上田敏
1874.10.30 〜 1916.07.09
“上田敏”に特徴的な語句
天
映
角
虚空
離
樫
牧
珠
眼路
翁
金色
香
夜
夕
無言
空
地
生
痍
艶
孤
寂寞
額
夜
音
墳塋
汝
宴
赤楊
群
下
中空
眼差
黄金
掩
日
曳
纏
色
妙
來
音
上
樹
遠
這
木立
朝
銅
少女
著者としての作品一覧
海潮音(新字旧仮名)
読書目安時間:約51分
遙に満洲なる森鴎外氏に此の書を献ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりて あまぐもとなる、あまぐもとなる。 獅子舞歌 巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉 …
読書目安時間:約51分
遙に満洲なる森鴎外氏に此の書を献ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりて あまぐもとなる、あまぐもとなる。 獅子舞歌 巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉 …
海潮音(旧字旧仮名)
読書目安時間:約51分
遙に此書を滿州なる森鴎外氏に獻ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる 獅子舞歌 卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四 …
読書目安時間:約51分
遙に此書を滿州なる森鴎外氏に獻ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる 獅子舞歌 卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四 …
さかほがひ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
阿古屋の珠を 溶きたる酒は のこさで酌まむ。 ほせよさかづき ほせよ、ほせよ、觴。 のめや、うたへや、 うたへや、のめや。 あゝ、おもしろ あゝ、おもしろの さかほがひ。 薫はたか …
読書目安時間:約1分
阿古屋の珠を 溶きたる酒は のこさで酌まむ。 ほせよさかづき ほせよ、ほせよ、觴。 のめや、うたへや、 うたへや、のめや。 あゝ、おもしろ あゝ、おもしろの さかほがひ。 薫はたか …
『新訳源氏物語』初版の序(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
源氏物語の現代口語訳が、与謝野夫人の筆に成って出版されると聞いた時、予はまずこの業が、いかにもこれにふさわしい人を得たことを祝した。適当の時期に、適当の人が、この興味あってしかも容 …
読書目安時間:約5分
源氏物語の現代口語訳が、与謝野夫人の筆に成って出版されると聞いた時、予はまずこの業が、いかにもこれにふさわしい人を得たことを祝した。適当の時期に、適当の人が、この興味あってしかも容 …
月(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
むかしより月をめづる人多し。あるは歌に詠じ、あるは文に属し、語をつくして、ほめたゝふ。されど如何なる月をか、いとよしとするにやあらむ。いまだ定まりたる、言をきかず。人々おのがじゝ、 …
読書目安時間:約5分
むかしより月をめづる人多し。あるは歌に詠じ、あるは文に属し、語をつくして、ほめたゝふ。されど如何なる月をか、いとよしとするにやあらむ。いまだ定まりたる、言をきかず。人々おのがじゝ、 …
牧羊神(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1時間4分
阜の上の森陰に直立ちて 牧羊の神パアン笙を吹く。 晝さがりの日暖かに、風も吹きやみぬ。 天青し、雲白し、野山影短き 音無の世に、たゞ笙の聲、 ちよう、りよう、ふりよう、 ひうやりや …
読書目安時間:約1時間4分
阜の上の森陰に直立ちて 牧羊の神パアン笙を吹く。 晝さがりの日暖かに、風も吹きやみぬ。 天青し、雲白し、野山影短き 音無の世に、たゞ笙の聲、 ちよう、りよう、ふりよう、 ひうやりや …
まちむすめ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
かなしき契となりてけり さめてうれたき夢のあと きはみて落つるいてふ葉の あしたの霜にうづむごと あゝわが戀はきゆべしや 月はしづみてほしかげの きらめくよひの浴歸りに 霜夜の下駄 …
