“み”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ミ
語句割合
見21.6%
身12.2%
視8.6%
実6.9%
充6.3%
観6.1%
診4.5%
三4.4%
看4.0%
巳1.9%
皆1.7%
果1.7%
魅1.5%
實1.4%
箕1.3%
満1.3%
味1.2%
盈1.1%
睹0.9%
瞰0.8%
儂0.7%
水0.6%
御0.6%
觀0.6%
滿0.5%
躬0.5%
覧0.5%
瞻0.5%
肉0.4%
覩0.3%
鑑0.3%
位0.3%
子0.3%
試0.3%
美0.2%
示0.2%
躯0.2%
占0.2%
検0.2%
顧0.1%
海0.1%
刀0.1%
見物0.1%
神0.1%
鑒0.1%
乱0.1%
填0.1%
弥0.1%
眙0.1%
覗0.1%
診察0.1%
認0.1%
果実0.1%
窺0.1%
顆0.1%
体0.1%
刀身0.1%
察0.1%
未0.1%
睜0.1%
賭0.1%
閲0.1%
眺0.0%
種子0.0%
亂0.0%
凝視0.0%
目0.0%
私0.0%
𢌞0.0%
べ0.0%
む0.0%
る0.0%
ト0.0%
世話0.0%
傍観0.0%
僉0.0%
光0.0%
凝0.0%
卜0.0%
収0.0%
向0.0%
咸0.0%
展0.0%
微0.0%
惨0.0%
憑0.0%
来0.0%
果實0.0%
核0.0%
注視0.0%
深0.0%
湖0.0%
漿果0.0%
理0.0%
生身0.0%
監0.0%
相0.0%
盻0.0%
眂0.0%
眄0.0%
眉0.0%
瞠0.0%
瞥0.0%
短0.0%
簸0.0%
縁0.0%
耳0.0%
肉身0.0%
自0.0%
莢0.0%
菓0.0%
親0.0%
覲0.0%
覽0.0%
覿0.0%
醜0.0%
鑑定0.0%
験0.0%
體0.0%
黒肉0.0%
𥳽0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
手(て)を見(み)ると竦(ぞつ)とする。鱗(こけ)のある鉛色(なまりいろ)の生物(いきもの)のやうに、眼(め)の前(まへ)にそれが動(うご)いてゐる。噫(あゝ)、切(き)つて了(しま)ひたい。此手(このて)の触(さは)つた所(ところ)も忌(いま)はしい。
此(こ)の一歩(ぶ)に身(み)のかはを剥(は)がれたために可惜(をし)や、お春(はる)と云(い)ふ其(そ)の娘(むすめ)は繼母(まゝはゝ)のために手酷(てひど)き折檻(せつかん)を受(う)けて、身投(みな)げをしたが、其(それ)も後(のち)の事(こと)。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
はて、不思議だと思いながら、抜足(ぬきあし)をして窃(そっ)と尾(つ)けて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。熟(よく)視(み)ると、其奴(そいつ)が赤児を抱えていたのだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
木戸ごしにヒマワリの実(み)の殻(から)を、通りすがりの若い衆めがけてぶつけもする。そんな育ちの彼女にとって、ここは全く別世界だった。
江戸の噂の種を掻き集めて歩く八五郎は、生れながらの新聞記者で、好意と惡戯(いたづら)つ氣と、好奇心と洒落つ氣に充(み)ち溢れてをりました。
また大きな細長い魚や大烏賊を誤り観(み)たか、過去世に盛えた大爬虫プレシオサウルスの残党が今も遠洋に潜み居るだろうと論じ居る。
注射が利(き)くならさせて見たらと云ったことがあり、幸子も誰か専門の人に診(み)せて見ましょうと、いつもそう云ってはいたのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
また或る人たちが下司な河岸(かし)遊びをしたり、或る人が三(み)ツ蒲団(ぶとん)の上で新聞小説を書いて得意になって相方(あいかた)の女に読んで聞かせたり
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
けれど、読者の心々に、これを人間清盛伝の一部と看(み)られるもよし、一連の障壁画を眺めるがように読むのも一つの読み方であろう。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はや巳(み)の刻に及び候。茶臼山の敵陣次第にかさみ見えて候。速かに戦いを取り結びて然るべし、と大御所に伝えよ」と怒鳴った。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
参集の時刻は午後一時、来会者は皆(み)な約束を重んじて一人も遅刻せるものなし。妻や娘を伴(ともな)える老人連は多く家庭教育会の会員なり。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
