“顧”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かえり36.6%
かへり21.7%
かえりみ14.2%
かえ10.6%
5.1%
かへりみ3.8%
おも1.3%
みかえ1.1%
1.1%
かへ0.9%
ふりかえ0.9%
カヘ0.7%
おもへらく0.4%
むか0.4%
カエリ0.4%
ふりかへ0.2%
0.2%
やと0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
でも、良吉が傍で洗濯物や乾魚を小さい行李こうりに収めて明日の出立の用意をしかけると、辰男も書物をいてしばしばその方をかえりみた。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
平次は番頭の仲左衞門をかへりみました。ドカドカと店に出た家中の顏の中に、それは一番分別臭く尤もらしく平次の眼に映つたのです。
しずかに過去をかえりみるに、わたくしは独身の生活を悲しんでいなかった。それと共に男女同棲の生活をも決して嫌っていたのではない。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
丁度その途端、信一郎の肩を軽く軟打パットするものがあった。彼はおどろいて、振りかえった。そこに微笑する美しき瑠璃子夫人の顔があった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
驛を離れて峠に懸るに、杉樹さんじゆ次第に路傍に深く、一歩は一歩より前なる高原の風景を失ひ、峠に達すれば、山樹空濛くうもうとして、四只雲烟。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
平次が妾のお源の神妙らしく取繕とりつくろつた顏をかへりみると、お源は少しあわてて、大きくうなづきました。平次の推理には一點の隙もありません。
おもふに生や師恩に私淑し、負ふところのものはなはだ多し。しかるに軽挙暴動、みだりに薫陶の深きにむく。その罪実に軽しとせず。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「どうも文字もじのようですな。」と、巡査がみかえると、忠一は黙って首肯うなずいたが、やが衣兜かくしから手帳を把出とりだして、一々これを写し始めた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お勢もまた後方うしろを振反ッては顧たが、「誰かと思ッたら」ト云わぬばかりの索然とした情味の無い面相かおつきをして、急にまた彼方あちらを向いてしまッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
長い一生をかへつてみても、何一つ碌な事は仕出来しでかしてゐないので、この頃ではひとと話す時には、いつもパアシング将軍の舅を自慢する事に決めてゐる。
しりえふりかえりて見れば、真白なる猟犬かりいぬの、われを噛まんと身構みがまえたるに、黄金丸も少し焦燥いらつて
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
峠などからふりカヘると、必、うしろの枯れ芝山に、ひなたと陰とをくつきり照しわける、早春の日があたつて居た。
山のことぶれ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
目送みおくりおもへらく、越後には美人びじん多しと人の口実くちにいふもうべなり、是無他ほかでなし、水によるゆゑなり。
(下に図するこれなり)きざみたる人のかしらを左りにむかせ、そのしもに五字をほりつけしは、是より左り蛾眉山下橋がびさんかのはしなりと人にをしゆる標準みちしるべなりとかたられき。是にて義理ぎり渙然くわんぜんたり。
昂然コウゼントシテ左右ヲカエリミ、松紋ショウモン廂宝ソウホウノ剣ヲ手ニカケテウ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勘次かんじふりかへつたときかれ打棄うつちやつたふねしづんだきりへだてられてえなかつた。かれ蜀黍もろこしからうて足趾あしあとしたがつてはるか土手どて往來わうらいた。きりが一ぺんれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
新吉はばつが悪そうに振りいて、淋しい顔にみを浮べた。「笑談じょうだんじゃねえ。明日から頭数が一人殖えるんだ。うっかりしちゃいらんねえ。」と低声こごえで言った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
一人やとったよ。四時にはくるといったから、もうすぐにやってくるだろう。とにかく探偵の意見も訊いてから、どうにかしようと思っている
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)