読書目安時間:約2分
かなしき契となりてけり さめてうれたき夢のあと きはみて落つるいてふ葉の あしたの霜にうづむごと あゝわが戀はきゆべしや 月はしづみてほしかげの きらめくよひの浴歸りに 霜夜の下駄 …
翻訳者としての作品一覧
LEONARDO DA VINCI(その他)
読書目安時間:約1分
Urbino no wakôdo kosowa edakumi no ichi to tatôre, Leonardo, Yo ni suguretaru kimi ga zae …
読書目安時間:約1分
Urbino no wakôdo kosowa edakumi no ichi to tatôre, Leonardo, Yo ni suguretaru kimi ga zae …
ITALIA(その他)
読書目安時間:約1分
Konata ni wa Abruzzi no yama, kanata Pontini no numa, Geijutsu no kuni wo idete zôka rakuy …
読書目安時間:約1分
Konata ni wa Abruzzi no yama, kanata Pontini no numa, Geijutsu no kuni wo idete zôka rakuy …
あすは、明日は、(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
いかに、わが世の、あだなるや、空なるや、うつろなるや。げに、人間のあとかたの覺束なくて、數少なき。徒らなるは月日なり。 しかも萬人は生を惜む。いたく、性命を尊みて、これより、我より …
読書目安時間:約1分
いかに、わが世の、あだなるや、空なるや、うつろなるや。げに、人間のあとかたの覺束なくて、數少なき。徒らなるは月日なり。 しかも萬人は生を惜む。いたく、性命を尊みて、これより、我より …
ありとあらゆるわが思(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
ありとあらゆるわが思、「愛」と語りて弛なく その種々の語の數いと繁きひといろは、 勢猛にわれをしも力の下に壓さむとし、 またひといろは勢を誇り語りて、らうがはし。 あるは望を抱きつ …
読書目安時間:約1分
ありとあらゆるわが思、「愛」と語りて弛なく その種々の語の數いと繁きひといろは、 勢猛にわれをしも力の下に壓さむとし、 またひといろは勢を誇り語りて、らうがはし。 あるは望を抱きつ …
あはれ今(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
あはれ、今、「愛」の路行く君たちよ、 止りても見よ、世の中に、 われのに似たる悲をする人ありや。 願はくば、わが言ふところ、聞き終り、 さもこそと、憐み給へ、 われこそは憂愁の宿な …
読書目安時間:約1分
あはれ、今、「愛」の路行く君たちよ、 止りても見よ、世の中に、 われのに似たる悲をする人ありや。 願はくば、わが言ふところ、聞き終り、 さもこそと、憐み給へ、 われこそは憂愁の宿な …
石工(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
石工の長曰く、見よ、この稜堡を、この支柱を。 末代までの固と人はいふらむ。 シルレル「ヸルヘルム・テル」 石工アブラハム・クップフェルは鏝を片手に足場の上で歌つてゐる。隨分高く登つ …
読書目安時間:約2分
石工の長曰く、見よ、この稜堡を、この支柱を。 末代までの固と人はいふらむ。 シルレル「ヸルヘルム・テル」 石工アブラハム・クップフェルは鏝を片手に足場の上で歌つてゐる。隨分高く登つ …
一僧(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
わが知己に一人の僧ありき——世を遁れ、行ひすましぬ。ひたぶるに、祈祷を淨樂として、一念これに醉ひぐれたれば、精舍のつめたき床にたちても、膝より下の、ふくだみて、全身、石柱をあざむく …
読書目安時間:約1分
わが知己に一人の僧ありき——世を遁れ、行ひすましぬ。ひたぶるに、祈祷を淨樂として、一念これに醉ひぐれたれば、精舍のつめたき床にたちても、膝より下の、ふくだみて、全身、石柱をあざむく …
欝金草売(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
花のなかなる欝金草は鳥のなかなる孔雀の如し。かれに香無くこれに歌無し。かれは其袍を、これは其尾を矜る。「珍華園」 あたりはしんとしてゐる。博士ホイルテンの指の下に羊皮紙の擦れる音ば …
