)” の例文
そのうちに大きくなったらかる事と思って、自分一人の秘密にしたまま、忘れるともなく次から次に忘れていた。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
髪の毛の匂いと、それからどこから来るのだかからない、ある不思議な女の香気が彼にもつれ掛って来た。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
安倍誠之助はながい上体をおしのばして耳にてのひらをあてた。よく聞き取れなかった、——というより、きなおさなければからないつぶやくような言葉であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
傍目わきめらぬ。えんに引くすその音さえおのが耳に入らぬくらい静かに歩行あるいている。腰から下にぱっと色づく、裾模様すそもようは何を染め抜いたものか、遠くてからぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜明けんとする一刻前の文様あやめかぬ夜の山を、肩にすがりつ縋られつ、二人の男女は辿たどって行く。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何卒どうぞ僕に打ち明けて安心させて下ださいませんか、僕は姉さんの独身主義と云ふのがからないのです、其れは主義から出た結論でなく、境遇から来た迫害だと僕は思ふのです
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そう切口上をいうと乳母の母親にむかい、よく聞きけるように
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
そのささやきをきてこそ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
家の人達には、房子が何でそんな事になったのだか、ずーっと後までからなかった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
御祝だやら御弔おとむらひだやら訳がからなくなるぢやありませんか、貴郎あなたネ、井上の奥様おくさんの御話では青年会の方々も大層な意気込で、し篠田さんを逐ひ出すなら、自分等も一所に退会するツてネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
一等都合のうまい工夫を教えている事がかって、心から感心した。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
きしは、さても知りつるは
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
きがたきかな、遠海に。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)