“妾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
めかけ45.4%
わたし26.6%
わらわ4.8%
あたし4.8%
わたくし4.2%
しょう3.8%
わらは1.4%
てかけ1.4%
わし1.0%
せふ0.9%
あたい0.5%
おもいもの0.4%
おもひもの0.4%
わた0.4%
おんな0.4%
もの0.4%
わて0.3%
わちき0.3%
せう0.3%
ひと0.3%
ショウ0.3%
あた0.1%
あたき0.1%
おもひめ0.1%
みめ0.1%
わたく0.1%
あれ0.1%
0.1%
0.1%
あて0.1%
おめかけ0.1%
そばめ0.1%
めか0.1%
わが0.1%
わら(は)0.1%
われ0.1%
セフ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
次はおめかけのお若の部屋、それは奧方の部屋よりも明るく大きく、庶腹しよふくの子の徳松が、玩具ぐわんぐを部屋一パイに散らばして遊んで居ります。
「すっかり、ここで承りました、何もかもわかりました。わたしは、この悪人のために第三の犠牲者になるところだったのでございます」
悪魔の聖壇 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
「いいえの、もういつまで其方そなたどもをかもうてはおられぬ。さ新九郎、猶予することはないぞ、わらわの駕に早う乗って邸へ帰ったがよい」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
只今まで警察で厳しいお調しらべを受けましたが、あたしはマッタク何も存じません。妾はこの亭主に一生苦労をさせ通して死に別れました。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わたくしの家は三浦三崎、関宿にあるのでございます。それで妾は旦那様を、妾の家へお連れしようと、こう思っているのでございます」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかるにその年の九月初旬しょうが一室を借り受けたる家の主人は、朝未明あさまだきに二階下より妾を呼びて、景山かげやまさん景山さんといとあわただし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
わらははな、近ごろいかい苦労をしておぢやつた。それ、お前も存じよりの黒谷の加門様の妹娘のことぢやが、あの娘が気がふれてな。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
そこはてかけものの悲しさですかね。どうして……当人そんなぐうたらじゃないはずです。意地張いじッぱりもちっと可恐こわいようなおんなでね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伊尸耆利山いしきりさんで法敵に襲われ、石子責めに逢って殺された、目蓮尊者に比べてはこの身の殉教は数にも入らぬ。わしはお前達に礼を云う。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
忠宗は世を去る三年前に、紀伊の連れてゐる初子の美しくて賢いのに目を附けて、子綱宗のせふにしようと云ふことを、紀伊に話した。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ううん、あんな者アおっ母じゃあねえよ。慾が深くて口やかましくて、あたいをちっとも可愛がらなくて、ちゃんとはいつも喧嘩ばかりしている」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あしたよりゆうべに至るまで、腕車くるま地車じぐるまなど一輌もぎるはあらず。美しきおもいもの、富みたる寡婦やもめ、おとなしきわらわなど、夢おだやかに日を送りぬ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……けむりとほいのはひとかとゆる、やまたましひかとゆる、みねおもひものかとゆる、らし夕霧ゆふぎりうすく、さと美女たをやめかげかともながめらるゝ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おやおやおや、誰が噂をしたのだろう。わたしはたしか嚏をしないのに、外に誰がしたというのだろう。はてナ……」
空気男 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
すると癇癪持かんしゃくもちきみは真二つに斬りさげんと刀のつかに手をかけたのを、最愛のおんなかたわらから止めたので、命だけはたまわって、国外に追放の身となったのである。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お喜代は、なぜなのか、その手を急にぎ離したくなった。ふだん何とも思っていない露八が、恋しくなって、かこわれものの身がしみじみといやになった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんなら、斯うしまほ。寄席へ入つてな、わて落語はなし聞いてるよつて、其の間おまはん、そこで寝なはい。はねたら起したるよつて。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
追剥おいおどしもいいけれど、殺すぶにはあるめえによ。わちきア見ていて総毛立ちいした。殺生なひとでありんすねえ。……それでどれほど儲けなんしたえ?