読書目安時間:約2分
花のなかなる欝金草は鳥のなかなる孔雀の如し。かれに香無くこれに歌無し。かれは其袍を、これは其尾を矜る。「珍華園」 あたりはしんとしてゐる。博士ホイルテンの指の下に羊皮紙の擦れる音ば …
歌よ、ねがふは(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
「歌」よ、ねがふは「愛」の神さがし求めて かの君の前に伴ひ歌はなむ。 「歌」はわが身の言別を、主はかの君を 恐無く正眼に見つゝ語りなむ。 禮には篤き「歌」なれば、よしそれ唯の ひと …
読書目安時間:約2分
「歌」よ、ねがふは「愛」の神さがし求めて かの君の前に伴ひ歌はなむ。 「歌」はわが身の言別を、主はかの君を 恐無く正眼に見つゝ語りなむ。 禮には篤き「歌」なれば、よしそれ唯の ひと …
エロディヤッド(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
ヒュイスマンスの小説『さかしま』の主人公ジァン・デ・ゼッセントが愛吟、マラルメ作『エロディヤッド』の斷章 ……………………噫なんぢ、鏡よ、 愁によつてその縁の中に凍りたる水よ、 い …
読書目安時間:約3分
ヒュイスマンスの小説『さかしま』の主人公ジァン・デ・ゼッセントが愛吟、マラルメ作『エロディヤッド』の斷章 ……………………噫なんぢ、鏡よ、 愁によつてその縁の中に凍りたる水よ、 い …
落葉(旧字旧仮名)
読書目安時間:約5分
樹々に落葉のある如く、月日にも落葉がある。無邊のあなたから吹いて來る音無の風は歳月の樹々を震はせて、黄ばみ戰く月日をば順々に落してゆく。落ちてどこへ行くのだらう。黄ばみ戰く木の葉は …
読書目安時間:約5分
樹々に落葉のある如く、月日にも落葉がある。無邊のあなたから吹いて來る音無の風は歳月の樹々を震はせて、黄ばみ戰く月日をば順々に落してゆく。落ちてどこへ行くのだらう。黄ばみ戰く木の葉は …
海潮音(旧字旧仮名)
読書目安時間:約51分
遙に此書を滿州なる森鴎外氏に獻ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる 獅子舞歌 卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四 …
読書目安時間:約51分
遙に此書を滿州なる森鴎外氏に獻ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる 獅子舞歌 卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四 …
海潮音(新字旧仮名)
読書目安時間:約51分
遙に満洲なる森鴎外氏に此の書を献ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりて あまぐもとなる、あまぐもとなる。 獅子舞歌 巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉 …
読書目安時間:約51分
遙に満洲なる森鴎外氏に此の書を献ず 大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりて あまぐもとなる、あまぐもとなる。 獅子舞歌 巻中収むる処の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉 …
カンタタ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
LÆTA………悦子 FAUSTA………幸子 BEATA………福子 悦。今、春と夏とのさかひ、このひと時…… 幸。今宵と明日とのさかひめに、ひとつ介まるこの時よ…… 福。眠れ、眠入ら …
読書目安時間:約3分
LÆTA………悦子 FAUSTA………幸子 BEATA………福子 悦。今、春と夏とのさかひ、このひと時…… 幸。今宵と明日とのさかひめに、ひとつ介まるこの時よ…… 福。眠れ、眠入ら …
きその日は(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
きその日は思むすぼれ、とぼとぼと 馬を進むる憂き旅路、これも旅かや まのあたり、路のもなかに「愛」の神、 巡禮姿、しほたれて、衣手輕し。 うれはしき其かんばせは、さながらに、 位は …
読書目安時間:約1分
きその日は思むすぼれ、とぼとぼと 馬を進むる憂き旅路、これも旅かや まのあたり、路のもなかに「愛」の神、 巡禮姿、しほたれて、衣手輕し。 うれはしき其かんばせは、さながらに、 位は …
