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実
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み
ふりがな文庫
“
実
(
み
)” の例文
旧字:
實
ある日などはチュンセがくるみの木にのぼって青い
実
(
み
)
を
落
(
おと
)
していましたら、ポーセが小さな
卵形
(
たまごがた
)
のあたまをぬれたハンケチで
包
(
つつ
)
んで
手紙 四
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
木戸ごしにヒマワリの
実
(
み
)
の
殻
(
から
)
を、通りすがりの若い衆めがけてぶつけもする。そんな育ちの彼女にとって、ここは全く別世界だった。
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
「
君
(
きみ
)
は、りゅうのひげの
実
(
み
)
を
取
(
と
)
りにきたのかい。
僕
(
ぼく
)
は、ボールをなくしたので、さがしているのだ。」と、
正吉
(
しょうきち
)
くんは、いいました。
少年と秋の日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
特製詩集は、表紙の装幀に何かの
実
(
み
)
のようなふっくりした薄赤い二粒の円い珠飾りのついたののことだろうと思います。ありがとう。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
食べものといえば、木の
根
(
ね
)
や草の
実
(
み
)
があるばかりです。女の子はそれを、歩けるだけ遠くまで歩いていっては、さがしまわりました。
マリアの子ども
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
何か維摩の持っている病気に対する慰め以上の慰めを考えて行って彼に力をつけてやり、
実
(
み
)
のある病気見舞をしなくてはなりません。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それへ三州岡崎の八丁味噌を落して
実
(
み
)
には牛の赤肉と米利堅粉と玉子の白身をよく叩き交ぜてお団子にしたものを入れてありますが
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
家に帰ると流石に足に
実
(
み
)
が入って、大根のように太くなり、立つ時は掛声でもかけないと立てないほどになったことがありました。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
結構これで八百屋の厄介にはならずに済んでいるらしいのです。ある朝、僕は味噌汁をつくろうと思い立ったが、中に入れる
実
(
み
)
がない。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
グイミは
杭実
(
クイミ
)
、すなわち換言すれば
刺
(
とげ
)
の
実
(
み
)
の意である。すなわち刺枝ある樹になるのでグイミ、それが略されてグミとなったのである。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
銀杏
(
いちょう
)
や
榧
(
かや
)
の
実
(
み
)
の数を隠して、相手に当てさせるにも同じ言葉を唱え、または手を組み、輪になって、中央に一人の児をしゃがませ
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから天皇はある年、
多遅摩毛理
(
たじまもり
)
という者に、
常世国
(
とこよのくに
)
へ行って、
香
(
かおり
)
の高いたちばなの
実
(
み
)
を取って来いとおおせつけになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
東軍と西軍との敵味方であった武蔵とはひどく話に
実
(
み
)
が入って、主人側もおもしろげに
喋
(
しゃ
)
べり出し、武蔵も興に入って話に
耽
(
ふ
)
ける。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硝子戸
(
ガラスど
)
の
中
(
うち
)
から外を見渡すと、
霜除
(
しもよけ
)
をした
芭蕉
(
ばしょう
)
だの、赤い
実
(
み
)
の
結
(
な
)
った梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
要するに、
花
(
はな
)
と云ひ
実
(
み
)
と云ひ、それが美であらうと力であらうと、単にその時々の心構へや努力だけではどうにもならぬものであります。
青年の矜りと嗜み:――力としての文化 第四話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
艸木の
実
(
み
)
の
円
(
まろき
)
をうしなはざるも気中に
生
(
しやう
)
ずるゆゑ也。雲
冷際
(
れいさい
)
にいたりて雨とならんとする時、
天寒
(
てんかん
)
甚しき時は
雨
(
あめ
)
氷
(
こほり
)
の
粒
(
つぶ
)
となりて
降
(
ふ
)
り
下
(
くだ
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
内山は、
呆気
(
あっけ
)
にとられながら、丹後守の渡す拳銃を受取って見ると、筒先は六弁に開いて、
蓮
(
はす
)
の
実
(
み
)
のように六つの穴があります。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「うん、それはいい
