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憚
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はばかり
ふりがな文庫
“
憚
(
はばかり
)” の例文
小六にもちょうどそれと同じ
憚
(
はばかり
)
があったので、いられる
限
(
かぎり
)
は下宿にいる方が便利だと胸をきめたものか、つい一日一日と引越を
前
(
さき
)
へ送っていた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちらちら
紅
(
べに
)
色のが交って、咲いていますが、それにさえ、
貴方
(
あなた
)
、
法衣
(
ころも
)
の袖の
障
(
さわ
)
るのは、と
身体
(
からだ
)
をすぼめて来ましたが、今も
移香
(
うつりが
)
がして、
憚
(
はばかり
)
多い。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彩牋堂主人とは有名な
何某
(
なにがし
)
株式会社取締役の一人何某君の
戯号
(
ぎごう
)
である。本名はいささか
憚
(
はばかり
)
あればここには
妓輩
(
ぎはい
)
の
口吻
(
こうふん
)
に
擬
(
ぎ
)
してヨウさんといって置こう。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かかる人の書いたものを『ホトトギス』へでも載せてやったら嬉しがるだろうと思いかたがた入御覧候。文中小生の事のみ多く自分よりいえば夫が
憚
(
はばかり
)
に候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「いえ、かうしてをると、今に
直
(
ぢき
)
に
癒
(
なほ
)
ります。
憚
(
はばかり
)
ですがお
冷
(
ひや
)
を一つ下さいましな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
海保漁村の墓誌はその文が頗る長かったのを、
豊碑
(
ほうひ
)
を築き起して世に
傲
(
おご
)
るが如き
状
(
じょう
)
をなすは、主家に対して
憚
(
はばかり
)
があるといって、
文字
(
もんじ
)
を
識
(
し
)
る四、五人の故旧が来て、
胥議
(
あいぎ
)
して
斧鉞
(
ふえつ
)
を加えた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
別紙
憚
(
はばかり
)
ながら御とゞけねぎ上候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
精神病で心の
憚
(
はばかり
)
が解けたからだとその理由までも説明した。兄はことによると、
嫂
(
あによめ
)
をそういう精神病に
罹
(
かか
)
らして見たい、本音を吐かせて見たい、と思ってるかも知れない。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まくり手には、鉄の
如意
(
にょい
)
かと思う、……しかも
握太
(
にぎりぶと
)
にして、
丈
(
たけ
)
一尺ばかりの
木棍
(
ぼくこん
)
を、異様に削りまわした——
憚
(
はばかり
)
なく申すことを許さるるならば、
髣髴
(
ほうふつ
)
として、
陽形
(
ようけい
)
なるを構えている。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼のあだかも三日続けて
来
(
きた
)
れる日、その挙動の常ならず、
殊
(
こと
)
には
眼色凄
(
まなざしすご
)
く、
憚
(
はばかり
)
も無く人を
目戍
(
まも
)
りては、時ならぬに
独
(
ひと
)
り
打笑
(
うちゑ
)
む顔の
坐寒
(
すずろさむ
)
きまでに
可恐
(
おそろし
)
きは、狂人なるべし、しかも夜に
入
(
い
)
るを
候
(
うかが
)
ひ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
前刻
(
さっき
)
、
憚
(
はばかり
)
へいらっしゃいます、廊下でお目に
懸
(
かか
)
りましたよ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「もし
憚
(
はばかり
)
ながらお
布施
(
ふせ
)
申しましょう。」
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憚
漢検1級
部首:⼼
15画
“憚”を含む語句
忌憚
乍憚
人憚
誰憚
憚様
不憚
口憚
御忌憚
憚樣
畏憚
行憚
過而勿憚改