君のねがひ(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
君のねがひ望みたまふもの、 もし道にかなひて尊きことならば、 または、 くちに正しからぬ言葉をたくみたまはずとならば、 いかでか羞は君の眼を蓋ふべき、 あからさまにいひいでたまふべ …
読書目安時間:約1分
君のねがひ望みたまふもの、 もし道にかなひて尊きことならば、 または、 くちに正しからぬ言葉をたくみたまはずとならば、 いかでか羞は君の眼を蓋ふべき、 あからさまにいひいでたまふべ …
「黒瞳」より(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
おくつきに跪き わが父の墳塋に とこしへの愛を われにちかひぬ。 汝もし操なくば 一日たてし誓に 願くば過る勿れ わが父の墳塋を。 * 天の星、 谷の花、 こゝにして子らは日をみむ …
読書目安時間:約1分
おくつきに跪き わが父の墳塋に とこしへの愛を われにちかひぬ。 汝もし操なくば 一日たてし誓に 願くば過る勿れ わが父の墳塋を。 * 天の星、 谷の花、 こゝにして子らは日をみむ …
胡弓(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
こはいかに、紛ふ無き親友ジァン・ガスパル・ドビュロオ、綱渡の一座中世に隱れ無き道化ものゝ蒼ざめ窶れたる姿にあらずや。 惡戲と温順とを浮べたる名状し難き顏色にてこなたを見詰めたり。 …
読書目安時間:約2分
こはいかに、紛ふ無き親友ジァン・ガスパル・ドビュロオ、綱渡の一座中世に隱れ無き道化ものゝ蒼ざめ窶れたる姿にあらずや。 惡戲と温順とを浮べたる名状し難き顏色にてこなたを見詰めたり。 …
五本の指(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
これまでに誰一人身代限やお仕置になつたことの無い正しい家柄 「ジアン・ド・ニヹルの家」 親指は肉付豐かな弗羅曼の酒屋の亭主、根が瓢輕な巫山戯もの、三月釀造極上麥酒の招牌を出した戸口 …
読書目安時間:約1分
これまでに誰一人身代限やお仕置になつたことの無い正しい家柄 「ジアン・ド・ニヹルの家」 親指は肉付豐かな弗羅曼の酒屋の亭主、根が瓢輕な巫山戯もの、三月釀造極上麥酒の招牌を出した戸口 …
さしあげた腕(旧字旧仮名)
読書目安時間:約3分
見渡すかぎり、一面に頭の海である。高くさし上げた腕の森が、波に半身を露はす浮標のやうに突出てゐる。跪いて祈る一大民衆だ。 さし上げた腕の間から皆めいめいに上向の頭がみえる。海藻や地 …
読書目安時間:約3分
見渡すかぎり、一面に頭の海である。高くさし上げた腕の森が、波に半身を露はす浮標のやうに突出てゐる。跪いて祈る一大民衆だ。 さし上げた腕の間から皆めいめいに上向の頭がみえる。海藻や地 …
サバトの門立(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
女は夜半に起きて燭を點じ泥を取つて身に塗り、さて呪文を唱ふれば、身たちどころにサバトの集會に向ふ。 ジァン・ボダン「方士鬼に憑かるる事」 羹を吸ふもの十二人、各の手にある匙は亡者の …
読書目安時間:約1分
女は夜半に起きて燭を點じ泥を取つて身に塗り、さて呪文を唱ふれば、身たちどころにサバトの集會に向ふ。 ジァン・ボダン「方士鬼に憑かるる事」 羹を吸ふもの十二人、各の手にある匙は亡者の …
春夜(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
うたびとよ、こといだけ、くちふれよ。 はつざきのはなさうび、さきいでて、 このゆふべかぜぬるし、はるはきぬ。 あけぼのを、まつやかのにはたたき、 あさみどり、わかえだにうつりなく。 …
読書目安時間:約1分
うたびとよ、こといだけ、くちふれよ。 はつざきのはなさうび、さきいでて、 このゆふべかぜぬるし、はるはきぬ。 あけぼのを、まつやかのにはたたき、 あさみどり、わかえだにうつりなく。 …
虱とるひと(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
むづがゆき額を赤めをさな兒は それとなき夢の白き巣立をねがふ時、 爪しろがねに指細きふたりの姉は たをやかに寢臺近く歩みよる。 青天の光、咲き亂れたる花に注ぐ 明け放ちたる窓のそば …
読書目安時間:約1分
むづがゆき額を赤めをさな兒は それとなき夢の白き巣立をねがふ時、 爪しろがねに指細きふたりの姉は たをやかに寢臺近く歩みよる。 青天の光、咲き亂れたる花に注ぐ 明け放ちたる窓のそば …
