)” の例文
旧字:
ある日などはチュンセがくるみの木にのぼって青いおとしていましたら、ポーセが小さな卵形たまごがたのあたまをぬれたハンケチでつつんで
手紙 四 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
木戸ごしにヒマワリのからを、通りすがりの若い衆めがけてぶつけもする。そんな育ちの彼女にとって、ここは全く別世界だった。
きみは、りゅうのひげのりにきたのかい。ぼくは、ボールをなくしたので、さがしているのだ。」と、正吉しょうきちくんは、いいました。
少年と秋の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
特製詩集は、表紙の装幀に何かののようなふっくりした薄赤い二粒の円い珠飾りのついたののことだろうと思います。ありがとう。
食べものといえば、木のや草のがあるばかりです。女の子はそれを、歩けるだけ遠くまで歩いていっては、さがしまわりました。
何か維摩の持っている病気に対する慰め以上の慰めを考えて行って彼に力をつけてやり、のある病気見舞をしなくてはなりません。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それへ三州岡崎の八丁味噌を落してには牛の赤肉と米利堅粉と玉子の白身をよく叩き交ぜてお団子にしたものを入れてありますが
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
家に帰ると流石に足にが入って、大根のように太くなり、立つ時は掛声でもかけないと立てないほどになったことがありました。
結構これで八百屋の厄介にはならずに済んでいるらしいのです。ある朝、僕は味噌汁をつくろうと思い立ったが、中に入れるがない。
ボロ家の春秋 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
グイミは杭実クイミ、すなわち換言すればとげの意である。すなわち刺枝ある樹になるのでグイミ、それが略されてグミとなったのである。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
銀杏いちょうかやの数を隠して、相手に当てさせるにも同じ言葉を唱え、または手を組み、輪になって、中央に一人の児をしゃがませ
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それから天皇はある年、多遅摩毛理たじまもりという者に、常世国とこよのくにへ行って、かおりの高いたちばなのを取って来いとおおせつけになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
東軍と西軍との敵味方であった武蔵とはひどく話にが入って、主人側もおもしろげにしゃべり出し、武蔵も興に入って話にける。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
硝子戸ガラスどうちから外を見渡すと、霜除しもよけをした芭蕉ばしょうだの、赤いった梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
要するに、はなと云ひと云ひ、それが美であらうと力であらうと、単にその時々の心構へや努力だけではどうにもならぬものであります。
艸木のまろきをうしなはざるも気中にしやうずるゆゑ也。雲冷際れいさいにいたりて雨とならんとする時、天寒てんかん甚しき時はあめこほりつぶとなりてくだる。
内山は、呆気あっけにとられながら、丹後守の渡す拳銃を受取って見ると、筒先は六弁に開いて、はすのように六つの穴があります。
「うん、それはいいところだとも。このとおりけしきはいいし、くりかきはたくさんあるし、こんないいところほかにはあるまい。」
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
皆、甜瓜まくわを二つに割って、印籠づくりの立上り霊妙に、そのと、ふたとが、すっと風を吸って、ぴたりと合って、むくりと一個ひとつ、瓜が据る。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの子供らしい人たちがもっているのよりも、更に深い強いの入ったものをもっている。なんでよその恋が羨ましかろう。妬ましかろう。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
の花菱で是もあんまり人が付けねえ御紋で………えゝえ妙な事があるもんだ、斯う紋がぴったり揃ってるのは不思議だなア………えゝ旦那え
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨夜ゆうべの節ちゃんと来たら、どんな間違いを起すか知れないような風サ。考えて見ると、世の中のことはもありふたもありさネ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
紙包みを破って見ると、まだ新しい黄木綿きもめんの袋が出て来た。中にはどんぐりかしいでもはいっているような触感があった。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二階の窓から見渡すあたりの麦畠には麦が熟して黄いろくなり、道端にも植ゑられた豆の花はそろ/\青いになりかけた。
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ストーンパインの実のなかには楕円形だえんけいのかたいがあって生のまま食うとかんばしい、またこれから油をとることもできる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
