“わ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
20.5%
12.5%
7.7%
6.1%
6.1%
5.1%
4.8%
4.1%
3.4%
3.2%
3.1%
2.8%
2.6%
2.2%
2.0%
1.7%
1.5%
1.3%
0.8%
0.7%
0.7%
0.6%
0.6%
0.6%
0.5%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
不良0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
捕蹄0.0%
0.0%
断割0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
生少0.0%
0.0%
発生0.0%
0.0%
0.0%
薄気味悪0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小説にしようか、絵の修業をしようか——まとまりようのない空想が、あとからあとからいてくる。つい、うっとりとしていると
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「あたしにおびになることなんかいりませんけど、それで気がすむのでしたら、どうぞ、なさりたいようになすって、ちょうだい」
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
父親ちちおやはなにかいっていましたが、やがて半分はんぶんばかりとこなかからからだこして、やせたでその金貨きんかを三にんむすめらにけてやりました。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ものとを見較みくらべながら、かたまけると笑方ゑみかたの、半面はんめんおほニヤリにニヤリとして、岩魚いはな一振ひとふり、ひらめかして、また、すた/\。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「くるみ」をり切ったので、今度は茶を出して美濃紙で張った「ほいろ」の様なものを、炉の上にのせた中にあけ火を喰わせ始めた。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
鹿しかおほきなをつくつて、ぐるくるぐるくるまはつてゐましたが、よくるとどの鹿しかのまんなかのはうがとられてゐるやうでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
門に入ればかなえくごときものが感じられ、早くもここには一死を共に誓う家の子郎党の二心なき者がきびすをついで駆け集まっていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうかとおもうと、つむじ風のように、大きなや小さな輪をえがいて、ゆかいそうにアッカのまわりをグルグルとびまわります。
すると、そのたびに、一の白い小鳥ことりがその木の上にとんできては、灰かぶりがほしいというものを、なんでもおとしてくれました。
これを要するに諸人才器齷齪あくさく、天下の大事を論ずるに足らず、が長人をして萎薾いびせしめん。残念々々。足下そっか久坂をのみ頼むなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
文吉は、枝折戸の外に待たしてあるわたくしに菓子を少しけて呉れますが、ほとんど大部分をその場でぽり/\食べてしまいます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
峠路のかごに興じたり、雨の宿りをびしがったり、高原の道に馬をせがんだりして、いつか知らず故郷の土を踏んでしまったのである。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
卜斎ぼくさい鉄拳てっけんをくったせつなに、仮面めんは二つにられてしまった。そして二つに割られた仮面が、たたみの上に片目をあけて嘲笑あざわらっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私は佐瀬でございます」三十を少し越したかと思われる頭髪を綺麗にけた、色白の背の高い紳士は云った。友は椅子をすすめながら
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
草庵というのも、び住んだ庵で、必ず草でいた庵ではなく、草家くさやというのも必ず草で葺いた家ではない。草戸もそれと同じ事である。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
さあそれと聞いてからは、子供心に気味がるくって、その晩などはついに寝られなかった。私の実際に見たのではこんな事がある。
子供の霊 (新字新仮名) / 岡崎雪声(著)
己は根岸の家の鉄の扉を走って出たときは血がき立っていた。そして何か分からない爽快そうかいを感じていた。一種の力の感じを持っていた。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで『立派りつぱなユーモリスト』なるしぶ先生せんせいこれして、『世界中せかいぢうのひつくりかへるあしたかな』とやつたんだ。どうだわかつたか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
しかも君はいない。僕はそれをざっと見てから、失礼をびて帰ってきた。そして、アヴドーチャ・ロマーノヴナにありのまま報告した。
いらはいったい、何のために、かくは勝家の討って出るを、はばめるのか。勝家を迎えるあいだに、なぜ目に見えている敵をささえぬか」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