ソネット(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
絹には「時」の薫ずれど 「妄執」の色褪せにたり、 鏡のそとに溢れたる 雲の御髮に如めやも。 心急れの旗じるし 道の衢にいきほへど、 われはた君がねくたれを 枕きてあらむ、眼もきりて …
読書目安時間:約1分
絹には「時」の薫ずれど 「妄執」の色褪せにたり、 鏡のそとに溢れたる 雲の御髮に如めやも。 心急れの旗じるし 道の衢にいきほへど、 われはた君がねくたれを 枕きてあらむ、眼もきりて …
泣けよ恋人(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
泣けよ、戀人、神の身の「愛」の君だに、 愁歎のいはれを識りて泣き入りぬ。 「愛」は悲み堪へ難く、いらつめたちの 雙眼に溢るる涙、眺めたり。 忌々しき「死」の大君は貴なる人も 憚らず …
読書目安時間:約1分
泣けよ、戀人、神の身の「愛」の君だに、 愁歎のいはれを識りて泣き入りぬ。 「愛」は悲み堪へ難く、いらつめたちの 雙眼に溢るる涙、眺めたり。 忌々しき「死」の大君は貴なる人も 憚らず …
薄紗の帳(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
薄紗の帳たれてあれど、 こよなき「あそび」は思ふらく、 げにもゆゆしき涜かな、 徒なりや床は無し。 この一面に白妙の 房と房とのからみあひ、 蒼みて曇る玻璃の戸を 空しく打つて事も …
読書目安時間:約1分
薄紗の帳たれてあれど、 こよなき「あそび」は思ふらく、 げにもゆゆしき涜かな、 徒なりや床は無し。 この一面に白妙の 房と房とのからみあひ、 蒼みて曇る玻璃の戸を 空しく打つて事も …
白鳥(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
純潔にして生氣あり、はた美はしき「けふ」の日よ、 勢猛き鼓翼の一搏に碎き裂くべきか、 かの無慈悲なる湖水の厚氷、 飛び去りえざりける羽影の透きて見ゆるその厚氷を。 この時、白鳥は過 …
読書目安時間:約1分
純潔にして生氣あり、はた美はしき「けふ」の日よ、 勢猛き鼓翼の一搏に碎き裂くべきか、 かの無慈悲なる湖水の厚氷、 飛び去りえざりける羽影の透きて見ゆるその厚氷を。 この時、白鳥は過 …
母(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
わが生の奧深く、微かなる聲のわれを呼ぶを感ず。 當來の命よ、眠れるわれを覺さむとして來るは汝か。 嗚呼、命、新らしき命……わが内臟はとどろきぬ、 岸破と跳りぬ。そはなれが呻吟の聲か …
読書目安時間:約2分
わが生の奧深く、微かなる聲のわれを呼ぶを感ず。 當來の命よ、眠れるわれを覺さむとして來るは汝か。 嗚呼、命、新らしき命……わが内臟はとどろきぬ、 岸破と跳りぬ。そはなれが呻吟の聲か …
ハルレム(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
アムステルダムに金の雄鷄鳴けばハルレムに金の雌鷄卵を生む ノストラダムス百首。 弗羅曼の畫風を約めて一幅漫畫にしたやうなハルレム。ヤン・ブラアケル、ペエテル・ネエフ、ダヸッド・テニ …
読書目安時間:約1分
アムステルダムに金の雄鷄鳴けばハルレムに金の雌鷄卵を生む ノストラダムス百首。 弗羅曼の畫風を約めて一幅漫畫にしたやうなハルレム。ヤン・ブラアケル、ペエテル・ネエフ、ダヸッド・テニ …
びるぜん祈祷(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
母なるをとめ、わが子のむすめ、 賤しくして、また、なによりも尊く、 永遠の謀のさだかなるめあて、 君こそは人性を尊からしむれ、 物みなの造りぬしも、 其造りなるを卑まざりき。 その …
読書目安時間:約2分
母なるをとめ、わが子のむすめ、 賤しくして、また、なによりも尊く、 永遠の謀のさだかなるめあて、 君こそは人性を尊からしむれ、 物みなの造りぬしも、 其造りなるを卑まざりき。 その …
不可能(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
人よ、攀ぢ難いあの山がいかに高いとも、 飛躍の念さへ切ならば、 恐れるなかれ不可能の、 金の駿馬をせめたてよ。 登れなほ高く、なほ遠く。たとひ賢しらに なんぢが心、山腹の 泉のそば …
読書目安時間:約1分