また或は我邦にては果(み)を得んとのみ願ひて枝を撓(た)め幹を矮くするため、我も人もまことの梨の樹のふり花のおもむきをも知ること少く
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
見ると、大かた攫われたのでしょうね。玉ちゃんは色の白い、女の子のような綺麗な子ですから、悪い奴に魅(み)こまれたのかも知れません
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
昔はかの僧院、これらの天のため、實(み)をさはに結びしに、今はいと空しくなりぬ、かゝればその状(さま)必ず直に顯(あら)はれん 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
国大夫人蜜を米に塗り金盤に盛り自ら擎げ持ちて食わせ、第一の大臣は一番貧乏鬮(くじ)で親ら金の箕(み)を執りて智馬の糞を受けるのだ。
けれど、そのときの自然(しぜん)と、いまの自然(しぜん)とどこにちがいがあろう。そう思(おも)ってふり向(む)くと、花壇(かだん)には平和(へいわ)な日(ひ)の光(ひかり)が満(み)ちていました。
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
柳と同じ和(やはら)か味(み)を持つた、夜目には見分(わ)きの附かない大木が岸の並木になつて居る。あちこちに捨石(すていし)がいくつも置かれてあつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
馬鹿になってしまったのではないかと疑われるくらい——正月でもあるせいもあろうが——夜毎(よごと)に賑(にぎや)かな笑い声に盈(み)ちているのだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
而(しか)るに形躯(けいく)を変幻(へんげん)し、草(そう)に依附(いふ)し、天(てん)陰(くも)り雨湿(うるお)うの夜(よ)、月落ち参(しん)横たわるの晨(あした)、梁(うつばり)に嘯(うそぶ)いて声あり。其の室(しつ)を窺(うかが)えども睹(み)ることなし。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一と所脚の下に川を瞰(み)る場所があって矢張(やは)り木曾川と思っていたら、それは王滝川で、いつの間にか右へ廻り込んでいたのでした。
木曾御岳の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「そちがおればこそ儂(み)も枕を高くして、安臥(やすう)しておられるのだ。決して、寝所の帳か番犬のように、忘れ果てていたわけじゃない」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
静かな暗(やみ)にゆらりゆらりと揺れて、夕靄の立ち籠むる湖面の彼方、家々の窓にともる赤い灯影(ほかげ)、アンジアン娯楽場(カジノ)の不夜城はキラキラと美しく水(み)の面(も)に映っている。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
「主よ、主が吾が一家の上に垂れ給うた御(み)恵みを感謝いたします。ここに列(つらな)りました家族の中に一人(にん)の御(み)心に叶はざるものがありますけれど……」
古語(こご)に謂(いふ)有(あり)其以てする所を觀(み)其由(そのしたが)ふ所を觀(み)其安んずる所を察す人焉(いづく)んぞ庾(かくさ)ん哉人焉(いづく)んぞ庾(かくさ)ん哉爰に僞(いつは)り飾(かざ)る者有り然れ共其者の眸瞳(ひとみ)の動靜(どうせい)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
暫(しばら)くして青(あを)い煙(けむり)の滿(み)ちた家(いへ)の内(うち)には心(しん)も切(き)らぬランプが釣(つ)るされて、板(いた)の間(ま)には一同(どう)ぞろつと胡坐(あぐら)を掻(か)いて丸(まる)い坐(ざ)が形(かたち)づくられた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「百行依ルトコロ孝ト忠、之(これ)ヲ取ツテ失フ無キハ果シテ英雄、英雄ハタトヘ吾曹(わがそう)ノ事ニアラズトスルモ、豈(あに)赤心ヲ抱イテ此ノ躬(み)ヲ願ハンヤ——」
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さて子舎へ這入ッてからお勢は手疾(てばや)く寐衣(ねまき)に着替えて床へ這入り、暫らくの間臥(ね)ながら今日の新聞を覧(み)ていたが……フト新聞を取落した。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
