ハンス・クリスチャン・アンデルセン
1805.04.02 〜 1875.08.04
赤いくつ(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきま …
アヒルの庭で(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
ポルトガルから、一羽のアヒルがやってきました。もっとも、スペインからきたんだ、という人もありましたがね。でも、そんなことは、どっちでもいいのです。ともかく、そのアヒルは、ポルトガル …
アンネ・リスベット(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
アンネ・リスベットは、まるで、ミルクと血のようです。若くて、元気で、美しい娘です。歯はまっ白に、ピカピカ光り、目はすみきっています。足は、ダンスをしているように、軽々としています。 …
イーダちゃんのお花(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
「あたしのお花がね、かわいそうに、すっかりしぼんでしまったのよ」と、イーダちゃんが言いました。「ゆうべは、とってもきれいだったのに、今は、どの花びらも、みんなしおれているの。どうし …
いいなずけ(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
こまとまりが、ほかのおもちゃのあいだにまじって、同じ引出しの中にはいっていました。あるとき、こまが、まりにむかって言いました。 「ねえ、おんなじ引出しの中にいるんだから、ぼくのいい …
家じゅうの人たちの言ったこと(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
家じゅうの人たちは、なんと言ったでしょうか?まずさいしょに、マリーちゃんの言ったことを聞きましょう。 その日は、マリーちゃんのお誕生日でした。マリーちゃんにとっては、いちばん楽しい …
いたずらっ子(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
むかしむかし、ひとりのおじいさんの詩人がいました。とてもやさしいおじいさんの詩人でした。 ある晩、おじいさんが、家の中にすわっていたときのことでした。表は、すさまじいあらしになりま …
絵のない絵本:01 絵のない絵本(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間25分
ふしぎなことです!わたしは、なにかに深く心を動かされているときには、まるで両手と舌とが、わたしのからだにしばりつけられているような気持になるのです。そしてそういうときには、心の中に …
お墓の中の坊や(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
家の中は、ふかい悲しみで、いっぱいでした。心の中も、悲しみで、いっぱいでした。四つになる、いちばん下の男の子が、死んだのです。この子は、ひとり息子でした。おとうさんと、おかあさんに …
影(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
あつい国ぐにでは、お日さまが、やきつくように強く照りつけます。そこではたれでも、マホガニ色に、赤黒くやけます。どうして、そのなかでも、ごくあつい国では、ほんものの黒んぼ色にやけてし …
かけっこ(新字新仮名)
読書目安時間:約8分
ごほうびの賞が、一つ出ました。いいえ、ほんとうは二つです。小さい賞と大きい賞の二つです。いちばん早いものが、この賞をもらえます。といっても、それは一回きりの競走で、早かったものがも …
カラー(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
あるところに、ひとりのりっぱな紳士がいました。この紳士は靴ぬぎと、それにくしを一つ、持っていました。これが、この人の持物のぜんぶだったのです。そのかわり、この紳士は、世界でいちばん …
コウノトリ(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
ある小さな村の、いちばんはずれの家に、コウノトリの巣がありました。コウノトリのおかあさんは、巣の中で、四羽の小さなひな鳥たちのそばにすわっていました。ひな鳥たちは、小さな黒いくちば …
幸福な一家(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
この国でいちばん大きな青い葉といえば、それは、スカンポの葉にちがいありません。その葉を取って、子供がおなかの上につければ、ちょうど前掛けのようになります。それから、頭の上にのせると …
幸福のうわおいぐつ(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間4分
一お話のはじまり コペンハーゲンで、そこの東通の、王立新市場からとおくない一軒の家は、たいそうおおぜいのお客でにぎわっていました。人と人とのおつきあいでは、ときおりこちらからお客を …
小夜啼鳥(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
みなさん、よくごぞんじのように、シナでは、皇帝はシナ人で、またそのおそばづかえのひとたちも、シナ人です。 さて、このお話は、だいぶ昔のことなのですがそれだけに、たれもわすれてしまわ …
しっかり者のすずの兵隊(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
あるとき、二十五人すずの兵隊がありました。二十五人そろってきょうだいでした。なぜならみんなおなじ一本の古いすずのさじからうまれたからです。みんな銃剣をかついで、まっすぐにまえをにら …
すずの兵隊さん(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
あるところに、二十五人のすずの兵隊さんがいました。この兵隊さんたちは、みんな兄弟でした。なぜって、みんなは、一本の古いすずのさじをとかして作られていましたから。 どの兵隊さんも、鉄 …
即興詩人(旧字旧仮名)
読書目安時間:約8時間41分
初版例言 一、即興詩人は璉馬の HANS CHRISTIAN ANDERSEN(1805—1875)の作にして、原本の初板は千八百三十四年に世に公にせられぬ。 二、此譯は明治二十五 …
空とぶトランク(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
むかしむかし、あるところに、ひとりの商人がいました。この人は、たいへんなお金持で、町の大通りをすっかりと、そのうえ小さな横町までも、銀貨でぎっしりと、しきつめることができるくらい、 …
旅なかま(新字新仮名)
読書目安時間:約48分
かわいそうなヨハンネスは、おとうさんがひどくわずらって、きょうあすも知れないほどでしたから、もうかなしみのなかにしずみきっていました。せまいへやのなかには、ふたりのほかに人もいませ …
旅の仲間(新字新仮名)
読書目安時間:約50分
かわいそうに、ヨハンネスは、たいそう悲しんでいました。むりもありません。おとうさんが重い病気で、もう、たすかるのぞみがなかったのですからね。この小さな部屋には、ヨハンネスとおとうさ …
年とったカシワの木のさいごの夢(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
(クリスマスのお話) ひろいひろい海にむかった、きゅうな海岸の上に、森があります。その森の中に、それはそれは年とった、一本のカシワの木が立っていました。年は、ちょうど、三百六十五に …