人よ、攀ぢ難いあの山がいかに高いとも、 飛躍の念さへ切ならば、 恐れるなかれ不可能の、 金の駿馬をせめたてよ。 登れなほ高く、なほ遠く。たとひ賢しらに なんぢが心、山腹の 泉のそば …
浮浪学生の話(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
抑われは寄辺ない浮浪学生、御主の御名によりて、森に大路に、日々の糧を乞ひ歩く難渋の学徒である。おのれ今、忝くも尊い光景を観、幼児の言葉を聞いた。われは己が生涯のあまり清くない事を心 …
読書目安時間:約3分
抑われは寄辺ない浮浪学生、御主の御名によりて、森に大路に、日々の糧を乞ひ歩く難渋の学徒である。おのれ今、忝くも尊い光景を観、幼児の言葉を聞いた。われは己が生涯のあまり清くない事を心 …
法王の祈祷(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
香煙と法衣とより離れて、わが殿中の一隅金薄の脱落ちたこの一室に来れば、ずつと気やすく神と語ることが出来る。こゝへ来ては、腕を支へられずに、わが老来を思ふのである。弥撒を行ふ間は、わ …
読書目安時間:約6分
香煙と法衣とより離れて、わが殿中の一隅金薄の脱落ちたこの一室に来れば、ずつと気やすく神と語ることが出来る。こゝへ来ては、腕を支へられずに、わが老来を思ふのである。弥撒を行ふ間は、わ …
牧羊神(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1時間4分
阜の上の森陰に直立ちて 牧羊の神パアン笙を吹く。 晝さがりの日暖かに、風も吹きやみぬ。 天青し、雲白し、野山影短き 音無の世に、たゞ笙の聲、 ちよう、りよう、ふりよう、 ひうやりや …
読書目安時間:約1時間4分
阜の上の森陰に直立ちて 牧羊の神パアン笙を吹く。 晝さがりの日暖かに、風も吹きやみぬ。 天青し、雲白し、野山影短き 音無の世に、たゞ笙の聲、 ちよう、りよう、ふりよう、 ひうやりや …
頌歌(旧字旧仮名)
読書目安時間:約7分
わが魂は主を崇め奉るなり。 噫今は越方となりし辛き長き途よわれたゞ孤なりしその日よ。 都大路の流離よ、御堂へ下る長町よ。 宛も若き競技者が方人、調練者の群に急れてか楕圓砂場をさして …
読書目安時間:約7分
わが魂は主を崇め奉るなり。 噫今は越方となりし辛き長き途よわれたゞ孤なりしその日よ。 都大路の流離よ、御堂へ下る長町よ。 宛も若き競技者が方人、調練者の群に急れてか楕圓砂場をさして …
椰子の樹(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
われらが故里の國の樹木は、すべて人間のやうに直立してゐて、しかも不動である。其根を土に突込んで、腕を廣げたままでゐる。ここはさうでない。靈木榕樹は單獨に聳えたつのではなく、多くの絲 …
読書目安時間:約2分
われらが故里の國の樹木は、すべて人間のやうに直立してゐて、しかも不動である。其根を土に突込んで、腕を廣げたままでゐる。ここはさうでない。靈木榕樹は單獨に聳えたつのではなく、多くの絲 …
忌々しき「死」の大君は(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
忌々しき「死」の大君は慈悲の敵なり、 昔より悲の母、 かたくなに、言向けがたき司かな。 われも心に「憂愁」の種を播かれぬ、 いざさらば憂ひて已まじ この舌の君さいなみに倦みぬとも。 …
読書目安時間:約1分
忌々しき「死」の大君は慈悲の敵なり、 昔より悲の母、 かたくなに、言向けがたき司かな。 われも心に「憂愁」の種を播かれぬ、 いざさらば憂ひて已まじ この舌の君さいなみに倦みぬとも。 …
醉ひどれ船(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
われ非情の大河を下り行くほどに 曳舟の綱手のさそひいつか無し。 喊き罵る赤人等、水夫を裸に的にして 色鮮やかにゑどりたる杙に結ひつけ射止めたり。 われいかでかかる船員に心殘あらむ、 …
読書目安時間:約4分
われ非情の大河を下り行くほどに 曳舟の綱手のさそひいつか無し。 喊き罵る赤人等、水夫を裸に的にして 色鮮やかにゑどりたる杙に結ひつけ射止めたり。 われいかでかかる船員に心殘あらむ、 …
よそ人のあざむが如く(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
よそ人のあざむが如く、君も亦あざみ給ふか 我君よ、君はた知らじ、覺りえじ、世に不思議にも 俤のかくは移ろひ、變りたる深きいはれを、 そは君がたへなる色を仰ぎ見し惑ひ心地ぞ。 我心、 …
