その年の二百十日はたしか涼しい月夜であった。つづいて二百二十日の厄日もまたそれとは殆ど気もつかぬばかり、いつに変らぬ残暑の西日に蜩の声のみあわただしく夜になった。夜になってからはさすが厄日の申訳らしく降り出す雨の音を聞きつけたもののしかし風 …
著者 | 永井荷風 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 雨瀟瀟「新小説」1921(大正10)年3月
雨瀟瀟序「雨瀟瀟」野田書房、1935(昭和10)年9月 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約40分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間6分(300文字/分) |