善ニョムさんは、泣声になってめいた。いやだ、いやだ——青い麦の芽達が、頭を振りながら、善ニョムさんの眼前に現われて来た。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
あまりのむごたらしさに皇后は、顔色もなくおしたが、舟がすすむにつれ、風浪も烈しく、いよいよ生ける心地もなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまみして障子せうじめた、殘暑ざんしよといふものはわるあつい、空氣くうきかよはないかららである、くもつてゐるから頭痛づつうがする、たまらぬ。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
さっきまでは居る影さえしなかったとんびが、いつの間にかすぐ目の前で五六度を描いて舞ったかと思うと、サッと傍の葦間へ下りてしまう。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
人には一の菜の慈悲もなかりき、今はジリジリ移りゆく日影を見るに堪えかね、仏壇の前に伏して泣きたり、哀れの寡婦よ、いかばかり悲しかりけん
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
髪の毛の匂いと、それからどこから来るのだかからない、ある不思議な女の香気が彼にもつれ掛って来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
そして外へ出ると、時々けてもらった草花を、腕車くるま蹴込けこみへ入れて帰って来た。中庭の垣根のなかには、いろいろのものが植えられた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そしてこれらの諸品がウバヒガンすなわちタチヒガンと縁の無いことは、その葉を検すればぐにかるのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
くるまもなし、女中ぢよちうれずか、やれ/\まはやなか這入はいれ、さあ這入はいれ、うも不意ふいおどろかされたやうでまご/\するわな、格子かうしめずともしがめる、かくおく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「判ってますよ。——だっていいじゃないか。ーさんはあんなお人よしで独りでよがっているんだし、たまにうくらい何でもありゃしない。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
おれの教えが悪いによって左様な道楽の者に成ったのだ、此の短冊はが形見で有るから、是を持って何処どこへでもけと云って、流石さすがの父も涙を含んでわしの手に渡した時に
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かつは清吉を戒むること足らざりしをび、のっそり夫婦が様子をるに十兵衛は例の無言三昧、お浪は女の物やさしく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
食国をすくにとほ御朝廷みかどに、汝等いましらまかりなば、平らけく吾は遊ばむ、手抱たうだきて我は御在いまさむ、天皇すめらがうづの御手みてもち、掻撫かきなでぞぎたまふ、うち撫でぞぎたまふ、かへり来む日あいまむ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
豚を殺すそんなけだから塾中の書生に身なりの立派な者はず少ない。そのくせ市中の縁日などえば夜分屹度きっと出て行く。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大阪人のごときは算盤のたまの上にいた虫のようなものです。私は、それを痛感しております。景気がよいとか、悪いとか、相場が上がったとか、下ったとか言うてそれで一生を浪費しているのです。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
きさしたる炭の半ば紅なるが、媼の座のほとりにちりぼひたるは、妖魔の身邊に引くといふくすしきとも看做みなさるべし。まことに是れ一幅クロトの活畫像なり。
ヤマトの語に当つるに相変らず「」の字を用うる例で、それが畿内の大和一国を表わす場合は勿論、同じ人名にしてもヤマトタケルノミコトの場合には、「日本武尊やまとたけるのみこと」と書き
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
そのそば絹帽シルクハットが二つ並んで、その一つには葉巻のけむりが輪になってたなびいている。向うの隅に白襟しろえりの細君がひんのよい五十恰好かっこうの婦人と、きの人には聞えぬほどな低い声で何事か耳語ささやいている。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三つの雄蕊ゆうずいは幅広き花柱枝かちゅうしの下に隠れて、そのやくは黄色をていしており、中央の一花柱かちゅうは大きな三かれて開き、その末端まったん柱頭ちゅうとうがあり、虫媒花ちゅうばいかであるこの花に来る蝶々ちょうちょう
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それだもの、わすれるもんか。その時の、幻が、ここに残って、私の目に見えたんだ。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すて筆ながく引いて見ともなかりしか可笑をかし、桂次は東京に見てさへるい方では無いに、大藤村のひかきみ帰郷といふ事にならば、機場はたばの女が白粉のぬりかた思はれると此処にての取沙汰
