“対”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
むか42.1%
たい24.7%
つい16.7%
こた4.6%
むこ2.6%
2.2%
つゐ2.0%
てえ1.5%
あわ0.4%
つひ0.4%
(他:13)2.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“対”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]63.3%
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸24.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)8.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「おとぼけ召さるなッ。尊公に用あればこそ尊公にむかって物を申しているのじゃ。何がおかしゅうて無遠慮な高笑い召さった」
——冬の深夜の星にむかって、端然とし乍ら正座すると、対馬守は蕭々しょうしょうとして、日頃たしなむ笙を鳴らした。
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
すると、例の血痕けっこんが北のたいはな座敷ざしき)の車宿(車を入れておく建物)にこぼれているのが分った。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
久子は、いちど良人を寝所へ送ってから、いつものように子供らが枕をならべているたいのわが寝間へひきとっていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小を坤竜丸こんりゅうまると呼んでいるのだが、この一ついの名刀は小野塚家伝来の宝物で、諸国の大名が黄金を山と積んでも
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ついにおさまっていれば何事もないが、つがいを離れたが最後、絶えず人血を欲してやまないのが奇刃きじん乾雲である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こたえて曰く吾先だちてみちひらき行かむ云々、因りて曰く我を発顕あらわしつるは汝なり、かれ汝我を送りて到りませ、と
孔子こたえて曰く、顔回というひとありき、学を好み怒りをうつさず過ちをふたたびせざりしが、不幸短命にして死せり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
浅き砂底の川をむこうに渡らんとて乗馬のまま川に入りますと、馬は二足三足進んで深き泥の中に腹を着くまでおちいりました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
風呂敷が少し小さいので、四隅よすみむこう同志つないで、真中にこま結びを二つこしらえた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
勿論、顔もおりおりは湯舟の中でお洗いになってき合っても、そんなことは一つも気にしないふうだったと、山本さんは言った。
かれらは、そのいのちにきあい、それを奪いあうために生き、その日をあてに生きているのかも分らなかった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
詩人の声 (朗唱する)夫婦、繋がれた一つゐの男女、朝は夫の仏頂面ぶつちやうづら、夜は妻の溜息、十年一日の如く、これも自業自得、互に見あきた顔と顔。
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
つゐしまあかしか何かの着物にやはりつゐの帯をしめ、当時流行の網をかけた対のパラソルをした所を見ると、或はねえさんに妹かも知れない。
鷺と鴛鴦 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「町奉行の方が、浪人者にてえして怖れをなしてるんだから、いよいよ甘く見られちまわあな、それに比べると、何といっても、掃部様はエラかったな」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この片一方の腕にてえしても、かおが合わせられねえ仕儀さ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
声色こわいろ知ったるおなみ早くもそれと悟って、恩あるその人のむこうに今は立ち居る十兵衛に連れ添える身のおもてあわすこと辛く、女気の繊弱かよわくも胸をどきつかせながら
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「我等今(現世に於て)鏡をもて見る如く昏然おぼろなり、然れど彼の時(キリストの国のあらわれん時)にはかおあわせて相見ん、我れ今知ること全からず、然れど彼の時には我れ知らるる如く我れ知らん」とパウロは曰うた(哥林多コリント前書十三の十二)
ぷくつひ探幽たんにゆうのおぢくそれ此霰このあられかま蘆屋あしやでげせうな
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一人は妻なるべしつひするほどの年輩としばいにてこれは実法に小さき丸髷まるまげをぞ結ひける、病みたる人は来るよりやがて奥深に床を敷かせて、くくり枕につむりを落つかせけるが
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はい、それもこれも死んだ父様とっさま恩返おんげえしがしてえと思って居るんで、父様のお位牌へていし、鹽原の名前なめえを汚すめえと思って居りやんす、八歳やッつの時から貰われて来て育てられた恩は一通りでねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母「チョッ、分らねえ奴だな、石原の親達へていしても此娘これがに何一つ着せる事ア出来ねえ、そんならと云ってうちに置けばくねえ、憎い親不孝なアあまの着物を見るのはいやだから、打棄うっちゃっちまえと云うだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○水神の森あり。水神の社地を浮島といひて、洪水にも浸さるゝことなき由をもて名あり。このあたり皆川の東の方は深くして西の方は浅し。水神の森のむかいの方に
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
板の色白く、てらてらとむかいなる岸にかかりたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人は、こう言いうと、童子を真中にして庭後へ出た。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
恩ある其人のむかうに今は立ち居る十兵衞に連添へる身の面をあはすこと辛く、女気の纎弱かよわくも胸を動悸どきつかせながら、まあ親方様、と唯一言我知らず云ひ出したるり挨拶さへどぎまぎして急には二の句の出ざる中
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その言いしれぬ肉のおもいを含んだ笑い声が、光の薄い湿っぽい待合室に鳴り渡って人の心を滅入めいらすような戸外そとの景色にくらべて何となく悲しいような、またあさましいような気がして来る。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
子曰く、賜や、なんじわれを以て多く学びて之を識る者と為すかと。ことえて曰く、然り、非なるかと、曰く、非なり。われ一以て之を貫くと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
日外いつぞやの凌雲院の仕事の時も鐵や慶をむかうにして詰らぬことから喧嘩を初め、鐵が肩先へ大怪我をさした其後で鐵が親から泣き込まれ、嗚呼悪かつた気の毒なことをしたと後悔しても此方も貧的、何様どうしてやるにも遣り様なく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
小蝶なんぞは飲べませぬ、左様いへば彼奴の面が何所かのつそりに似て居るやうで口惜くて情無い、のつそりは憎い奴、親方のむかうを張つて大それた、五重の塔を生意気にも建てやうなんとは憎い奴憎い奴、親方がやさし過ぎるので増長した謀反人め
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
実は昨日きのう朝飯あさはんの時、文三が叔母にむかって、一昨日おととい教師を番町に訪うて身の振方を依頼して来た趣を縷々るるはなし出したが、叔母は木然ぼくぜんとして情すくなき者の如く、「ヘー」ト余所事よそごとに聞流していてさらに取合わなかッた、それがいまだに気になって気になってならないので。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
坦々たる古道の尽くるあたり、荊棘けいきよく路をふさぎたる原野にむかひて、これが開拓を勤むる勇猛の徒をけなす者はきようらずむば惰なり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
訳者は今の日本詩壇にむかひて、もつぱらこれにのつとれと云ふ者にあらず、素性の然らしむる処か、訳者の同情はむしろ高踏派の上に在り、はたまたダンヌンチオ、オオバネルの詩に注げり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
かくてその隣とは、此度は紀伊国をさす也。然れば莫囂国隣之の五字は、紀乃久爾乃キノクニノよむべし。又右の紀に、辺土と中州をむかへいひしに依ては、此五字をつ国のとも訓べし。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その氷の山にムカうて居るやうな、骨のウヅく戦慄の快感、其が失せて行くのをオソれるやうに、姫は夜毎、鶏のうたひ出すまでは、ホトンド、祈る心で待ち続けて居る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
若くから氏上ウヂノカミで、数十の一族や、日本国中数万の氏人ウヂビトから立てられて来た家持ヤカモチも、ぢつとムカうてゐると、その静かな威に、圧せられるやうな気がして来る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)