まつは)” の例文
「どうしたんでえ、よきは」おつぎはるとはりむかふきしからひく川楊かはやなぎえだまつはつていとはしみづについて下流かりういてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我はこれを聞きつゝも、むかしの羈靮きづなの再び我身にまつはるゝを覺えて、只だ恩人に見放されたる不幸なる身の上をかこちぬ。公子は我を慰めがほに、又詞を繼いで云ふやう。
松の小枝から梢へそれから更に隣りの桜の木へまでもまつはりついた藤蔓は引つぱられて、ただ松の枝と桜の枝とをたわめて強く揺ぶらせ、それ等の葉をぎ取らせて地の上に降らせ
男をんなの夏の中夜の秘戯たはむれをかういふ昼の悩ましさにかろく描きつづけてゐた歌麿の気持、まだ暮れもやらぬ昼の舞台に黄色いラムプをともす若い女形をやまの心持、白芥子の花にまつはる昼の幽霊
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
世間の罪悪が此頃では愈々いよ/\深くかれの体にまつはり着いて来た。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
それでもたけのこかはたけみきまつはつてはよこたはつてるやうに、與吉よきちがおつぎをなつかしがることにかはりはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞあきそらは六かしさうひくつてぼうのやうなくもけぶりやうくもがぽつり/\とまつはつてつゞいて二三にちひるからよるけてぼか/\とあたゝかいからかぜおもいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)