市長は時として我臥床(ふしど)の傍に坐して、われに心を安んじて全快を待たんことを勸め、ロオザの遠からず來りて病を瞻(み)るべきを告げたり。
「なァに食べられないことは無いよ。肉(み)が少し柔いが……。」と、之を外し与ふれば、小児は裾に包み、一走(ひたはし)りに走り去れり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
採鉱溶鉱より運搬に至るまでの光景仔細(しさい)に写し出(いだ)して目覩(み)るがごとし。ただに題目の新奇なるのみならず、その叙述の巧(たくみ)なる、実に『万葉』以後の手際なり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
高が竹田や山陽程度のものでさえ鑑(み)えない者たちである。貫名、山陽の程度に於て、即座に真偽鑑定に責任を持ち太鼓判を押せる鑑賞画家というのはまずない。
愛陶語録 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そして最後に宇治の螢を引張り出して、「那処(あそこ)の螢は大きいね。さやうさ、雀よりももつと大きかつたかな。何しろ源(げん)三位(み)頼政の亡魂だといふんだからな。」
梅が子(み)を結ぶ毎に、少年等はこれを摘み取り、相擲(あひなげう)つて戯(たはむれ)とした。当時未だ曾て梅子(ばいし)の黄なるを見るに及ばなかつたのである。既にして榛軒が歿し、弟子が散じた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
が、何人(なんぴと)の考えも同じことで、巡査も先(ま)ず此(こ)の毛綱(けづな)に縋(すが)って、行かれる所まで行って試(み)ようと思い付いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
左樣(さやう)ならとて頭(かしら)を下(さげ)げるに、あれ美(み)いちやんの現金(げんきん)な、最(も)うお送(おく)りは入(い)りませぬとかえ、そんなら私(わたし)は京町(きやうまち)で買物(かいもの)しましよ、とちよこ/\走(ばし)りに長屋(ながや)の細道(ほそみち)へ驅(か)け込(こ)むに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「これがいい。朝の急行が……。」などと、浅井はそこのところを指して、茶をいれているお今に示(み)せた。
爛 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しかも、こっちを、銑吉の方を向いて、髯(ひげ)をぴちぴちと動かす。一疋七八分にして、躯(み)は寸に足りない。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「先生、今日お閑(ひま)でしたら、神田まで附き合ってくれません? 私あすこで占(み)てもらいたいことがありますの。」
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼はその女と私とを突合わして、何らかの反応を検(み)ようというつもりであったらしい。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
守護(まもり)のように、ちゃんと斜めにかけているのを、旅客はまたこの時顧(み)たのである。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「磯の埼榜(こ)ぎたみゆけば近江(あふみ)の海(み)八十(やそ)の湊(みなと)に鶴(たづ)さはに鳴く」(巻三・二七三)、「吾が船は比良(ひら)の湊に榜ぎ泊(は)てむ沖へな放(さか)りさ夜(よ)ふけにけり」(同・二七四)がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
乱びん蒼白な面(おもて)をなし、抜き刀(み)をひッさげたその人影は九兵衛のすぐ目の前を抜けて、木賊谷(とくさだに)の方角へ風のごとく駆け過ぎてゆきました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は何處に家を持つて、お内儀さんも御健勝(おまめ)か、小兒(ちツさい)のも出來てか、今も私は折ふし小川町の勸工場見物(み)に行まする度々、舊のお店がそつくり其儘同じ烟草店の能登(のと)やといふに成つて居まするを
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
