひとさへにはおほし、何處どこはゞかりのあることならねばとて説諭せつゆせしに
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「同志も世間をはゞかつて來ず、一人ではあの床板を破つて、見張りの浪人を押へ、鐵三郎樣を救ひ出す工夫がなかつたのだ、それでは頼むぞ、平次殿」
彼のあだかも三日続けてきたれる日、その挙動の常ならず、ことには眼色凄まなざしすごく、はばかりも無く人を目戍まもりては
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
小六にもちょうどそれと同じはばかりがあったので、いられるかぎりは下宿にいる方が便利だと胸をきめたものか、つい一日一日と引越をさきへ送っていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その名をさんははゞかりあれど、同郷人の中に事を好む人ありて、余が屡〻しば/\芝居に出入して、女優と交るといふことを、官長のもとに報じつ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
うぬが勝手に尊皇愛国を狭く解釈して濫りに不敬呼ばはりするは恐れ多くも皇室の稜威みいつを減ずるはゞかりある次第だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
郎女たちの居る女部屋ヲンナベヤまでも、何時イツもづか/″\這入ハヒつて来て、ハバカりなく古物語りを語つた、あの中臣志斐媼ナカトミノシヒノオムナ——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ハバカリナガラ正月中七日マデノ間、五条橋畔キョウハンマデ、御返答高札下サルベク候
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう六十を幾つか越した——よく植民地にみる浮世の苦を、なめつくした感じの、然しまだしんにはどっか強そうな所のある、この老婆は、警察のおそろしい旦那方の前で、小さくなって何を聞いてもおどおどして自分の思っている事の半分も、口に出せなかった。
(新字新仮名) / 楠田匡介(著)
彼女は、藻抜もぬけのからの寝台の上に身を投げかけると、あたりははからずオンオン泣き出した。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
風が吹いても、砂が飛んでも、強い刺激を受けそうなまゆと眉の継目を、はばからず、ぴくつかせていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はゞはり乍ら磯の安松、三尺高い木の上から小唄の良いのどを海の向うの房州の阿魔つ子に聽かせてやり度えくらゐのものだ
此消息このせうそく人目ひとめせきはヾかりもなく、玉簾たまだれやすやすえて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)