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひつぎまへ銀樽ぎんそん一個いつか兇賊等きようぞくらあらそつてこれをむに、あまかんばしきこと人界じんかいぜつす。錦綵寶珠きんさいはうじゆ賊等ぞくらやがてこゝろのまゝに取出とりいだしぬ。さてるに、玉女ぎよくぢよひだりのくすりゆびちひさきたまめたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、夫人は母たる愛情を、七人の子供に平等にけて居た。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
五秒間の後は平気にかえりぬ。医師の帰りたる後十分ばかり何もせずただ枕に就きぬ。その間何を考えしか一向に記憶せず。ただその中に世間野心多き者多し。然れどもれほど野心多きはあらじ。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
されどわれは聖母マドンナに誓ふことを得べし。我心は清淨無垢むくにして、譬へば姉と弟との心を談じ情をするが如くなりしなり。さるを夫人の目には常ならぬ光ありて、その乳房のあたりは高く波立てり。
脚絆きゃはん足袋たびも、紺の色あせ、のみならず血色ちいろなき小指現われぬ。一声いっせい高く竹のるる音して、勢いよく燃え上がりし炎は足を焦がさんとす、されどおきなは足を引かざりき。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
よく浴衣ゆかたの模様などに、鎌の絵と、と、ぬの字を染め抜いてかまわぬと判じさせるのがありますが、模様としては元禄げんろくぶりの寛闊な趣を見せてなかなか面白いものですが
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
茶店さてんの老婆子われを見て慇懃いんぎん無恙むようを賀しかつが春衣を
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
男をしたふ女の心はいつも男の居所いどころぢやはやく、口をあけて、さあ、かぬか、えゝ、業畜ごうちく
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これ千代りようも有ろうのに、ちょっと欠いたとか、ひゞが入った位ならば、是れ迄の精勤のかどもっゆるすまいものでもないが、斯う大きく毀れては何うも免し難い、これ、何は居らんか、何や
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハヽイヤ、ふたりともこねいだからいつにねい、らあこともあるんだ、アハヽヽ
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
崖のこっち側と向う側と昔は続いていたのでしょうがいつかの時代にけるかれるかしたのでしょう。きりのあるときは谷の底はまっ白でなんにも見えませんでした。
(新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
桃色の明りの中にしろを著て少女をとめの如くしりくる船
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
美禰子の顔や手や、えりや、帯や、着物やらを、想像にまかせて、けたりったりしていた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さゝ、ヂュリエットをおこして、着飾きかざらせい。おれてパリスどのに挨拶あいさつせう。……さゝ、いそげ/\。婿むこどのは最早もうせたわ。いそいそげ。
グレ (サンプソンに對ひ、小聲にて)つわいとはっせい。(下手を見やりて)あそこへ殿との親族しんぞく一人ひとりせた。
しは今日その商人を相手にしたのだから、先方の得手に乗せられては、みすみす自分で自分を馬鹿者にしていることになるのだ。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それともお前はしの眼の前に嘘をせんでいい世の中を作ってみせてくれるか。そしたらしもお前に未練なくかぶとを脱ぐがな
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
樹を切るのは樵夫きこりを頼んだ。山から海岸まで出すのは、お里が軽子かるこで背負った。山出しを頼むと一に五銭ずつ取られるからである。
窃む女 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「きみも出すか、一出したら五銭やるぞ。」
窃む女 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
もっとも、この語は古事記にも、「阿佐士怒波良アサジヌハラ」とある。併しそれよりも感心するのは、一首の中味である、「が思ふ君が声のしるけく」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
神南備かむなび浅小竹原あさしぬはらのうるはしみきみこゑしるけく 〔巻十一・二七七四〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
後に、虎、その柱をりて、針を取りて走去げぬ。高麗国こまのくに、得志が帰らんとおもこころを知りて、あしきものを与えて殺す
得志、つねにその針を以て柱のうちに隠し置けり。後に、虎、その柱をりて、針を取りて走去げぬ。
不良るかったら何時でも帰ってくるから、その時はまた面倒をかけますよ。——内儀さんは眼をしょぼしょぼさせながら黙って私の言葉を聞いていたが
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
れ今の所謂才子が作る所の戯曲ドラマを見るに、是れ傀儡くゞつを操りて戯を為す者のたぐひのみ、作中の人物、一も生人の態なし。其唐突、滑稽なる人をして噴飯せしむる者あり。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