あなたの生涯しょうがい随分ずいぶんつらい一しょうではありましたが、それでもわたくしのにくらぶれば、まだはるかにはなもあって、どれだけ幸福しあわせだったかれませぬ。
そうして、ハシバミの木立こだちの枝を見あげては、去年きょねんの秋のがまだ残っていはしないかと、一生けんめいさがしていました。
その声はもの考えする人の神経しんけいをなやましそうな声であった。ほうきめのついてる根元ねもと砂地すなちに、ややばんだせんだんのみだしてある。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と云って、羽田の悪酒を詰めるでもありませんから、船中ではありでもかじりましょう。食いさしを川の中へ捨てると、蝕歯むしばの痛みがとま呪法まじないでね
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
食べようよ。そして、僕は誰もたべたことがないくらい甘くて、お汁のたっぷりあるのなる葡萄の木も知ってるんだ。
ところで去年の春の、あの「花あだ花」の騒擾さわぎ以来、私はしばらくあなたの消息に接することが出来ませんでした。
井上正夫におくる手紙 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
大兄は藻掻もがく卑弥呼を横に軽々と抱き上げると、どっと草玉の中へ身を落した。さらさらとゆらめいた草玉は、そのって二人の上で鳴っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「こりゃあ、たいそうふとって、かわいらしいむすめだわい。きっと、年中くるみのばかりたべていたのだろう。」
その晩は葡萄酒ぶだうしゆなどを飲んで、遅くまで話したが、それも取留めのない彼の感激から出ることばばかりで、期待したやうなのある話は少しもなかつた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼はこずえ山鳩やまばとを眺めながら、弓矢を忘れて来た事を後悔した。が、空腹を充すべきは、どこにでも沢山あった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
神の言が柔和で深い心に落ちれば、善く発芽し成長して数十倍のを結ぶ。その結実の成績は受ける心の深さ、柔らかさの程度に応ずるのであります。
銀杏の葉の散る神宮外苑をうそ寒く歩いていた時も、島民どもと石焼のパンのにむしゃぶりついている時も、お前はいつもお前だ。少しも変りはせぬ。
本当に顔をあからめて如何どうあっても是非をわかってしまわなければならぬと云ういった議論をしたことは決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
麦藁帽子をかぶらせたら頂上てっぺんおどりを踊りそうなビリケンあたまが入っていて、これも一分苅ではない一分生えの髪に、厚皮あつかわらしい赭いが透いて見えた。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あるとき猿廻さるまわしの背中せなかわれているさるに、かきをくれてやったら、一口ひとくちもたべずにべたにすててしまいました。みんながじぶんをきらっていたのです。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そのひしまもらなん、その歌の一句を、私は深刻な苦笑でもって、再び三度みたび反芻はんすうしているばかりであった。
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
二人ふたりは、はた目には酸鼻さんびだとさえ思わせるような肉欲の腐敗の末遠く、互いに淫楽いんらくを互い互いから奪い合いながらずるずるとこわれこんで行くのだった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
詩人シラーのいうごとく人生の目的として花を選ぶ者とそのを選ぶ者とは別種の者に数えるが至当であろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あか摘取つみとると、すぐそれがけがれてしまひ、ちよいと草木くさき穿ほじつても、このくとしぼんでゆく。
ここには人生の荊棘けいきょくに血を流しうめく声のかわりに、ハックルベリーのの饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
ここには人生の荊棘けいきょくに血を流しうめく声のかわりに、ハックルベリーのの饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
近年、村の柿の木も、くりの木も、れるまでがなっていたことがなかった。みんな待ちきれなかったのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ところが果たしてそれはを結んだ。この世紀ではだれでも皆、商売をし、相場をし、金をもうけ、そしてしみったれてる。表面だけを注意して塗り立ててる。
そして開演中の竜宮劇場の楽屋がくやへノコノコと入っていった。赤星ジュリアの主演する「赤いいちご」が評判とみえて、真昼から観客はいっぱい詰めかけていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二十歳はたち前後が一番百姓仕事にが入る時ですから、とこぼす若いとっさんもある。然し全国皆兵の今日だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)