耳をかしているのかいないのか、その長いはなしの間を、光秀は拝殿の奥にゆらぐ神(み)あかしを見つめていた。そして黙然と起つともう階(きざはし)を降(くだ)っていた。すでに宵闇(よいやみ)がふかい。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又施済(ほどこし)は隠れて為すべきである、右の手の為すことを左の手に知らしむべからずである、然れば隠れたるに鑒(み)たまう神は天使と天の万軍との前に顕明(あらわ)に報い給うべしとのことである(同六章四節)
蛮夷、夏(か)を乱(み)だるは聖人の憂うるところなれども、その聖人国(せいじんこく)を蛮夷に奪われたるは今の大清(たいしん)なれども、大清の人民もまた聖人の書をもって教となすべし。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
陥人(かんじん)の坑(こう)、今より填(み)ち満ち、迷魂の陣、此(こ)れより打開す。双明(そうめい)の燈(ともしび)を焼毀(しょうき)し、九幽の獄に押赴(おうふ)す。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「南(な) 無(む) 阿(あ) 弥(み) 陀(だ) 仏(ぶつ)」
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
王従容(しょうよう)として去る。庸の諸将相(あい)顧(かえり)みて愕(おどろ)き眙(み)るも、天子の詔、朕をして叔父(しゅくふ)を殺すの名を負わしむる勿(なか)れの語あるを以て、矢を発(はな)つを敢(あえ)てせず。此(この)日(ひ)復(また)戦う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
黒吉は遙か下の舞台を覗(み)下すと、ピエロの仙次は、可笑(おか)しな身ぶりに、愛嬌をふり撒き、代って救助網を持った小屋掛人足が、意気な法被(はっぴ)を着て三人ばかり出て来るところだった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
医者が診察(み)に行きまして日中睡るかどうかということを尋ねる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
老母さんの四畳半の方に上っていった様子をチラリと認(み)たから、わざとその客を引き留めて雑談に時を過しながらヒステリーの女みたいに癇癪(かんしゃく)の強い新吉の気を抜いていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
『果実(み)を採(と)られる気持(きもち)も同(おな)じですか?』
機会(おり)を窺(み)ている二日目の朝、見知り越しの金貸が来てお政を連出して行く。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
よべの電燈(あかり)をそのまゝに、 ひさげのこりし桃の顆(み)の
文語詩稿 五十篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
一度、神仏の前に供えたのだ、と持つ手もわななく、体(み)を震わして喜ぶんだ、とかねて聞いておりましたものでございますから、その晩は、友達と銀座の松喜で牛肉をしたたか遣りました、その口で
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「女の肌のようにネットリとした刀身(み)だ。男の肌へ食い込ませてやろうぜ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
また以て彼が功夫(くふう)の存する所を察(み)るべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
日脚(ひあし)はもう未(み)の刻(こく)を過ぎていた。宗徒の手入にすこしの手落もないようにと、板倉伊賀守と共に鋭い眼を四方に配っている大久保忠隣の傍(かたわら)へ、役人に案内せられて貧相な一人の僧侶が来た。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
社会が目を睜(み)はる。我儘だと言ふ。そしてその形式で縛らうとする社会は人間をして深い自己を出させまい、出させまいとしてゐる。深い衣でそれを包まうとしてゐる。その衣は所謂社交である。
脱却の工夫 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
一歩農舎に入りて賭(み)るところは何ぞ、みなこれ病者、悉く熱に浮かされ、或いは高笑いし或いは壁に攀じ、農舎の中は悪臭鼻を衝き、水を与うる者なく、水を運ぶ者なく
妻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