き目もふらず、杖をふるって路を刻みつけながら、その雪の幅は、一町あまりもあったろう、縦板のように走ったクーロアールの真ン中を、かれこれ中ほどまではとっついたろう。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
めきつつ、はたと息絶え
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あるものは又た唱歌の教室に在る風琴の周囲まはりへ——いづれも天の与へた休暇やすみとして斯の雪の日を祝ふかのやうに、思ひ/\のに集つて話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
カーテンをかかげて外を見ると、ストーブの温か味で汗をかいた硝子ガラス戸を透して、まるで深海の底のように黒目あやめかぬ真暗闇が彼を閉じこめていることが分った。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして開かっていた窓を通して、一弾を狙い放した。この経路には寸分の疑いの余地はない。第一弾丸だけでも、彼の頭に捕蹄を打つに十分だ。
白糸は群れいる客を推しけ、き排け
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時得三は袖を掲げて、雪より白き下枝の胸を、乳もあらわに押寛おしくつろぐれば、動悸どうき烈しく胸騒立さわだちて腹は浪打つごとくなり。全体虫が気に喰わぬはらわた断割って出してやる。と刀引抜き逆手に取りぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それについて、御縁女、相談にせられたかな……
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岸本の胸にいて来た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鬱蒼として居ますがさいわいに雪があったからたれたものの、雪がなかったら危険地でとても渡れないだろうと思います、それより半里ばかり東南の谷間を下り、それから登山しましたが
越中劍岳先登記 (新字新仮名) / 柴崎芳太郎(著)
生少かくして自己の為めに死に抗するも自然である、長じて種の為めに生を軽んずるに至るのも自然である、是れ矛盾ではなくして正当の順序である
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
そこで私は止むを得ず、生きている人間の胸をって、その心臓を使いました。幾度も失敗しました。けれど遂々今夜成功し、よい結果を見ることが出来ました。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに、裏長屋の軒並から——大江戸の隅の隅のどぶという、どぶの近所から、急に発生き出した、毒虫のように、雲霞うんかのように飛び出して来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
祖父から子供のをり冬の炉辺のつれ/″\に聞かされた妖怪変化えうくわいへんげに富んだ数々の昔噺むかしばなしを、一寸法師の桶屋をけやつち馬盥ばだらひたゝいてゐると箍が切れね飛ばされて天に上り雷さまの太鼓叩きに雇はれ
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
でも後で私しを世話して置けば早晩いつかお前が逢い度く成て帰ッて来るだろうッて、のろい事はを掛てるネ日本人にそうして今は何所に、アう本郷に奉公、ア爾う可愛相に、金起さんも一緒かえ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さだまりの女買おんながい費込つかいこんだ揚句あげくはてに、ここに進退きわまって夜更よふけて劇薬自殺をげた……と薄気味悪るく血嘔ちへどを吐く手真似で話した。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
汝の了解さとりふさはしきまで明らかなるゆきわたりたる言葉にてその説示されんことを願ふ、げにこゝにこそつぶさくべき事はあるなれ —二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「砂糖を入れないでもやっぱりきます。」
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
新「だけれども隠すにも何も仕様がない、本堂へ持って行かれりゃアすぐ悪事ぼくれるじゃアねえか、黙って埋めて遣るから云えというので」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘六が賞めて、餅と蜜柑をみなの手にけた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日は、病棟の人々へも少しずつけるため、婦人部隊がまた萩の餅をこしらえたが、玖満子夫人は、その幾つかの残りを持って、ただひとり何処へやら出て行った。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云われこの時は永禪和尚もこれは隠悪ぼくれたわい、もう是れまでと思ってじゞばゞあを切殺して逃げるよりほかはないと、道中差どうちゅうざし胴金どうがねを膝の元へ引寄せて半身構えに成って坐り、居合いあいで抜く了簡
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いながらスラリッとふすまを開けると蟠作に続いて出ましたのがお村、只今で云う権妻ごんさいです。お妾姿で髪はに結い、帯をお太鼓にしめてお妾然として坐りました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)