“纏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まと73.5%
まとま13.0%
まつ5.2%
まつわ2.2%
まとい2.0%
0.7%
まつは0.6%
まとひ0.6%
0.5%
まとわ0.4%
くる0.2%
マト0.1%
から0.1%
つつ0.1%
へば0.1%
まとめ0.1%
まとゐ0.1%
もつ0.1%
マトヒ0.1%
マトマ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
殊に一個の文章を書かうとする前、一つの考案をまとめる前、さういふ時には、この空想の加速度によつて、多くその文章が破棄されることすらある。
また、時には少年の着るような薄色のかさねのぞかした好みを見せれば、次の夕方には、もう一人の男もそれに似合うた衣をまとうていた。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
どんな複雑な趣向で、どんなまとまった道行を作ろうとも畢竟ひっきょうは、雑然たる進水式、紛然たる御花見と異なるところはないじゃないか。
写生文 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それが縁で浜田屋へも出入でいりするようになり、伊藤公にも公然許されて相愛の仲となり、金子男の肝入りで夫妻となるようにまとまった仲である。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
と、今まで気がかなかった天井から垂れている青いワナになったひもが、ちらと眼にくとともにそれがふわりと首にまつわった。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そうだ」と帆村はいきなり椅子から立って部屋をぶらぶら歩きだした。「じゃ、君に、この密書にまつわる事件を一と通り話をしよう……」
獏鸚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それに、よくさうした若い女の自殺にまつわる種類の臆測をこの女教師の上に無遠慮に持つて来るには、彼女は、あまりに人々の人望を集めすぎてゐました。
背負ひ切れぬ重荷 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
お袖は、自分の体へまつわってくる男の手を、心にもなく、癇癖かんぺきに振り払いながら、いってもいってもまだ罵り足らないように、
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃、男の子の春の遊びというと、玩具おもちゃではまとい鳶口とびぐち、外の遊びでは竹馬に独楽こまなどであったが、第一は凧である。
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
危え、と蔵の屋根から、結束した消防夫しごとしが一にん、棟はずれに乗出すようにして、四番組のまといを片手に絶叫する。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人麿歌集にある歌で、「児等こらが手を巻向まきむく山はつねなれど過ぎにし人に行きかめやも」(巻七・一二六八)と一しょに載っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
次にスサノヲの命が天照らす大神の左の御髮にいておいでになつた大きな勾玉まがたまの澤山ついている玉のをおけになつて
我はこれを聞きつゝも、むかしの羈靮きづなの再び我身にまつはるゝを覺えて、只だ恩人に見放されたる不幸なる身の上をかこちぬ。
それでもたけのこかはたけみきまつはつてはよこたはつてるやうに、與吉よきちがおつぎをなつかしがることにかはりはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうすると内骨屋町筋うちほねやまちすぢから、神明しんめいやしろの角をこつちへ曲がつて来る跡部あとべまとひが見えた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
鳶の者と言へば、火消しのことで、いまで言へば消防だ、なるほど道理だ、と勢ひ附いて、その教へられた横丁の店に飛び込みました。店には大小の消火ポンプが並べられてありました。まとひもあります。
津軽 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
……その波のいやしく/\に、わぎも子に恋ひつゝ来れば、あごの海の荒磯の上に、浜菜つむ海部処女アマヲトメ等が、纓有領巾文光蟹ウナゲルヒレモテルカニ、手にける玉もゆらゝに、白栲の袖ふる見えつ。
副詞表情の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
おほみやのちひさことねり。玉ならば、昼は手にすゑ、夜はきねむ(神楽歌譜)
鶴見が離れようとすればするほどまとわりついてくる女の執拗さにあきれて、女のこびには応諾おうだくも与えずに、押黙って本を見ていた。
と云う壮い木客の声がきこえて来た。すると前方の声はそれにまとわりつくように、
死んでいた狒狒 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
垢染みて膩光あぶらびかりのする綿の喰出はみだした褞袍どてらくるまつてゴロリと肱枕をしつゝ
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
一体合乗俥というはその頃の川柳や都々逸どどいつの無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ粘着くっつき合って一つ膝掛にくるまった容子は余り見っともイイものではなかった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
第一、女たちの生活は、起居タチヰふるまひなり、服装なりは、優雅に優雅にと変つては行つたが、やはり昔の農家の家内ヤウチの匂ひがつきマトうて離れなかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
壁代カベシロの様に縦横に裁ちついで、其まゝ身にマトふやうになさる外はおざらぬ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
松は水の上まで枝垂しだれた枝を、鉄網のようにからめ合せて、林の奥の神秘な世界を、執念しゅうね人目ひとめから隠していた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夫は家から持ってきた外套を彼女の背中にかけてやった。それが夜会の服装と相対して如何にも見窄しくみえたのである。彼女は温かい毛皮の外套に身をつつんだ婦人に見られるのを嫌うて、それを着なかった。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
けれども、天狗のお囃子はやしは夜着の襟から潜り込んで来て、耳元にへばり付いて離れない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
所へある気のいた男が出て来て、煤煙の全部を出版しやうとすればこそ災を招く恐れがあるので、そのうちの安全な部分だけを切り離して小冊子にまとめたらどんなものだらうといふ新案を提出した。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
男親まとゐのやうに遊ばせる同
大正東京錦絵 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
(事実海驢はそういう生理の動物かどうか知らなかったけれど)室子は、シュミーズを脱いで、それで身体を拭い捨て、頭を振って、髪のもつれを振り放ちながら、今朝の空腹の原因を突き止めた。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
火消しのまといばかりを知つた人は、とかくマトヒの字を書くものと信じて居られようが、既に「三才図会」あたりにも、※幟・纏幟・円居などゝ宛てゝ、正字を知らずと言うてゐる。
まといの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
明りに照し出されるほど、マトマつたウツをも、持たぬの人であつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)