八十一州の兵を閲(み)、君の大禄をいただきながら、荊州を攻め取るぐらいなこともできず、わらわの最愛な息女(むすめ)を囮(おとり)にして玄徳を誘(いざな)い、騙(だま)し討ちに殺して事を成そうとは……ええ、なんたる無能ぞ。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手振りして生活(たつき)の楽になりし云ふ老父(ちち)を金網(あみ)ごし眺(み)てはうれしき
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
いのち生くる独りの翳(かげ)り慕はしく日向に雑草(くさ)の萠ゆるを眺(み)たり
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
おつたは稍(やゝ)褐色(ちやいろ)に腿(さ)めた毛繻子(けじゆす)の洋傘(かうもり)を肩(かた)に打(ぶ)つ掛(か)けた儘(まゝ)其處(そこ)らに零(こぼ)れた蕎麥(そば)の種子(み)を蹂(ふ)まぬ樣(やう)に注意(ちうい)しつゝ勘次(かんじ)の横手(よこて)へ立(た)ち止(どま)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「俺(お)ら、はあ要(え)らねえともね」おつたは蕎麥(そば)の種子(み)の一杯(ぱい)に散(ち)らけた庭(には)を遠慮(ゑんりよ)もなく一直線(ちよくせん)に不駄(げた)の跡(あと)をつけた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
經文(きやうもん)の讀誦(どくじゆ)に抹香(まつかう)くさくなりて、娘(むすめ)らしき匂(にほ)ひは遠(とほ)かるべしと思(おも)ひしに、其(その)やうの氣(け)ぶりもなく、柳髮(りうはつ)いつも高島田(たかしまだ)に結(むす)ひ上(あ)げて、後(おく)れ毛(げ)一(ひ)と筋(すぢ)えりに亂(み)ださぬ嗜(たしな)みのよさ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一念(いちねん)此處(こヽ)に集(あつ)まりては今更(いまさら)に紛(まぎ)らはすべき手段(しゆだん)もなく、朝(あさ)も晝(ひる)も燭(しよく)をとりても、はては學校(がくかう)へ行(ゆ)きても書(しよ)を開(ひ)らきても、西行(さいぎやう)の歌(うた)と令孃(ひめ)の姿(すがた)と入(い)り亂(み)だれて眼(め)の前(まへ)を離(はな)れぬに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
空が 凝視(み)てゐる
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
空が 凝視(み)てゐる
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
此の間も吉村さまの仁介(ねすけ)もお羨(うらや)ましがっていましたが、私(わたくし)のような不行届(ほよきとゞき)の者を目(み)え懸けて下さり何ともはや恐入りやす
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
林「いえ、旦那様が目(み)え懸けて下せえますから、お互に思えば思わろゝで、そりゃア尊公(あんた)当然(あたりめえ)の事(こっ)て」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私(み)が言(い)うて聞(き)かす事(こと)を眞(まこと)とは思(おも)はぬ汝(こなた)に、言託(ことづ)けるのは無駄(むだ)ぢやらうが、ありやうは、右(みぎ)の魔(ま)ものは、さしあたり汝(こなた)の影(かげ)を、掴(つか)まうとするではない。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まざ/\と譫言(たはこと)吐(つ)く……私(われら)の婦(をんな)知(し)つたりや、と問(と)ひますと、其(それ)を知(し)らいで何(なに)をする……今日(けふ)も晩方(ばんがた)、私(み)が相長屋(あひながや)の女房(にようぼ)が見(み)て來(き)て話(はな)した。谷町(たにまち)の湯屋(ゆや)で逢(あ)うたげな。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かき𢌞(み)る 磯の埼おちず三八
うち𢌞(み)る三六 島三七の埼埼
わがやどの尾花押し靡(な)べ(み)置く露に手触れ吾妹子(わぎもこ)ちらまくも見む (巻十、秋雑)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
十とせの昔しなるべし 歌よむ(み)はじめし頃の詠草くりひらげミれば、かみの末に歌の數こまかにしたゝめて幾年幾月より幾月までの間など書たる、手ハなき父の物せられしなり