所
(
ところ
)
だとも。このとおりけしきはいいし、
栗
(
くり
)
や
柿
(
かき
)
の
実
(
み
)
はたくさんあるし、こんないい
所
(
ところ
)
は
外
(
ほか
)
にはあるまい。」
くらげのお使い
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
皆、
甜瓜
(
まくわ
)
を二つに割って、印籠づくりの立上り霊妙に、その
実
(
み
)
と、
蓋
(
ふた
)
とが、すっと風を吸って、ぴたりと合って、むくりと
一個
(
ひとつ
)
、瓜が据る。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの子供らしい人たちがもっているのよりも、更に深い強い
実
(
み
)
の入ったものをもっている。なんでよその恋が羨ましかろう。妬ましかろう。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
実
(
み
)
の花菱で是も
余
(
あんま
)
り人が付けねえ御紋で………えゝえ妙な事があるもんだ、斯う紋がぴったり揃ってるのは不思議だなア………えゝ旦那え
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
の節ちゃんと来たら、どんな間違いを起すか知れないような風サ。考えて見ると、世の中のことは
実
(
み
)
もあり
蓋
(
ふた
)
もありさネ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
紙包みを破って見ると、まだ新しい
黄木綿
(
きもめん
)
の袋が出て来た。中にはどんぐりか
椎
(
しい
)
の
実
(
み
)
でもはいっているような触感があった。
球根
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二階の窓から見渡すあたりの麦畠には麦が熟して黄いろくなり、道端にも植ゑられた豆の花はそろ/\青い
実
(
み
)
になりかけた。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
ストーンパインの実のなかには
楕円形
(
だえんけい
)
のかたい
実
(
み
)
があって生のまま食うとかんばしい、またこれから油をとることもできる。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あなたの
生涯
(
しょうがい
)
も
随分
(
ずいぶん
)
つらい一
生
(
しょう
)
ではありましたが、それでも
私
(
わたくし
)
のにくらぶれば、まだ
遥
(
はる
)
かに
花
(
はな
)
も
実
(
み
)
もあって、どれ
丈
(
だけ
)
幸福
(
しあわせ
)
だったか
知
(
し
)
れませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そうして、ハシバミの
木立
(
こだち
)
の枝を見あげては、
去年
(
きょねん
)
の秋の
実
(
み
)
がまだ残っていはしないかと、一生けんめいさがしていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その声はもの考えする人の
神経
(
しんけい
)
をなやましそうな声であった。ほうきめのついてる
根元
(
ねもと
)
の
砂地
(
すなち
)
に、やや
黄
(
き
)
ばんだせんだんの
実
(
み
)
が
散
(
ち
)
り
乱
(
みだ
)
してある。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と云って、羽田の悪酒を詰めるでもありませんから、船中では
有
(
あり
)
の
実
(
み
)
でも
噛
(
かじ
)
りましょう。食いさしを川の中へ捨てると、
蝕歯
(
むしば
)
の痛みが
留
(
とま
)
る
呪法
(
まじない
)
でね
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
食べようよ。そして、僕は誰もたべたことがないくらい甘くて、お汁のたっぷりある
実
(
み
)
のなる葡萄の木も知ってるんだ。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
ところで去年の春の、あの「
実
(
み
)
花あだ花」の
騒擾
(
さわぎ
)
以来、私はしばらくあなたの消息に接することが出来ませんでした。
井上正夫におくる手紙
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
大兄は
藻掻
(
もが
)
く卑弥呼を横に軽々と抱き上げると、どっと草玉の中へ身を落した。さらさらと
揺
(
ゆら
)
めいた草玉は、その
実
(
み
)
を
擦
(
す
)
って二人の上で鳴っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「こりゃあ、たいそうふとって、かわいらしいむすめだわい。きっと、年中くるみの
実
(
み
)
ばかりたべていたのだろう。」
雪の女王:七つのお話でできているおとぎ物語
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その晩は
葡萄酒
(
ぶだうしゆ
)
などを飲んで、遅くまで話したが、それも取留めのない彼の感激から出る
辞
(
ことば
)
ばかりで、期待したやうな
実
(
み
)
のある話は少しもなかつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は
梢
(
こずえ
)
の
山鳩
(
やまばと
)
を眺めながら、弓矢を忘れて来た事を後悔した。が、空腹を充すべき