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
きことにしてかねやらんせうになれ行々ゆく/\つまにもせんと口惜くちをしきことかぎくにつけてもきみさまのことがなつかしくにまぎれてくに
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後にわかったのは、薬研堀やげんぼりにいたひとは、日本橋区堀留ほりどめの、杉の森に住んでいた堅田かただという鳴物師なりものしの妹だった。今でも二絃琴の鳴物は、つづみの望月朴清ぼくせいの娘初子が総帥そうすいである。
……ショウガ髪始メテヒタイヲ覆ウ
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御前にさえ、そのくらい似合うなら、あたしにだっておかしい事あないだろうじゃないか」「きっとよく御似合い遊ばします」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あたきには立派な背後立うしろだてがありますから、この近江屋を今に根こそぎ貰い返してくれますとさ。まま大きな眼で御覧じろ——。」
これで見ると、真淵は四人説で、人麿が妻の死を慟んだ時のは一人はおもひめ、一人は正妻むかひめと考へてゐる。この二人は死んだ。
人麿の妻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
その大后いはの日賣の命、いたく嫉妬うはなりねたみしたまひき。かれ天皇の使はせるみめたちは、宮の中をもえのぞかず、言立てば、足も足掻あがかに妬みたまひき。
殺害致して金子きんす百兩を奪取うばひとり其後又慈恩寺村にて博奕かけごと御座候節こう宿じゆくの鎌倉屋金兵衞と申す者を殺して金子五百兩をうばひ取り候をわたくしのをつと三五郎よくぞんをり候事故其わけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あれ、恆は海道うみつぢを通して、通はむと思ひき。然れども吾が形を伺見かきまみたまひしが、いとはづかしきこと」とまをして、すなはち海坂うなさかきて、返り入りたまひき。
もっとも、この語は古事記にも、「阿佐士怒波良アサジヌハラ」とある。併しそれよりも感心するのは、一首の中味である、「が思ふ君が声のしるけく」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
かれ後にはな佐久夜さくや毘賣、まゐ出て白さく、「はらみて、今こうむ時になりぬ。こは天つ神の御子、ひそかに産みまつるべきにあらず。かれまをす」
車夫くるまやが金沢のお客さんや言ふよつてな、あてお断りどす言ふとな、此の子が能登の浅次郎や言ははるんやらう、変どしたけどな。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
女髪結の出入先でいりさきに塚山さんといって、もと柳橋やなぎばし芸者げいしゃであったおおめかけさんがあった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
年へしティトネのそばめそのうるはしき友のかひなをはなれてはや東のうてなしらみ 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
フムおめかだ。これがお前だとちょうど名も可い。イヤサお富と、手拭てぬぐいを取る、この天窓あたまで茶番になるだろう。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仮令たとえわたしには数万金すまんきんを積むとてかえがたき二品ふたしななれど、今のきわなれば是非も一なく、惜しけれど、ついに人手にわたすわが胸中は如何いかばかり淋しきおもいのするかはすいしたまわれ、されど
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
わら(は)おもつてくださいとひもあへずほろ/\とこぼすなみだそのまゝまくら俯伏うつぶしぬ。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三重みえにうねる細き金の波の、と合うてふくれ上るただ中を穿うがちて、動くなよと、安らかにえたる宝石の、まばゆさはあめしたを射れど、こぼたねば波の中より奪いがたき運命は、君ありてのわれ
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自ラ破レ障子ヲツクラウテ、勤倹ノ教ヘヲ垂レタリト聞クソノ松下ノ禅尼ノ子孫高時、今ハ数十人ノセフヲ蓄へ、妾ニハ領地ヲ分カチ、白拍子、猿楽サルガク、田楽俳優ナド、府内二千人ヲ超ユルニイタル。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)