とびくらべ(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
あるとき、ノミと、バッタと、とび人形が、われわれの中で、だれがいちばん高くとべるか、ひとつ、ためしてみようじゃないか、と言いました。そこで、さっそく、世界じゅうの人々に招待状を出し …
ナイチンゲール(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
中国という国では、みなさんもごぞんじのことと思いますが、皇帝は中国人です。それから、おそばにつかえている人たちも、みんな中国人です。さて、これからするお話は、もう今からずっとむかし …
人形つかい(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
いかにも楽しそうな顔つきをした、かなりの年の人が、汽船に乗っていました。もし、ほんとうにその顔つきどおりとすれば、この人は、この世の中で、いちばんしあわせな人にちがいありません。じ …
人魚のひいさま(新字新仮名)
読書目安時間:約59分
はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、 …
人魚の姫(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間1分
海のおきへ、遠く遠く出ていきますと、水の色は、いちばん美しいヤグルマソウの花びらのようにまっさおになり、きれいにすきとおったガラスのように、すみきっています。けれども、そのあたりは …
眠りの精(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
世界じゅうで、眠りの精のオーレ・ルゲイエぐらい、お話をたくさん知っている人はありません!——オーレ・ルゲイエは、ほんとうに、いくらでもお話ができるのですからね。 夜になって、子供た …
野のはくちょう(新字新仮名)
読書目安時間:約41分
ここからは、はるかな国、冬がくるとつばめがとんで行くとおい国に、ひとりの王さまがありました。王さまには十一人のむすこと、エリーザというむすめがありました。十一人の男のきょうだいたち …
のろまのハンス:――むかしばなしの再話――(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
あるいなかに、古いお屋敷がありました。そのお屋敷には、年をとった地主が住んでいました。地主にはふたりの息子がありましたが、ふたりとも、ものすごくおりこうで、その半分でもたくさんなく …
はだかの王さま:(皇帝のあたらしい着物)(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
いまからずっとずっとむかしのこと、ひとりの皇帝がいました。皇帝は、あたらしい、きれいな着物がなによりも好きでした。持っているお金をのこらず着物に使って、いつもいつも、きれいに着かざ …
ひこうかばん(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
むかし、あるとき、お金持のあきんどがありました。どのくらいお金持だといって、それは町の大通のこらず銀貨で道をこしらえて、そのうえ横町の小路にまでそれをしきつめて、それでもまだあまる …
ブタ飼い(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
むかしむかし、ひとりの貧しい王子がいました。王子は一つの国をもっていましたが、それはとても小さな国でした。でも、いくら小さいとはいっても、お妃をむかえるのに、ふそくなほどではありま …
ペンとインキつぼ(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
ある、詩人の部屋の中でのお話です。だれかが、詩人の机の上にあるインキつぼを見て、こう言いました。 「こんなインキつぼの中から、ありとあらゆるものが生れてくるんだから、まったくもって …
ほんとにそのとおり!(新字新仮名)
読書目安時間:約6分
「おそろしい話なのよ!」と、一羽のメンドリが言いました。 そこは、町のはずれで、このお話のできごとのあったところとは、なんの関係もない場所でした。 「むこうの、トリ小屋で起った、お …
マッチ売りの少女(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
それはそれは寒い日でした。雪が降っていて、あたりはもう、暗くなりかけていました。その日は、一年のうちでいちばんおしまいの、おおみそかの晩でした。この寒くて、うす暗い夕ぐれの通りを、 …
醜い家鴨の子(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
それは田舎の夏のいいお天気の日の事でした。もう黄金色になった小麦や、まだ青い燕麦や、牧場に積み上げられた乾草堆など、みんなきれいな眺めに見える日でした。こうのとりは長い赤い脚で歩き …
みにくいアヒルの子(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
いなかは、ほんとうにすてきでした。夏のことです。コムギは黄色くみのっていますし、カラスムギは青々とのびて、緑の草地には、ほし草が高くつみ上げられていました。そこを、コウノトリが、長 …
もみの木(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
まちそとの森に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。そのもみの木は、いいところにはえていて、日あたりはよく、風とおしも十分で、ちかくには、おなかまの大きなもみの木や …
モミの木(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
町はずれの森の中に、かわいいモミの木が一本、立っていました。そこはとてもすてきな場所で、お日さまもよくあたり、空気もじゅうぶんにありました。まわりには、もっと大きな仲間の、モミの木 …
雪だるま(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
「ぼくのからだの中で、ミシミシ音がするぞ。まったく、すばらしく寒いや!」と、雪だるまが言いました。「風がピューピュー吹きつけて、まるで命を吹きこんでくれようとしているようだ。だが、 …
雪の女王:――七つのお話からできている物語――(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間20分
鏡と、鏡のかけらのこと さあ、いいですか、お話をはじめますよ。このお話をおしまいまで聞けば、わたしたちは、いまよりも、もっといろいろなことを知ることになります。それは、こういうわけ …
雪の女王:七つのお話でできているおとぎ物語(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間19分
第一のお話 鏡とそのかけらのこと さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい魔法使のお話であったこ …
わるい王さま(伝説)(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
むかしむかし、心の高ぶった、わるい王さまがいました。この王さまは、わしの力で、世界じゅうの国々をせいふくしてやろう、わしの名前を聞いただけで、あらゆる人間をふるえあがらせてやりたい …