“帽子”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼうし66.0%
ばうし18.2%
シャッポ3.1%
しやつぽ2.5%
シヤツポ1.3%
ミュッツェ0.6%
あたま0.6%
かむり0.6%
しゃっぽ0.6%
ぼう0.6%
もうす0.6%
キーチカ0.6%
シルクハツト0.6%
ソフト0.6%
ハット0.6%
フード0.6%
ボンネット0.6%
マオツ0.6%
モウス0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
片手かたてにブリキかんをぶらさげて、片手かたてにはさおをち、いつも帽子ぼうし目深まぶかにかぶって、よくこの洋服屋ようふくやまえとおったのでありました。
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
といつて、なみだだかあせだか、帽子ばうしつてかほをふいた。あたまさらがはげてゐる。……おもはずわたしかほると、同伴つれ苦笑にがわらひをしたのである。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつかも銭湯で帽子シャッポをかぶり、股引をはいたまま、あわや湯槽ゆぶねへ入ろうとして評判になったし、裸で涼んでいてフイと用事を思い出し
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
危くないと見極めて戻つて居た、ひつくりかへり帽子しやつぽの先生は、口の角を引下げて、頭を掉ると、一同が同じ様に頭を掉りました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
それからそれを受取つて冠つたのも知つてますものな。——ところがさ、うちへ帰ると突然いきなり老妻ばばあの奴が、「まあ、そんなに酔つ払つて、……帽子シヤツポは何うしたのです?」
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
履きかえの靴下シュポルトシュトルムフが二足、地図二部、登山案内二冊、絵はがき形の写真機にフィルムが十六本、帽子ミュッツェ雪除眼鏡グレッチェルグラース、石鹸、歯磨なんて雑物は数えないでも、大形のリュックサックは一杯に膨らんで
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
帽子あたまも靴も艶々てらてらと光る、三十ばかりの、しかるべき会社か銀行で当時若手のけものといった風采ふう
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
帽子かむりは古び 粗衣は裂け
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
珊瑚の六分半もある緒締おじめで、表付ののめりの駒下駄、海虎らっこの耳付の帽子しゃっぽが其の頃流行ったものゆえ、これをかぶり上野の広小路を通り掛ると、大茂だいもうちから出て来ましたのは
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主税は四辺あたりを見たのであろう、やみの青葉に帽子ぼうが動いた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芋の葉の形をした錦の帽子もうすを冠った僧正が列の中に出て来て、紙の蓮華れんげを足場の上から右へ左へときます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女は紅木綿の服を着て、南京玉で飾り立てた冠のように高い帽子キーチカをかぶり、足には長靴をはいて、くるみをかりかりいわせながら笑っている。まわりの群衆も同じように笑っていた。
外套室クロークルームに外套と帽子シルクハツトを預けて番号札を受取り、右折すれば電灯の光まばゆ大玄関おほげんくわんなり。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
時めく婿は、帽子ソフトを手にして
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「憎らしい。」と顔を赤めて、ね飛ばして、帽子ハットを取って、袖で、ばたばたとほこりを払った。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
外衣には厚く綿が入れてあり、袖は手が完全にかくれる位長く、支那の衣服に似ている。婦人達は長さ一ヤード四分一の布の一片でつくった、非常に似合う帽子フードをかぶる。
その布片は頸のまわりに、ゆるく巻きつけ、堅く結んであった。このモスリンの布片と、あのレースの布片とに、帽子ボンネットの紐が結びつけてあり、それに帽子もついていた。
湯崗子たうこうしむる竝木のあひにして帽子マオツの赤きつまみが行くなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すなわち宋音の語において「知客シカ」の「知」また「帽子モウス」の「子」のごとき
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)