“冠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かぶ57.7%
かんむり20.1%
かむ8.8%
かむり4.9%
かん2.6%
かぶり1.5%
1.0%
0.3%
かうむ0.3%
くわん0.3%
とさか0.3%
かがふり0.2%
かうぶり0.2%
かず0.2%
かづ0.2%
かふ0.2%
かぶっ0.2%
かむっ0.2%
かむら0.2%
くわんむり0.2%
こうむ0.2%
0.2%
ぼうし0.2%
まさ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なくてはならざる匂袋、これを忘れてなるものか。頭巾づきんかぶつて肩掛を懸ける、雨の降る日は道行合羽みちゆきがつぱじやの目のからかさをさすなるべし。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
若者はそのみごとな仙術せんじゅつにみとれてしばらく呆然ぼうぜんとたたずんでいたが、やがてかんむりのひもをむすびなおすと、いそいそと帰っていった。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かはつてかへつてたのはくま膏薬かうやく伝次郎でんじらう、やちぐさんだかさかむたぬき毛皮けがはそでなしをて、糧切まぎりふぢづるでさや出来できてゐる。
美貌の源氏が紫を染め出したころの白菊をかむりして、今日は試楽の日にえて細かな手までもおろそかにしない舞振りを見せた。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蜀山人しょくさんじんの狂歌におけるや全く古今にかんたり。しかしてその始めて狂歌を吟ぜしはおもふに明和めいわ三、四年のこう年二十歳のころなるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
熊野詣くまのもうでには、なぎの木を折って、髪やかぶりにかざして帰る風俗があるから、ここでも杉の葉をそうするような風習があったのだろうか。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その洋服の男の前のテーブルにも街路とおりの方を背にして、鳥打帽を筒袖つつそでの店員のようなわかい男がナイフとホークを動かしていた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その上においぶさっている、山の頂は濃厚な水蒸気の群れから、二、三尺も離れて、その間に冴えた空が、澄んだ水でも湛えたように、冷たい藍色をしている、そこから秋の風が
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
答へて曰ひけるは、われこゝにくだりてほどなきに、ひとりの權能ちからあるもの勝利かち休徴しるしかうむりて來るを見たり 五二—五四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しうと微笑ほゝゑみて、とききて跪坐ついゐたるをんなかへりみてふ、おまへをしへておげと。よめ櫛卷くしまきにして端坐たんざして、すなは攻守こうしゆ奪救だつきう防殺ばうさつはふしめす。積薪せきしんならて、あめしたくわんたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて鶏はくびを伸ばして虫をつッつこうとして、虫の方を見た。虫は飛んでとさかの上にとまった。鶏はそれを振り落そうとしたが落ちなかった。成はますます驚喜して、って篭の中へ入れた。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
玉をめたるかがふりに、かいなの輪をさへ
の葉を折りて、そつかうぶり
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雪をかずいた石燈籠の笠に、うっすり付いていた足跡にって犯人の素性を知ったのであった。だがうもこの発見、少々眉唾物である。ひどくバタの匂いがする。西洋流の探索である。
半七雑感 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はらさんと夫より播州さしてぞいそぎける所々方々と尋ぬれど行衞ゆくゑは更にしれざりしが或日途中とちうにて兵助に出會であひしも六郎右衞門は天蓋てんがいかふりし故兵助は夫ともしら行過ゆきすぎんとせしに一陣のかぜふき來り天蓋を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一体村田は長州に行て如何いかにも怖いと云うことを知て、そうして攘夷の仮面めんかぶっわざとりきんで居るのだろうか、本心からあんな馬鹿を気遣きづかいはあるまい、どうもあれの気が知れない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
兼てその様子をしって居るから、緒方の書生が、気味の悪い話サ、大小をして宗十郎頭巾そうじゅうろうずきんかむって、その役人の真似をして度々たびたびいって、首尾く芝居見物して居た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
キリストと共にいばらかんむりかむらしめられて信者は彼と共に義の冕を戴くの特権に与かるのである。
飾るや、いつの花のくわんむり
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
私は観音のためには、生まれて以来今日きょうまでいろいろの意味においてそのおたすけをこうむっているのであるがこの観音様はあぶないところをわたくしがお扶けしたのだ。
例の如く江戸時代の渋味を大切に、皺の間に保存しておくような顔でばつの足には大きな繻子しゅすの袋をせて、外見を防いでいる。見るから感じのおだやかなお婆さんである。三味線は清子である。
美音会 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
そして村から一里あまり離れた所へいったところで、老婆が一人の女をれていくのに逢った。それは喪中であろう、ぼうしから衣服まで皆白いものを着ていた。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
日浮びてひかりを重ね、雲散りてかすまず。えだを連ね穗をはすしるしふみひとしるすことを絶たず、とぶひを列ね、をさを重ぬるみつきみくらに空しき月無し。名は文命よりも高く、徳は天乙にまされりと謂ひつべし。