反古しらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこも父(とう)さんの好(す)きなところで、家(うち)の人(ひと)が手桶(てをけ)をかついで來(き)たり、水(みづ)を汲(く)んだりする側(そば)に立(た)つて、それを見る(み)のを樂(たのし)く思(おも)ひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何ぞの用で、小僧も使いに遣(や)られて、煎餅(せんべい)も貰(もら)えば、小母さんの易をト(み)る七星を刺繍(ししゅう)した黒い幕を張った部屋も知っている、その往戻(ゆきもど)りから、フトこのかくれた小路をも覚えたのであった。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そういう書信(たより)が、お前のところから来て以来、どんなに妾は、お前のおいでるのを待っていたことか。……安心おし、安心して何時までもここにお居で。この姉さんが世話(み)てあげます。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
折しも、湖岸(きしべ)に此珍事を傍観(み)て居た人があつて
鼻で鱒を釣つた話(実事) (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「おや可笑な子だねえ。この老爺(おぢ)さんは何(ど)うもしはしないよ。リツプ坊(ぼう)は善い子だ。静にお仕よ。」小児の名、その母の顔と声音(こわね)と、これ等は僉(み)なリツプ、フアン
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
姉(ね)えやん、光(み)っちゃん、お母(かあ)ん、はよおいでんか、あほめ、見えへんがな、すわらんか、などわいわいわめいている。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
鷲尾は倅の凹(へこ)んだたよりなげなウツロな眼や、でッかちになった頭などを、まるで夢心地でシゲシゲと凝(み)つめながらやっと抱えあげた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
『アアさようかな、それは心配なことで、ごもっともごもっとも、よく私が卜(み)て進ぜます』という調子でございました。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
後を追うて大阪に来た、探すのに苦労した、今はこの辺りの料亭にいる。誘惑が多いが、あんたに実をつくして、身固くしている。収(み)入りがかなりあるから、二人で暮せぬことはない。
俗臭 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
どつちかて云へば、あんたなんぞ、そん方が仕合せかも知れんとたあ。当分遊んどらるる金はあツとだるけん。そんうちい、よか運の向(み)いて来(く)ツたい。なあ、おつ母さん。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
一たび筆を揮(ふる)ふ時は千言立ちどころに就(な)ると云ふ。又書名あり。筆法遒勁(いうけい)、風韻蕭散と称せらる。その内外の二祖、咸(み)な当時の魁儒(くわいじゆ)たるに因(よ)り、希哲の文、典訓を貫綜(くわんそう)し、古今を茹涵(じよかん)す。
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
我は自らことわりて、誰かわが此墳墓を展(み)るを難ずることを得んと云ひぬ。
はして、苦桃太郎(にがもゝたらう)を七卷(なゝまき)に卷裹(まきくる)め、骨(ほね)も微(み)
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
当時の選科生というものは惨(み)じめなものであった、私は何だか人生の落伍者となったように感じた。学校を卒(お)えてからすぐ田舎の中学校に行った。
或教授の退職の辞 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
その陰にそっと身を潜めて、葛籠笠を傾け、道中合羽の袖を撥ねて、さっきから憑(み)されたように、この斬りあいに見入っている人物がある。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ああ、もっと早く来れば可(よ)うござんした。一所に行って欲しかったし、それに四五日お来(み)えなさらないから、滝ちゃんや透さんの顔も見たくって、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから朝日島(あさひじま)に漂着(へうちやく)して、椰子(やし)の果實(み)の美味(うま)かつた事(こと)。猛狒(ゴリラ)の襲撃(しふげき)一件(いつけん)。櫻木海軍大佐(さくらぎかいぐんたいさ)との奇遇(きぐう)。鐵(てつ)の響(ひゞき)と屏風岩(べうぶいわ)の奇異(きゐ)。猛犬稻妻(まうけんいなづま)の世(よ)にも稀(まれ)なる犬(いぬ)なる事(こと)。