読書目安時間:約1分
よそ人のあざむが如く、君も亦あざみ給ふか 我君よ、君はた知らじ、覺りえじ、世に不思議にも 俤のかくは移ろひ、變りたる深きいはれを、 そは君がたへなる色を仰ぎ見し惑ひ心地ぞ。 我心、 …
癩病やみの話(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
あたしの申上げる事を合点なさりたくば、まづ、ひとつかういふ事を御承知願ひたい。白の頭巾に頭を裹んで、堅い木札をかた、かた、いはせる奴めで御座るぞ。顔は今どんなだか知らぬ。手を見ると …
読書目安時間:約4分
あたしの申上げる事を合点なさりたくば、まづ、ひとつかういふ事を御承知願ひたい。白の頭巾に頭を裹んで、堅い木札をかた、かた、いはせる奴めで御座るぞ。顔は今どんなだか知らぬ。手を見ると …
リシダス(旧字旧仮名)
読書目安時間:約2分
今一たびは、あはれ桂よ。今一たびは なれ鳶色のみるて樹よ。鳶よ、ときはの。 我は來り、摘まんとすなり、みのり淺き澁きなが果を。 強ひてする指もなめげに なが葉をぞ、打ちふるふなる、 …
読書目安時間:約2分
今一たびは、あはれ桂よ。今一たびは なれ鳶色のみるて樹よ。鳶よ、ときはの。 我は來り、摘まんとすなり、みのり淺き澁きなが果を。 強ひてする指もなめげに なが葉をぞ、打ちふるふなる、 …
錬金道士(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
吾徒の術を修する法二あり。一は師に就いて口より口へ授かり、はたまた悟徹と示現とによつて過を知らんとす。また一の法は斯道の書を讀むにあれど、其文難解にして頗る晦澁なれば、人もしここに …
読書目安時間:約1分
吾徒の術を修する法二あり。一は師に就いて口より口へ授かり、はたまた悟徹と示現とによつて過を知らんとす。また一の法は斯道の書を讀むにあれど、其文難解にして頗る晦澁なれば、人もしここに …
露西亜の言葉(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
疑ひ惑ふけふこのごろ、國運を思ひて、心病みぬるけふこのごろ、なれこそは、杖なれ、より木なれ、噫、大なるかな、忠なるかな、自由なるかな、露西亞の言葉よ。汝なかりせば、今の故國のさまを …
読書目安時間:約1分
疑ひ惑ふけふこのごろ、國運を思ひて、心病みぬるけふこのごろ、なれこそは、杖なれ、より木なれ、噫、大なるかな、忠なるかな、自由なるかな、露西亞の言葉よ。汝なかりせば、今の故國のさまを …
忘れたるにあらねども(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1分
たかき樹の枝にかかり、 梢にかかり、 果實とるひとが忘れてゆきたる、 いな、 忘れたるにあらねども、 えがたくて、 のこしたる紅き林檎の果のやうに。 …
読書目安時間:約1分
たかき樹の枝にかかり、 梢にかかり、 果實とるひとが忘れてゆきたる、 いな、 忘れたるにあらねども、 えがたくて、 のこしたる紅き林檎の果のやうに。 …
わるい花(旧字旧仮名)
読書目安時間:約4分
花屋の前を通り過ぎた。威勢よく反身になつてゐる花もある、しよんぼりと絶え入つてゐる花もある、その花屋の前を通りすがると、妙に氣を搖る意地の惡い香がした、胸苦しいほど不思議の香がした …
読書目安時間:約4分
花屋の前を通り過ぎた。威勢よく反身になつてゐる花もある、しよんぼりと絶え入つてゐる花もある、その花屋の前を通りすがると、妙に氣を搖る意地の惡い香がした、胸苦しいほど不思議の香がした …
“上田敏”について
上田 敏(うえだ びん、1874年(明治7年)10月30日 - 1916年(大正5年)7月9日)は、日本の評論家・詩人・翻訳家・英文学者。学位は、文学博士。京都帝国大学文科大学教授。族籍は静岡県士族。「」と号したため、上田柳村名義でも執筆活動を行った。
外国文学、とくに西欧の象徴詩の紹介と翻訳を精力的に行った。名訳詩集『海潮音』(1905年)は、日本の詩壇を覚醒させ、「パンの会」結成などに影響を与えた。作品に訳詩集『牧羊神』(1920年)など。
(出典:Wikipedia)
外国文学、とくに西欧の象徴詩の紹介と翻訳を精力的に行った。名訳詩集『海潮音』(1905年)は、日本の詩壇を覚醒させ、「パンの会」結成などに影響を与えた。作品に訳詩集『牧羊神』(1920年)など。
(出典:Wikipedia)
“上田敏”と年代が近い著者
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)