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
は、どこにでも沢山あった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
神の言が柔和で深い心に落ちれば、善く発芽し成長して数十倍の
実
(
み
)
を結ぶ。その結実の成績は受ける心の深さ、柔らかさの程度に応ずるのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
銀杏の葉の散る神宮外苑をうそ寒く歩いていた時も、島民どもと石焼のパンの
実
(
み
)
にむしゃぶりついている時も、お前はいつもお前だ。少しも変りはせぬ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
本当に顔を
赧
(
あか
)
らめて
如何
(
どう
)
あっても是非を
分
(
わか
)
って
了
(
しま
)
わなければならぬと云う
実
(
み
)
の
入
(
いっ
)
た議論をしたことは決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
麦藁帽子を
冠
(
かぶ
)
らせたら
頂上
(
てっぺん
)
で
踊
(
おどり
)
を踊りそうなビリケン
頭
(
あたま
)
に
能
(
よ
)
く
実
(
み
)
が入っていて、これも一分苅ではない一分生えの髪に、
厚皮
(
あつかわ
)
らしい赭い
地
(
じ
)
が透いて見えた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あるとき
猿廻
(
さるまわ
)
しの
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
われている
猿
(
さる
)
に、
柿
(
かき
)
の
実
(
み
)
をくれてやったら、
一口
(
ひとくち
)
もたべずに
地
(
じ
)
べたにすててしまいました。みんながじぶんを
嫌
(
きら
)
っていたのです。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
その
実
(
み
)
を
犇
(
ひし
)
と
護
(
まも
)
らなん、その歌の一句を、私は深刻な苦笑でもって、再び
三度
(
みたび
)
、
反芻
(
はんすう
)
しているばかりであった。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
二人
(
ふたり
)
は、はた目には
酸鼻
(
さんび
)
だとさえ思わせるような肉欲の腐敗の末遠く、互いに
淫楽
(
いんらく
)
の
実
(
み
)
を互い互いから奪い合いながらずるずると
壊
(
こわ
)
れこんで行くのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
詩人シラーのいうごとく人生の目的として花を選ぶ者とその
実
(
み
)
を選ぶ者とは別種の者に数えるが至当であろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
紅
(
あか
)
い
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
摘取
(
つみと
)
ると、すぐそれが
汚
(
けが
)
れて
了
(
しま
)
ひ、ちよいと
草木
(
くさき
)
の
根
(
ね
)
を
穿
(
ほじ
)
つても、この
手
(
て
)
が
付
(
つ
)
くと
凋
(
しぼ
)
んでゆく。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
ここには人生の
荊棘
(
けいきょく
)
に血を流し
呻
(
うめ
)
く声のかわりに、ハックルベリーの
実
(
み
)
の饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
森の生活――ウォールデン――:01 訳者の言葉
(新字新仮名)
/
神吉三郎
(著)
ここには人生の
荊棘
(
けいきょく
)
に血を流し
呻
(
うめ
)
く声のかわりに、ハックルベリーの
実
(
み
)
の饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
近年、村の柿の木も、
栗
(
くり
)
の木も、
熟
(
う
)
れるまで
実
(
み
)
がなっていたことがなかった。みんな待ちきれなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ところが果たしてそれは
実
(
み
)
を結んだ。この世紀ではだれでも皆、商売をし、相場をし、金を
儲
(
もう
)
け、そしてしみったれてる。表面だけを注意して塗り立ててる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして開演中の竜宮劇場の
楽屋
(
がくや
)
へノコノコと入っていった。赤星ジュリアの主演する「赤い
苺
(
いちご
)
の
実
(
み
)
」が評判とみえて、真昼から観客はいっぱい詰めかけていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二十歳
(
はたち
)
前後が一番百姓仕事に
実
(
み
)
が入る時ですから、とこぼす若い
爺
(
とっ
)
さんもある。然し全国皆兵の今日だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
実
常用漢字
小3
部首:⼧
8画
“実”を含む語句
真実
事実
忠実
実家
現実
実母
口実
実父
実体
実在
果実
実際
実験
実行
実相
誠実
実生
実現
情実
実験室
...