併(しか)したまたまわが陋屋(ろうおく)の庭に枇杷の核(み)の生育して巨木となったのを目前に見る時、歳月の経過を顧み、いかに甚(はなはだ)しく時勢の変転したかを思わずには居られない。
枇杷の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
事務員の人達は、みすぼらしい私の姿をジロジロ注視(み)ていた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
中に深(み)雪つもる夜の明星かとばかり紫匂ふダイヤモンド、此指輪(ゆびわ)は彼人の手に日頃光しそれよ白ばらは二人が紀念(きねん)の、さゝやきし其時の息やこもるなつかしやとばかりつく息も苦氣(くるしげ)なり。
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
日比谷公園前の近江(おうみ)の湖(み)を初めとして、新しい東京八景が出来ているが、それは皆、往来に山や谷や湖や川が出来たのに対して名づけられたものである。
捲いた場所は舟を現しているらしいが、若し然りとすれば、この舟の積荷は、稲の藁でつくった球三箇、松の小枝、及び鮮紅色の漿果(み)若干である。
かれにしては、これは稀有(けう)なほど、激越(げきえつ)なことばであった。民部には、またじゅうぶんな敗数の理(み)が見えているか
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この爲めに、毎晩足がほてつて來ると、氣が狂ふほど痛がゆいのを我慢したことや、膨(ふく)れて、生身(み)が出て、固くなつてゐる爪先(つまさき)を毎朝の靴中に押込むときの痛さを、私はよく覺えてゐる。
実(げ)に彼は火の如何(いか)に焚(も)え、如何に燬(や)くや、と厳(おごそか)に監(み)るが如く眥(まなじり)を裂きて、その立てる処を一歩も移さず、風と烟と焔(ほのほ)との相雑(あひまじは)り、相争(あひあらそ)ひ、相勢(あひきほ)ひて、力の限を互に奮(ふる)ふをば、妙(いみじ)くも為(し)たりとや
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ホッ/\血統(ちすじ)は切れんという道理に迫り、素(もと)より私は両人(ふたり)を逃がせば死ぬ覚悟、ホッ/\江戸で白翁堂に相(み)て貰った時、お前は死相が出たから死ぬと云われたが
場内の女客に美しきはあらずやと左を顧み右を盻(み)しかど、遂にさる者を認め得ざりき。忽ち隣席に就く人あり。こは嘗て某(なにがし)の筵(むしろ)にて相見しことある少年紳士なりき。
迫りてこれを眂(み)るときは生気索然として、かつて観るべき者あることなきが如し。
右を顧(み)、左を眄(み)して、今この時、なにができようぞ。——古来の英雄どももみな、一時の人心を恐れて、禍根(かこん)を末代にのこして来たが、信長はその根をぬいてみせる。やるからには、徹(てっ)してやる。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眉(み)けんのあたりに深いしわをよせながら、彼は何か心の中で苦悶と戦って居るらしい。
途上の犯人 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
自分は飽くまで眼を瞠(み)はり、飽くまで恐れおののく自分を見守って生の岸端に足を踏み堪えなければならない。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
余所目(よそめ)に瞥(み)たる老夫はいたく驚きて面(かお)を背(そむ)けぬ、世話人は頭を掻(か)きて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「冬は日が短(み)イじけエろ。起きれてがんね」
湖の中にいたたくさんの舟は、簸(み)であおられるように漂わされた。湖の上にいる人達はひどく恐れた。
汪士秀 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
妾はいろいろと縁(み)よりを探してみた。だがそれがどうしてもハッキリ分らない。実は父が死んだときは、妾が十歳のときのことであるが、そのとき父についていた身内というのは妾一人だった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さりとも一盞(つ)二盞(つ)は逃(のが)れがたければ、いつしか耳(み)の根(ね)あつう成(な)りて、胸(むね)の動悸(どうき)のくるしう成(な)るに、外(は)づしては濟(す)まねども人(ひと)しらぬうちにと庭(には)へ出(い)でゝ池(いけ)の石橋(いしばし)を渡(わた)つて築山(つきやま)の背後(うしろ)の
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わが肉身(み)は 卵殻の如く 完(まつた)く且つ脆(もろ)くして
無題 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
身体強健、なおよく鋤(くわ)を執り、畚(もっこ)を荷(にな)い、旦暮(たんぼ)灌漑(かんがい)して自(み)ずから楽んでおります。いわゆる老而益壮(おいてますますさかん)なると申すは、この人の謂(いい)でござりましょう。
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)
夏のころ梅の如き淡紅(たんこう)の花を開き後(のち)莢(み)をむすび熟するときは裂(さ)けて御輿(みこし)のわらびでの如く巻きあがる。茎も葉も痢病の妙薬なりといふ。みこしぐさ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
教会(けうくわい)は草木(さうもく)又(また)は動物(どうぶつ)の如き自然物(しぜんぶつ)にあらず、草木は時期(じき)を定(さだ)めて花(はな)を有(も)ち菓(み)を結(むす)び、小児(せうに)は或(あ)る時期(じき)を経過(けいくわ)すれば成人(せいじん)して智力(ちりよく)の啓発(けいはつ)に至るべし、然(しか)れども教会(けうくわい)は人為的(じんゐてき)なり、復興(ふくこう)せんと欲(ほつ)せば明日(めうにち)
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
退けば即(すなわ)ち緇衣(しい)、香烟茶味(こうえんちゃみ)、淡然として生を終り、栄国公(えいこくこう)を贈(おく)られ、葬(そう)を賜わり、天子をして親(み)ずから神道碑(しんどうひ)を製するに至らしむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
哀しきかも我が父、痛ましきかも我が母、一身死に向ふ途を患(うれ)へず、唯二親世に在(いま)す苦を悲しぶ。今日長く別れなば、何れの世にか覲(み)ることを得む。乃(すなは)ち歌六首を作りて死(みまか)りぬ。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
わけて、平安朝の末期には、年表にも「天皇、皇后、競馬を覽(み)給ふ」の項が隨所に多い。神泉苑の競馬、仁和寺の競馬、加茂の競馬。時には、公卿の邸地でも、都の大路でも、臨時競馬をやつた。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
其戸を闚(うかが)へば闃(げき)として其れ人无(な)し、三歳覿(み)えず、凶なりといふやうになつてしまふ。
震は亨る (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
すぐ醜(み)っともなくなって、美しい夢を壊してしまうより、身を投げて、愛するひとの記憶の中に永久にとどまっていたい……自分の死に同情して
喪服 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
総髪で、髷を太く結んでいるらしい。鼻は高いらしい。全身は痩せているらしい。そういう武士が、刀を鑑定(み)ているらしく、刀身が、武士の膝の辺(あた)りから、斜めに眼の辺りへまで差し出されていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
少しも安息(やす)む暇がないうちにも弟を小学校に出し妹に自分で裁縫の稽古をしてやり、夜は弟の復習(さらえ)も験(み)てやらねばならず、炊事(にたき)から洗濯から皆な自分一人の手でやっていた。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
嗚呼々々、六尺の體(み)に人竝みの膽は有りながら、さりとは腑甲斐なき我身かな。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
鮫の黒肉(み)はわびしく凍る……
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
側には小僧が、大い𥳽(み)でさつ/\とあふつてゐるのである。それでも婆あさんは爲事(しごと)をしてゐると、自ら信じてゐるのであらう。主人はをかしく思ふであらうに、小言も言はぬと見える。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)